三条産のお米「新之助」をパエリア風ピザに 地域にないをかたちにするまで【まちのつくり手・石月勇さん】
ものづくりのまち、三条ではたくさんの「つくり手」たちが活躍しています。このまちに秋の匂いが漂う今、農家さんに想いをかたちに「ローカルフード」としてパエリア風ピザを商品開発した餞心亭おゝ乃、そこで働く石月勇さんにお聞きしました。
明治中期に創業し、料亭や結婚式場として地元から愛される餞心亭おゝ乃。
「地元の農家さんが丹精込めてつくられるものはどれもおいしい」と笑いながら三条の食について語る餞心亭おゝ乃の石月さん、ほかのお店と同じく昨今の新型コロナウイルスの影響を受けてきたそう。
先月9月20日と23日に、道の駅<庭園の郷 保内>で先行限定販売されたパエリア風ピザは新たな層を広げるための挑戦でした。
石月勇さん(以後、石月):道の駅で限定販売するパエリア風ピザの構想は2021年2月に遡ります。当時、農家さんから「農産物はシーズンによって売上が変わるから一年中販売する手はないだろうか」と相談をもらいました。
そのため、秋に旬となる下田産のサツマイモを使った石焼き芋を、冬から春にかけて販売できるようにと冷凍販売したのです。
お客様からは完売という好評をいただき、駅長から「(新米のシーズンに合わせて新しい商品を)出店してみませんか?」という相談のもと、トントン拍子で商品開発へと進んでいきました。
秋の味覚である三条産の新米「新之助」を使った新たな商品開発。
開発と聞くと時間と労力がかかるむずかしいように思えるが、そこは餞心亭おゝ乃に在籍する和食の職人と洋食のシェフが織りなす食の閃きがあったそう。料理人のつくり手たちが米の味を確かめたらすぐ、パエリア風ピザへと着想されました。
また2019年から続いている稲作を通じた下田地域の農家さんとのつながりが大きいと石月さんは加えてはなします。
石月:私たちは季節を先取りし、素材を見極め、提供するといった料亭として培ってきたノウハウを活かして開発しています。
お米の品種ごとの違いもそう。
パエリア風ピザで使用している新之助は他の品種と比べ粘りが強く、冷めても固くなりにくく、パサパサしづらい特徴があります。お米をそのまま活用した具だくさんパエリアをお楽しみいただけます。
餞心亭おゝ乃は、半年間で道の駅の新規出店から商品開発まで精力的に活動できたのだろう。石月さんにふとした疑問をぶつけたところ、その根底には「地元のために」「農家のために」という農産物の素材を生かしたメニューを市外にも届けたい気持ちがあるそう。
若月:昨今、若いひとたちも含めて地元の味をどう伝えていこうという取り組みが増えていますよね。私たちは、こうした新時代のうねりに対してともに起こしていきたいと考えています。
10月2日と3日に出店した道の駅<良寛の里わしま>では、長岡市在住のかたへ食から三条の魅力を伝えました。コロナ禍ではじめた取り組みばかりで試行錯誤していますが、新しい発見も多かった。これからも同じ商圏にはない、あたらしいメニューを生み出せるように取り組んでいきたい。
(つくり手:餞心亭おゝ乃、はなし手:石月勇さん、きき手:水澤陽介)
餞心亭<おゝ乃>
道の駅<庭園の郷保内>
編集部のひとこと
生産者と食べ手の喜ぶ顔がみえる、つくり手としては最高のご褒美。ただ本当においしいものはすぐに完売してしまうから、道の駅<庭園の郷 保内>に出店する餞心亭<おゝ乃>のタイミングはお見逃しなく!
SANJO PUBLISHING 制作部担当:水澤
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