アーチェリー部顧問の怒りが最高だったあの日
高校時代、アーチェリー部に所属していた。アーチェリーは洋弓で、結構な部品や用具がまず必要なのである。矢、弓はもちろん、防具、狙いを定める部品などなど。
矢をひっかけるところを、ワックスが少しかかったひものようなものでしるしをつけ、ライターで軽くあぶって固定させる。そういうことも先輩たちに教えてもらいながらワイワイ仲良く部活をしていた。
運動部の割には日陰の部活で、毎日筋トレと校舎の裏で矢を打つ練習。顧問の先生はあまり来ず、とりあえず名前だけ顧問のような感じで、結構放任だった。私達には自由ですごく良かったが、社会の先生で授業中に、アイムソーリー、XX総理ーと平気で投下しちゃう人だった。
生活指導である学年主任の先生は真逆で、めちゃめちゃこわくて、昭和にありがちな、意味不明に厳しく、(学校というより組織なのでは)という雰囲気を醸し出すもちろんサングラスをかけた先生。その先生に、私達がアーチェリーの器具を固定するライターを使って焚き火遊びをしていたことがバレた。
アーチェリー部全員集合を余儀なくされた。
学年主任は生活指導も担当しており、彼が顧問じゃなくてマジで良かった、とみんながおもっていたことだろう。少し前に、二人乗りでチャリ(自転車のこと)で帰宅した友達はビンタをくらったとこだ。
とりあえず、お説教は顧問の先生がめちゃくちゃ厳しく叱る、というスタンスで生活指導にまではあげない、ということだった。
先生もそのほうが都合がよかったのだろう。しかしきゅうを据えねばならぬ。ただ、怒りなれていない先生だったので、半ばどうするのだろうと興味津々に期待をしていた。
とりあえず全員が教室に入り、まず顔を伏せろといった。
静かな教室に響く先生の落ち着いた声。
『この中で、ライターで焚き火したやつがいると聞いた。そいつは手を上げろ。』
もうこの時点で笑いがこみ上げる。
なんやねん、ライターで焚き火て。コントかよ。
しかし、私達はおこられているのだ。とにかく笑ってはいけない。
先生ゆっくりと続けた。面子を保つためにも。
『手をあげろといってるんだ!』
がんばって怒る先生。
ちらほら男子が手をあげる(あ、もちろんチラ見してました)。何をされるのかと少しビビってる。
先生は全力で怒ってくれてる
『なんで焚き火なんかしたんや。』
『....。』
誰も返事しない。
少し声のトーンが上がる。
『なんで焚き火をしたんだと聞いているんだ』
男子生徒が一人、勇気を出して話し始める。
『はぁ。まあ、その器具をつけてたら、ちょっとやってみようってことになって..』
ここで先生はもっと怒ってるところと、指導しているところを、とおもったのだ。
『なんでや、なんでやったんや。先生は理由をきいとる。答えられへんのか、おまえら。....はあぁ、さては寒かったんやろ。そうや、そうにちがいない。
おまえら、寒かったんかぁあああ!!!!(ここボリュームマックス)』
ちらっと隣を見るとみんなめちゃくちゃ必死で笑いを堪えてる。
(なんや、さむかったんかぁああああ!て。
どんなおこりかたやねん。)
絶対みんな自分で突っ込んでる。くそぅ、関西の血はこういうとき変に作動する。
こういう場では笑ってはいけないと知っているのでとにかく下を向く。うなずく。もうしませんと誓う。
先生は、『生活指導までは持っていかない、ここだけでおわりにしとく』といっておわった。
あんまり怒られた印象は残っていない。