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英語嫌い→海外赴任へ。5カ国留学を経験した教育者が子どもに切り拓く未来~内山翔太さんのケース~

内山翔太さん
奈良県出身。TCS8期生。新卒でTeach For Japan8期フェロー、小学校外国語専科教員として奈良県の小学校で3年間勤務。2023年8月よりJICA海外協力隊の一員としてパプアニューギニアへ渡航し、現地の小学校に赴任。学生時代はオーストラリア、ニュージーランド、香港、アメリカ、カナダへ計約2年間の留学を経験。2022年度は自身も卒業生である「トビタテ!留学JAPAN」の同窓生コミュニティ「とまりぎ」の代表を務める。


「何者としてどうあるか」を言える人は強い

――はじめに、内山さんがコーチングに興味を持った理由を教えてください。

話は少し遡るのですが、学生時代に留学を経験して人生が変わったことが大きく影響しています。

実をいうと昔は英語が苦手で、中学3年生の修学旅行でオーストラリアへ2週間行った際にホストファミリーとほとんど話すことができないまま帰国し、とても悔しい思いをしました。そんな悔しさと、それまで内に閉じこもって何にも挑戦したことがなかった自分を変えたいという思いから、高校1年生でニュージーランドへ長期留学することを決めました。

現地では毎月家に遊びに行くほど仲良しの友達ができ、高校3年生の時にトビタテで留学したカナダでもホストマザーと家族のような親しい関係になることができました。これらの経験から「英語が苦手で海外に挑戦することを諦めるのはもったいない」という思いが芽生えたのです。

留学中には友人やホストファミリーだけでなく、起業家や大学の研究者の方ともたくさんの対話をしました。

その中で「どんな大人になりたいのか」と問われることが多く、“より多くの子どもたちに多様な人との交流を通して様々な経験を積む機会を届けられる教育者”になりたいと思うようになりました。小学校の英語教員になったのも、英語に躓いて留学を諦める子どもを減らしたかったからです。

大学でももちろんそうですが、高校など人生の早いタイミングで海外へ行き、国を越えて色んな人と関わることは将来の選択肢に大きなインパクトを与えます。海外留学に興味がある人たちに向けて、今度は自分が伴走や支援をしていきたい、そのために今後のキャリアを考えた中でコーチングを学んでおきたいなと思っていました。

――海外留学とコーチングはどのように関連しているのでしょうか?

海外に行ったときに「何者としてどうあるか」といった“理由や在り方”を聞かれる機会がとても多かったんです。みんなそれぞれ前提とか価値観とか背景が異なるから「 なぜそれをするの?」と聞かれることが日常的にありました。

「自分自身がどういう人生を歩んできて、何が好きで、だからここにいるんだ」と言える人は自分の明確な軸を基に決断できるので強いということを初めて留学した頃から感じていました。それを言語化するための手段として、コーチングは役に立つのではないかという仮説があります。

将来的に“これまでの留学経験とコーチングスキル”が統合される日が絶対来るなと予見していて、そのためにコーチングを学びたいと思っていた時にトランジションコーチングスクール(TCS)と出会いました。

――トランジションコーチングスクール(以下「TCS」)とはどのような経緯で出会ったのですか?

20歳くらいの頃からTCSの代表である喜多さんのことは既に知っていました。僕は高校生の頃にトビタテ!留学JAPAN(以下「トビタテ」)という海外留学制度を使ってカナダに留学していたのですが、喜多さんとはそのコミュニティで出会いました。

社会人になってからトビタテのコミュニティの代表をしていたときに、内部の人から毎週1on1を受けていたのですが、組織運営のアドバイスやイベント設計のフィードバックなど、内容はあくまで「コミュニティの代表」としてのこと。その方から「僕からだけでなくコミュニティ外の人にもフィードバックを貰った方がいいよ」と助言をもらったこともあり、せっかくだから一個人としてもコーチングの本質を学ぼうと思って色々探していたときに、そういえば喜多さんもコーチングスクールをやっていたな、と思い出したんです。

2023年トビタテ全期生同窓会の写真

「なぜかうまくいかない」を構造的に把握できるように

――実際にTCSでコーチングを学んでみて、コーチングのイメージに変化はありましたか?

