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好きな空気感を残してくれるカメラ

 今年このような社会状況になってしばらく外に出ることもままならない生活を続けている今現在ですが、私、この期間が過ぎて好きに出かけていいようになったらこれをまた使おう、と決めているものがあります。

 SIGMAのMerrillっていうカメラ。我が家にはこのシリーズがdp1、dp2、dp3と画角違いでそれぞれあって、dp2 Merrillは二台あるんです、私が自分で買った分と夫の持ってる分。

 このシリーズ、暗いところでは暗く写り、明るいところでは白く写り、逆光ではレンズフレアがカラーで出て、書き込みに時間はかかるし手ぶれ補正なんかもついてない、大変素直なカメラ。つまり使いどころを選ぶカメラ、という言い方がいいのかな。全く便利じゃないのでどこにでも連れていけません。とりあえず持っていく…んだったら、私の腕では他のカメラを選ばないと残念な結果しかSDカードに残ってないことも容易に想像ができる。

 でもね、面白いって聞いて買ってみて、最初のころに撮れてた(撮った、ではない。こうなると想定してないから。)写真で「なんだこれ」って思っちゃって…

それがこれ。
現像はその当時のままのものです。

 普通に咲いてるチューリップ、夕方過ぎでちょっと暗かった。それがなんかアートっぽくなったぞ…なんだこれ…って。

 それから「このカメラで撮ったらどうなるんだろう」って思うから使うことが増えて、夫の持ってる画角違いもそれぞれ借りて撮っていた感じ。

 私、葉っぱが大好きなんですよ、気づくと葉っぱばっかり撮ってる。このカメラは葉っぱの形状とか重なり具合とか、結構好きな感じに残してくれるのでなおさら気に入ってよく使っていました。

↑葉っぱの重なり具合のグラデーションの出方が好き。同系色のグラデーションはきれいに出てくれるし、明るいところの葉の色の残り方も面白いなと思うのです。

 葉っぱの重なり具合だとか色合いだとかはとても気になる…というかそういうところを見て癒されたりわくわくしたりするポイントなので、その感じがちゃんと残ってくれるカメラは自分にとっての良いカメラです。

葉や水滴の質感が面白く残っていると思う。


 ここで別のシリーズ。SIGMAのQuattroシリーズも夫がdp0からdp3までそれぞれ持っているのでよく使ってたんですが、こちらは色味がなんとなく違う感じ。似たような色合いの被写体の写真を持ってきてみたけれど、なんとなくでも伝わりますかね?

蓮じゃなくて睡蓮だけど、色合いってことで…。

 どう表現したらいいかわからないんだけど、Merrillに比べると全体的に平均的にきれい、な感じがする。Merrillの方がその時の光の色にだいぶ左右されるような感じがします、目で見るときの感覚よりもシビアに暗い明るいが葉の色味に反映されるように思う。

紫陽花も上の写真はQuattro。この下のがMerrillです。別の場所の別物の紫陽花だから、というのもあるんだけれど、質感そのものがだいぶ違う感じ。きれいに傷のない花でなくても味がある感じ…に見えるのは私にとってはMerrillなんですよね。完全に主観ですが。

 春先から初夏にかけては私の好きな若い緑色が街に増える時期ですから毎年カメラを持ち歩くことが楽しい時期にあたるんですが、今年はそうやって歩き回ることができなかった。だから以前撮った写真を見返して再現像してみたりするんだけど、再現像してみようと思う気持ちに一番なれたのが、Merrillで撮ったものを見返したときでした。

 あ、これ、今度また使ってみようって。

 ここ数年はもっと軽く持ちやすく買い物ついででも持って行って邪魔にならない暗いところでも写りやすいカメラをお供にしていましたが、それとは別に見慣れた近場の景色でも写してみたら少し違うものが見えるかもしれないなと思えたのです。

 一周回って、全体的にそつなくきれいに撮れるQuattroシリーズよりもMerrillの方を使ってみたくなりました。外れがMerrillより少ないという意味では展示する作品になるものを撮るときはQuattroを持ち出すことが多かったけれど…それでも最終的に展示に選んだのはMerrillで撮った方だったりしたから私はMerrillが合ってるみたいです、結局。カメラって用途によって手軽なのが良かったりよく写るのが良かったり、って出るたび興味を持つこともあるけれど、他のカメラはもういいかな、と思えた感じ。手軽なもの、望遠に適してるもの、そして面白いもの、それぞれあるので、またこれらを使い回して見慣れた景色を新鮮な気持ちで見るような時間の使い方も楽しそう。

 遠くになかなかいく機会が得られなかったとしても、楽しめそうです。

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岡下 伸予
誰かの心の平穏やきらきらを取り戻すお手伝いがしてみたい。

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