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【第94回】大切なことは子供から教えてもらった

限界集落の紅葉も 終盤に差し掛かり 落ち葉もいよいよ少なくなって 朝も涼しいから寒いに変わり 温かいコーヒーが美味しく感じる季節になりました

ありがたいことにコーヒーは
17歳の三男が生豆の仕入れから
焙煎まで手がけているので
毎朝とても美味しく
いただいています。

とても研究熱心なので
コーヒーの味も
朝はもちろん昼用
3時の休憩用
合わせるお菓子やレストランのコース料理の締めなど
場面に合わせて
豆を選びブレンド。

挽き目や抽出の温度など
自由自在にコントロールしながら
楽しそうに淹れてくれます。

お客さんの評価も非常に高く
先日は日本全国食べ歩きをされている食通の方に
とても美しい味で
今日食べたコースの料理を一つ一つ思い出すような素晴らしいコーヒーだったと飲みながら評していただきました。

食後のコーヒーは
豆選びや焙煎が強すぎたりすると
全ての料理の余韻を打ち消してしまう場合があるので
注意が必要です。

なかなかに難しそうですが三男にとってはそのくらい朝飯前。

なぜそんなことが
いともたやすく形にできるかというと
焙煎とは何か
熱がどのように伝わって
焙煎中の豆の内部で
いったい何が起きているか
というように
焙煎を単純な物理現象として
とらえられているからでしょう。

ものごとの仕組みの理解を抜きにして
めったやたらに練習の数を増やしても上達することは
難しいと思います。

逆にそのあたりのことを
しっかり整えた上で
練習をくりかえしていると
基礎だけではなく応用力も身についてきます。

実は三男
本格的に和食を勉強している方からも
驚かれるほどの胡麻煎り名人。

その理由は
コーヒー焙煎の理屈がわかっているからにほかなりません。

胡麻和え
胡麻ソース
胡麻ドレッシング
ラーメンのトッピング用と
これまた自由自在に
煎り分けます。

大豆やピーナッツはもちろん
まだ未経験ですが
カカオ豆を煎ってチョコレートをつくるのも
きっと上手いと思います。

なにごともよく観察して
仕組みを理解することができれば
難しいと思っていたことも
実は簡単。

子育てしているつもりでいましたが大切なことはいつも
子供たちから教えてもらっているのですね。

『農業経営者』2024年1月号


【著者】山本 晋也(やまもと しんや)
1968年、京都生まれ。美術大学を卒業して渡米後、京都で現代美術作家として活動しながらオーガニックレストランを経営。食材調達のため畑も始める。結婚して3人の子どもを授かったところ、農業生産法人みわ・ダッシュ村の清水三雄と出会い、福知山市の限界集落に移住。廃屋を修繕しながら家族で自給自足を目指す。現在、みわ・ダッシュ村副村長。

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