がらっと変わりました。以前は コーチングってGROWモデルのような目標達成を効果的に支援するブースターのようなものだと思っていました。車で例えると、アクセルをさらに強く踏むことで推進力を高めていくイメージがあったんですけど、そうではなく「無意識にかかっているブレーキを外す」っていう役割もあって、それが自分にとっては大きな気付きであり変化でしたね。

何かやりたくないことがあるのだとしたら「何がそうさせているのか」「過去にどういう経験や思い込みがあって動けないのか」というメンタルモデルが、構造としてわかる。
例えば、新しいチャレンジをしようとしてもうまくいかなかったり、プロジェクトを進める時に人間関係の問題でうまくいかなかったりする。そんな時に、うまくいかない部分を紐解いて分析して、手立てを考えられるようになったのはすごく良かったと思います。

――TCSはエントリー課題があって講座の内容もハードそうなイメージがありますが、入る前の印象や入ってから感じたことを教えてください。

印象は入る前と後でだいぶ変わりましたね。まず、喜多さんはもっと厳しい人だと思ってたんですよ。喜多さんのFacebookの投稿を見ていて、いつも揺るがず明確に自分の主張を発信しているなと思っていました。実際に講座を受けてみると意外とそれぞれの受講生の状態に合わせて、変容や挑戦を待ってくれる方だなと僕は思いました。

TCSに入るにあたってはエントリー作文もあるし、説明会では「覚悟のある人だけ来てください」みたいなことも言われますからね。相当過酷だと思っていたんですが、入ってみたら内面の変容を喜多さんに迫られることはなく、変わるタイミングも、ワークをどれぐらい進めるかも人それぞれ。「やりなさい」みたいな感じで強要されたことは一度もなくて、それはよかったなと思いますね。

――TCSに入ったとき、内山さん自身はどんな状況でしたか?

一言でいうと疲弊しきっていました。心身共にコンディションが悪くて人間関係もうまくいかず、自他共に傷つけてしまうことがけっこうありました。

エネルギーの使い方が自己犠牲的で、今思えば「成果を出さなければ自分自身に価値がない」という思い込みが強く、あるがままの自分にも価値があるということ、その考え自体からも目を背けるようにがむしゃらに突き進んでいたんだと思います。

当時の僕は、仕事以外のほぼ全ての時間をトビタテのコミュニティのために捧げていました。
誰よりもコミットしていた自信があったからこそ、他のメンバーが何で同じ意識をもって行動しないのかが本当に理解できなかった。メンバーが自分で出した企画をやり切れなかったときは「何で自分でやると決めたことをやり切れないの?」ときつく当たってしまうこともありました。

はじめはその矛先が人に向いてたんですけど、そのうち「どこまで関わるかはそれぞれの自由だし、強制はできないな」と気づいてから、今度は自分で全部背負い込むようになってしまったんですよね。それがTCSに入る前のことです。

自分の中の“見えないブレーキ”が外れた

――講座を受ける中で、自身が変化したと思うことを教えてください。

印象に残っているのが、TCSの講座を正式に申し込む前に「この講座を受けますか?」という意思確認の面談をしたときのことです。自分の状態を話して、いくつか問いかけをしてもらう中で自分の状態を客観的に認知できたことが一番初めの変化ですね。そのときは「今の自分って水が濁っているような状態なんだな」というのが率直な感想でした。(笑)

そのあと講座を受けていく中で、変化したことは大きく2つあります。

ひとつは、自分の中でブレーキになっていたものが外れて、周りの人を頼ったり、無条件に愛情を受け取れるようになったりしたことです。自分のトラウマと向き合うワークをやったときに、どうしても自分の過去と向き合うのがつらいときがあったんです。それでもメンターの方に根気強く付き合っていただいて、メンタルモデルやU理論といったロジックもあわせて学ぶことで、うまくいったときと失敗したときのパターンが自分の中で全部繋がった感覚がありました。
きっと今までは、「自分自身の存在そのものには価値がない」「“ギブアンドテイク”でいう“ギブ”を先にしないと“テイク”してはいけない」と思い込んでいて、それが行動する上でのブレーキになっていたんだと思います。

