読書感想文~NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX~
昨今の世界情勢もあり、NETFLIXの勢力拡大には、目を見張るものがある。
毎年の契約者数は右肩上がりで、昨今登録者数は2億人を超えたとのニュースもあった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9a84b868f047855a5457c513bf846855b31ee0a?page=1
GAFAに並ぶ企業として世界的に大注目な企業であるこのNETFLIXの根幹にあるカルチャーとは何なのかを、共同創業者が記したのが本書である。
タイトルにもあるように、NETFLIXは非常に「自由」な会社である。
しかし、「自由」の裏には「責任」が伴う。一般的な会社に認められる「自由」の度合いが高いが、その分「責任」の比率も大きい。それを顕著に感じたのが本書である。
1.能力密度とキーパーテスト
本書で非常に愕然としたのが、「能力密度」の概念だ。
NETFLIXの黎明期、経営が思わしくなく、大量のリストラを行い人員削減を行った。その際に、「有能」な社員ばかりを残し、「並」の社員は大量の解雇を行った。その結果、社員の平均的な能力は非常に高くなり、仕事の能率が飛躍的に上がったというものである。
それ以降、その採用方針、人事評価方針を行い、「並」の社員は採用せず、非常に能力の高い社員のみを在籍させるというものであった。
なんでも、仕事に割く多くの時間は「並」の社員のミスのリカバリなどに充てられるからだという。
定期的にこの査定を行い、「この人が辞めると言い出したら一生懸命に引き止めるか?」を基準に、その基準に満たない人は十分な退職金とともに退職を勧告するらしい。
代わりに、「有能」な社員の引き止めには金に糸目をつけず、これはすごいと思ったのだが、他の会社のヘッドハントにあった場合はその金額以上を出すというものであった。
よくスポーツ選手がFAになり、自分の価値を試したいという(そして戻ってこない)が、そのちゃんと戻ってくるものである。
当然金があってこその戦略であるが、かなり恐ろしいカルチャーだなと思った。
「有能」「並」の評価を常に迫られているのはかなり恐ろしい。
ただ、彼らは「ファミリー」ではなく「チーム」であり、プロスポーツクラブのような感覚なのであろう。毎年良い成績を収められれば翌年も契約できるし、駄目なら解雇もしくは契約延長はできない。
全ての会社がこれをやったらかなり恐ろしいが、ここまで徹底できるものは素晴らしいものだなと感じた。
2.働き方の自由と責任
社員にはかなりの裁量権をもたせており、稟議や上司への伺いは不要である。
よく理想と言われるが、何にせよこの凄さは、「自由」なのはもちろんのことその「責任」である。
いくらお金のかかるプロジェクトでも、成果が出せれば成果だし、失敗すれば失敗で、その責任は個人にのしかかる。
このバランスが中途半端であれば、ゆくゆく形骸化していき、うまく機能しないシステムになるであろう。
非常に恐ろしいシステムである。
ちなみに、この会社には休暇規定や出張経費の規定もない。
自分の責任で、自由にいくらでも休みをとっていいが、当然仕事のクオリティは下げられないということだ。
出張経費も、「会社の金は自分のもののように使う」という曖昧なルールだけである。
本当の自由であるからこそ、全ての人が当事者となり、責任が生まれるのである。
3.フィードバックと正直の文化
忖度という言葉があるように、上司に対しては言いたくても言えないこと、言いたいことも言えないこんな世の中じゃPOISONである。
しかし、その会社はそれを許さない。
いついかなる時でも、相手に対して思ったことは率直に言う。
ただいえばいいだけでなく、相手のことを思いやり、成長につながるように言う。
それは相手が上司でも後輩でも関係ない。
「正直」に包み隠さずに言うことを互いにすることでお互いに研磨し合うカルチャーを作っていくのが大事だという。
これは日本人にはなじまなそうだし、難しいことだと思った。
ただ一つ面白かったのは、例として挙げられていた「アメリカ人はポジティブな意見を言いがちなので、オランダ人からは逆にいらいらする」というものであった。
もちろんただの、統計的な傾向ではあり、全員画一でそうではないが、よく「日本はこうだが海外では~」の「海外」にも色々あり、よく日本人も「ポジティブなことを言って褒める必要がある」という意見もあるが、客観性を持った評価とポジティブにモチベートすることを言うのでも違うのだなと気付かされた。
会社という「チーム」で戦うに当たり、カルチャーの醸成は非常に重要である。
プロスポーツリーグでも、どんなものにせよ一貫した「カルチャー」があり、それに馴染み、浸透している組織が強い。
それを実践しているのがNETFLIXである。
まさにプロスポーツチームのようなものではないのではないか。
かなり極端な組織であり、カルチャーではあるが、強い組織があってこそ、良い成績を達成できるのではないか。
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