業界の壁を越えるブティック型投資銀行の重要性〜ARMのIPOでも別格扱い〜
ARMのIPOで、小規模なブティック型の米国投資銀行の「別格」扱いが米金融メディアで話題になっています。
元々、RAINEのことをよく知っている人には全く驚きではありません。知らない人も、過去約10年のRAINEの実績を辿るだけでもそれなりに納得できると思います。
ARMのIPOの目論見書の表紙で、ゴールドマンサックスやみずほ証券等の引受金融機関28社の上のセクションにFA(Financial Advisor / 財務アドバイザー)として、いわば「別格」のような形で記載されているRAINEという投資銀行があります。
ARMのIPO目論見書の表紙は下記です。
ファイナンシャル・タイムズ紙は、RAINEのことを、「ブロードウェイ・プロデューサーが、ARMのIPOを指揮した」、と書いています。
投資銀行というと、ニューヨークのウォール街を想起する方が多いと思います。
記事の背景として、RAINEは、元々、ブロードウェイやハリウッド含むエンタメ分野のM&Aで多くの実績を残してきた歴史があります。
RAINEのホームページからいくつか抜粋しただけでも以下のようなディールがあります。
RAINEの設立時の出資者は以下のような著名な起業家や投資家と言われています。
エリック・シュミット(Alphabet /Google)
ショーン・パーカー(Napstar, Facebook元幹部)
ピーター・チャーニン(News Corp)
テリー・セメル(Yahoo)
孫正義(ソフトバンク)
リー一族(Samsung)
マーク・アンドリーセン(a16z)
ソフトバンクのSprint買収、ARM買収、など、いずれもRAINEがソフトバンクのFAでありFIXER的な存在と言われていることから、ソフトバンクの米国での通信分野への進出やAI・半導体分野での飛躍は、RAINEの存在無しには語れない、とも考えられます。
ソフトバンクの孫社長とは、RAINE共同創業者Jeff Sine氏(元UBS)が30年以上の付き合いと言われています。
なお、RAINEのもう1人の共同創業者Joe Ravitch氏(元ゴールドマン・サックス)は、弊社顧問の小高氏(元ゴールドマン・サックス)の元同僚で、小高氏は日本人で唯一、RAINEの顧問も一時期務めておりました。
こう書くと、RAINEは大型案件のみ手掛ける派手なイメージを持つかもしれません。
実際、RAINE以外で1兆円未満のディールは手がけないブティック型の投資銀行は実在し、弊社メンバーも会ったことはあります。
ただRAINEの場合は、実際には中の人に聞くと(公開情報を一つずつ積み上げて調べても分かることですが)、事業モデルとして別の顔も見えてきます。
SprintやARMのような大きなディールはRAINEにとっても数年に一度であり、その間の期間は、メガディールで築いたブランドとネットワークを活かし、2桁億円〜3桁億円規模のスタートアップの資金調達やM&Aの助言実績を数多く積み上げています。
他にもRAINEについては興味深い事実が多数ありますが、ここではこの辺りで止めておきます。
なお、RAINEはTMT(Technology, Media, and Telecom)分野の高成長セクターを重点分野とし、ニューヨーク、ロサンゼルスやサンフランシスコ、ロンドン、パリ、インド、中国などに拠点を有しており、米国内にとどまらないディールをメイクしています。
弊社メンバーは、RAINEのニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、中国の拠点を訪問したことがあり、特にロサンゼルスのオフィスはサンタモニカにあり、素晴らしい雰囲気でした。
RAINEには、ARMほど大きくない案件、かつ、案件の相性を選びながらですが、弊社顧客の案件を相談することがあり、時々やり取りをしています。
重点的に狙うディール規模は向き合う市場の違いから弊社とは異なります。
ただ、RAINEは先述の通り、スタートアップの資金調達、M&A売却の助言なども活発に手がけています。
また、業界の垣根や壁をぶち壊すようなM&Aをリードしてきた異色のブティック投資銀行、という意味でも、弊社設立前からのロールモデルの一つです。
今後もRAINEの動きには注目しています。
▶︎株式会社ファイナンス・プロデュース
「社会を変える事業を創るためのファイナンスをプロデュースする。」というミッションのもと、ドリームインキュベータから新規事業カーブアウト・MBO(マネジメント・バイアウト)を実行して誕生した、スタートアップ起業家専門の投資銀行事業を行う会社です。
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