――「価値を提供できないと受け取ってはいけない、だから無条件に人を頼ったり甘えたりしてはいけない」と思い込んでいたんですね。

まさにそうなんです。でも、今僕の周りにいてくれる家族や友人は、僕が提供する何かではなく、僕自身の存在自体を愛してくれていたんですよね。

そして、そのブレーキがなくなったので「やらなきゃ」っていう現状の否定から発生するエネルギーではなくて、「会いたいから会いに行く」「楽しいからやる」みたいなポジティブなエネルギーで進んでいくようになりました。

それからもうひとつの変化として、何かを決断するときに迷いがなくなったことも大きいですね。やりたいことを見つけるワークで「人生をかけてやりたいこと」にあたるソウルセンテンスを出してみたら、直感でやりたいと思っていたことと一致して答え合わせができたような感じがありました。

「この道で間違いない」と思えたことで、より安定感を持って道を歩けるようになったなと思います。

ここまで網羅されているサービスはなかなかない

――講座を受けてブレーキが外れた今、どんな人生を歩んでいきたいと考えていますか?

もはや「どんな人生を歩んでもいい」と思っているのが正直なところです。目指したい世界観としては、現状の否定や恐れから動くような子どもたちが減って、それぞれが望んでいる本当にやりたいことや願いに基づいて生きられるような世界になったらいいなと考えています。

僕は現在パプアニューギニアの村に赴任して小学校で勤務していますが、パプアニューギニアの農村部は識字率が低く、読み書きに困難を抱える子どもたちも多くいます。だから、まずは子どもたちに段階的に読み書きを教えて、その上で日本の子どもとパプアニューギニアの子どもをオンラインで繋ぐ交流授業をやっていきたいです。

赴任は2年間なので単発の交流事業だけでなく、地元である奈良県の小学校とパプアニューギニアの村の小学校を繋いで、子どもたち同士が自分の好きなことや自分の国のお祭りや行事を英語で紹介し合えたら楽しいだろうなと。

――日本とパプアニューギニアの学校を継続的に繋ぐ取り組み、面白そうですね。赴任期間が終わったらやってみたいことはありますか?

海外の大学院に行って、学術的な分野での観点から国際教育を研究してみたいなと考えています。ほかにも、もっと多くの日本の子どもたちが海外へいけるようトビタテのような奨学金コミュニティも作りたいですし、TCSで学んだことを元に、海外に興味のある人のキャリア伴走の支援をやっていきたいなと考えているところです。

――TCSに参加して色々な変化を経験された内山さんから、TCSに興味がある人にメッセージをお願いします。

TCSに参加した人たちはみんな、それぞれ抱えていた思い込みが外れ、徐々に自分自身のやりたいことをやれるようになっています。

僕と同じ時期に受けていた人で子どもを持つ親御さんがいましたが、その方はTCSでコーチングを学んでから子どもとの関わり方が変わったと言っていました。学生や社会人、性別や年齢問わず、あらゆる世代に変容が起こることを身をもって感じています

多分このインタビュー記事を読む人は、何かしら現状に引っかかってモヤモヤしているんだと思います。そういう方はそのモヤモヤを晴らす一つの手段として、TCSに参加するのはめちゃめちゃいいなって思うんですね。

自分自身がなぜかうまくいかないときは「こういう悩みや過去の傷があってよくないループにハマるんだ」みたいなことがわかって、逆によくわからないけどうまくいったときは「こういう循環が起こってたんだ」っていうのを、感覚じゃなくて構造で見れるようになる。そうすることで再現性も高まり、色々なことがうまくいくようになります。

――良い循環も悪い循環も理解することで、身の回りのことがうまくいくようになると。

はい。TCSでは、心のブレーキを外して、やりたいことを見つける。それをどうやったら形にできるか、どうやったら相手によりよく伝えられるかを学んで、学んだ内容を踏まえて自分自身のやりたいことを形にする“ミニマイプロジェクト”をやってみようという企画まであります。それらが全部繋がっていて、なおかつコミュニティがある。世間にはいろんなサービスがあると思いますが、ここまで統合されたものはなかなかないと思うので、少しでも迷っている方にはぜひおすすめしたいです。

――お話を聞かせていただきありがとうございました!

トランジションコーチングスクールの詳細はこちら↓

インタビュアー:伊佐間梨華
ライター:溝川みか

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