嫉妬とか、愛情とか~グサッときたドラマレビュー~
今クールのドラマの中でも、私が読むネットニュースの中で断トツ評価が高くて気になっていたのが、こちら。
『生きるとか 死ぬとか 父親とか』(テレビ東京系、毎週金曜深夜0時12分放送)
コラムニスト/ラジオパーソナリティとして人気のジェーン・スーさんがご自身の体験や思いをもとにして書いた原作をベースにした、「リアルストーリー」。ジェーン・スーさんのエッセイが好きな私はスタート時から楽しみだったのだがなかなかゆっくり見る時間がなく、恥ずかしながら本日の第5話から初めてじっくりリアタイで鑑賞。
第5話のタイトルは、『嫉妬とか 愛情とか』
以下、ネタバレ要素を含みますので、ご注意ください。
毎回ドラマのスタートは、ラジオパーソナリティの主人公の番組に届くリスナーのお便りの内容をきっかけにして、物語が展開していく。
今回のおたよりは、30代後半女性リスナーからの「SNSにアップされた結婚した友人に子供の写真を見ると心がざわついたりイラつく」との相談。
自分も30代後半に差し掛かり、既婚子なしの立場として、とても共感するお便りだった。そのお便りにもあったのだが、そんな自分の気持ちに気づいたとき、子供に対してネガティブな気持ちを抱いてしまう自分に問題があると感じてしまう、というのがまさに、わかりみが深すぎて吐き気がした。
そんなお便りに対して主人公は共感をしながらも、冷静に嫉妬の原因を分析していくと、自分の経験の中での欠損部分に対して異様に反応し嫉妬してしまうのではないかとの結論に至ったと答える。
ちょうど自分にも同じような悩みがある。
自分の先輩・後輩に対して「嫉妬」や「独占欲」を抱いてしまう。「嫉妬」と「独占欲」というと恋愛みたいに聞こえそうだが、例えば、先輩にとって私が一番の存在であってほしいとか、自分が面倒を見ていた後輩がほかの先輩方と楽しそうに仕事をしているとちょっと嫉妬する、みたいなことである。
自分は、学生時代にちゃんとした部活に入ったことがなく、学生時代の先輩・後輩という存在が一人もいない。
中学は、スポーツが苦手で運動部には入りたくなかった。音楽は好きだったので吹奏楽部に入りたかったが、それなりに吹奏楽部が強い学校だったため練習が大変で勉強に支障が出るからダメと主に祖母の反対であきらめたという思い出がある。そのため仕方なく所属したパソコン部で、同学年だけぬくぬく過ごした『ほぼ帰宅部』。そのまま高校は、私立の特別進学クラスに入ったため、受験勉強が部活だった。大学で念願の音楽サークルに入り、はじめての先輩・後輩ができた。先輩は可愛がってくれるし、後輩も意外と自分を慕ってくれて気持ちよく、連絡があれば何時でも集合するし、深夜に朝までファミレスでしゃべったり、一人暮らしの先輩の家に泊まりに行ったり遅れた青春を楽しんだ。しかし、3年の時にマスコミ就活に力を入れようと思い、ドロップアウト。それ以来、疎遠になっている。
つまり、先輩・後輩との絆=自分に欠損した青春として、強く心に刻まれた。
広告会社に就職した私は、仕事柄拘束時間が長い業界のアットホームな社風の会社で、家族以上の時間を同じ部署・チームの先輩・後輩と過ごすことになった。それはほかでもない失われた青春を補う時間だったのかもしれない。
翌日下版予定のカタログの最終チェックを夜通し行ったり、徹夜で明日の提案資料を作ったり、何度も深夜タクシー帰りや、朝を迎えてシャワーだけ浴びに家に帰って、みたいなこともあった。2日完徹後にインフルエンザにかかり、出勤停止になって結果5日間お風呂に入れないこともあった。仕事がきつすぎて、脱毛症になって後輩に毎日抜け毛を数えてもらうこともあった。
そこではじめて信頼できる先輩・後輩という存在が私の人生に加わった。その時同時に、先輩・後輩に対して「嫉妬」や「独占欲」みたいなネガティブな感情が芽生えてきてしまった。
当時社内で「名コンビ」と言われていた先輩が産休明けに復帰後別の部署へ行ってしまったとき、当時の先輩と私の関係を知らない人ばかりになってしまったことがとっても悲しかった。自分がしっかり面倒を見た新入社員で、当時は人見知りで内弁慶で自分を出せなかった子が、すっかり先輩に可愛がられるようになったのをみてうれしい反面少し切なくなったり。先輩・後輩との良好な関係値が自分にとっての欠損部分であるため、自分と他人にある先輩・後輩関係に対してもすごく執着してしまうのだと思った。(私もこのドラマのなかのおたよりのように、まったく別の先輩・後輩コンビがとてもいい関係で仕事をしている様子を見たり、自分の友達から自分の仲良しの部下の話なんかを聞いても、なんかこうもやっとしてしまう。)
今でもその先輩や後輩とは、社内で会えば話をするし、月に1回くらいなんだかんだ世間話や相談、グチなんかの近況報告をしあっている。当時のような密度もなく、今の同じチームメンバーに比べれば全然なのかもしれない。でも、細々とでもなんやかんや続いているというのはどこかにお互いの存在があるんだろうなと(信じたい)。まさに『絆』なんだと思う。
ドラマの話に戻ると、父との関係にある欠損を補うためにいろいろやってみたところ、欠損は埋まらないものの、父の知人から、主人公の知らない父の一面や主人公と父とのつながりを聞かされ、絆を感じるという終わり。
嫉妬と愛情は紙一重なのかもしれないし、嫉妬をしないことは人間出来ないんだと思う。でも、ドラマの主人公のように、その嫉妬の奥底にあるものを追求することで、自分の中の『嫉妬』という感情とうまく向き合えるようになるのかなと、腑に落ちたのでした。
皆さんのレビュー通り、とっても素敵なドラマだったので、今週末はparavidで第1話からゆっくり噛みしめて見直してみようと思います。
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