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私の独り言⑰デイサービスでフラワーアレンジメントをやってみた

私がまだ専業主婦だった頃、仲の良い高校時代の友人がフラワーアレンジメントを習い始めた。影響された。

長男が1歳。子守は母に。

月に2回のフラワーアレンジメントの講座に参加。名前も知らない花や見たこともなかった花に出会うのが楽しすぎて丸2年も通い、家の中は花のある暮らしが当たり前だった。

吸水スポンジのオアシスの水の吸わせ方や枝を落とす為のフローリストナイフもどうにか使いこなせる迄になった。

卒業展示があり張り切って一緒に学んできた仲間達と案を練っていた頃、私の下の子の妊娠発覚。

切迫早産の為安静第一との診断が。

本当に残念だったが、卒業展示には参加出来ないままフラワーアレンジメント講座は終了。私は終了証書を安定期に入ってから受け取りに行った。

花のある暮らしから遠ざかってしまった。

無事に2人目の長女を出産。子育て、家事。慌ただしい毎日。

時々は花をスーパーで買う程度。

お盆やお正月にだけは飾る。


そんな生活が数年続いた。


下の子が中学校になったのを期にデイサービスに就職。

ひょんな事から、デイサービスでフラワーアレンジメントを利用者様にやってもらうのはどうだろうか、と提案してみる事になった。

まずはやってみようと案は通り月1回ペースで実施してみる。

利用者様にお花代や日程などの記載したプリントを配布し、希望者を募る。


色々なアクシデントが待っていた。



初回。

1週間前に近くの花屋さんに依頼。交渉の結果、花はお任せで持ってきてもらう事に。

注文した10人分の花が届く。

小分けされていないので配る時に1種類ずつ各自に渡す事にした。


参加者は生け花の心得がある方、全く知識がない方様々だった。

オアシスを容器にセットした物と花とハサミを配る。

ある方は全ての花が手元に来る前に、来た花から次から次に生けていく。

バランスなんて関係無い。

中にはハサミを渡す前にブスブスとそのまま生けてしまう方までいたのでそれはそれは慌てた。

オアシスには広い空間を使ったアレンジが可能なのだが、ほとんどの方が一点集中。全て生け花の様に中央に垂直になるように生けている。

こちらの説明なんて聞こえていないし、聞こうともしていない。

ここはデイサービス。フラワーアレンジメント教室ではないと思い知らされる。

皆様わが道をゆく。


こちらも学習し、2回目からは一人分ずつ花を新聞紙で束ね、オアシスと花とを配った。

花を配り終わったらハサミを渡す様にしたら少し落ち着いた時間が持てた。

しかし花を生けるのが早い。手元に全ての花が来てから、ものの3分で終了してしまう。

それでもほとんど手直しせずにテーブルを用意して一斉に展示すると華やかだった。

参加していない利用者様も眺めに来て男性女性に関係無く「いいねぇ」と癒されている。

アレンジをその日に持ち帰る様にしていたのだが…皆様、宝物の様に大事に持ち帰っている。

ひとまずこんな感じで大丈夫か。

ある時には男性の利用者様が、奥様にプレゼントしたいからと参加していた。


ある時は認知症の重い利用者様から参加の申し込みがある。家族が参加希望に丸を付けて下さった様だった。

その方は普段、意思の疎通が難しく椅子から立ってもらうのすら困難な方。

しかし花をご本人のテーブル上に並べると表情が変わる。目はキラキラと輝き、うっとりと花を眺める様子がみられた。

花の枝はスタッフが短くハサミで切る。その花をそっと持ってもらい、スタッフと一緒にオアシスに生ける。

うまくいったようだった。


後に花にはフラワーセラピーという癒し効果があるのだと知る。

参加者だけでなくその日に来ている利用者様皆に良い影響がある。

それからは自信を持って毎月実施していた。

時にはケアマネから、フラワーアレンジメントがやりたい利用者様がいるのでその曜日に定期利用をさせてもらえないかと依頼があったり。


私の乳癌発覚まで、試行錯誤しながら何とか約5年続けた。

乳癌術後はなかなか介護の現場には戻れなかった。時々フラワーアレンジメントがまたやりたいとのお声も頂いたがそれ以降一度も出来なかったのはちょっと残念。


今は仕事も辞め、花も買わなくなってしまった。

昨日の敬老の日には2年ぶりに花を買ってきてオアシスに生けてみたけれどまあ不恰好。すっかり忘れてしまっている。

呆れるほどだ。


しかしなんとか母に見てもらえた。

が、母は「そう…ありがとう」と一言。思ったよりそっけなかった。

でもいいんです。

私の気持ちの問題だから。

私自身、花に癒されまくってます。



読んでいただきありがとうございます

今日も明日も良いことがありますように



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レビー小体型認知症母の介護日記(ジュゴンM)
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