お空の上の物語「SORA」#3
キラーのお家
「愛でいっぱいの光り輝くソウルのたまごになってもどってくるよ。」
地球の卒業テストの旅の代表になったピピは、そうキラリーとソウルグループのみんなに誓いましたが、まだ地球へ出発することはできません。地球に生まれる日まで、ソウルメイトと一緒にお空のシステムを学んだり準備をしたり役割を話しあったり……。ソウルググループ会議でみんなで決めた地球の旅の計画に合わせて、これからはピピが自分自身で地球の旅をもっと詳しく決めていくのです。キラーがピピに言いました。
「まずは森の奥に住んでいるキラーから、人間スーツを貸りに行きましょう。ピピにとって地球で一番重要なソウルメイトたちもキラーの家に行くはずよ。その子たちが選んだ人間スーツの特徴を覚えておけば、ピピがお空の上のことを思い出した時、誰がピピのソウルメイトかがわかるはず。」
キラリーにアドバイスをもらったピピは、お空の上の森に住むキラーのもとへやってきました。
キラーは人間のことなら何でも知っている先生です。キラーはいつも地球の旅で、神官や巫女・修行僧など神さまに仕える人生を選び、その度に、人間の精神や体について深く学び悟りを開く経験をしていたそうです。だから、子どもたちに人間スーツを貸す仕事を神さまに任せられた、と、キラリーに以前教わったことがあります。
キラーのお家は、花に囲まれた可愛い黄色いお家です。
ピピがキラーの家に着くとすぐに、ピタが男の子と一緒に歩いてきました。空からパタパタと飛んできた男の子もいます。
キラーの家に集まった子どもたちは全員で4人でした。地球で自分の目的を忘れたり、迷ったり、予定と違う道を選んだりした時に現われて、旅の目的を思い出す手伝いをしてくれる重要なソウルメイトたちです。
「ピピ。この子ピットって言うの。空から飛んできた子はピッチよ。キラーに人間スーツを借りるソウルメイトたちは、みんな”ピ″から始まる子どもなんだって、笑っちゃうよね、ハハハ。」
と、ピタは笑いながらピピに教えました。
「よろしく、ピット、ピッチ。ぼくはピピ。地球の卒業の旅を君たちと一緒に行けることができて嬉しいよ。」
子どもたちがあいさつをしていると、ギーと音をたてて大きな扉が開きました。振り向くと、家の中からキラーが出てきました。キラーはキラリーのように金色の髪を持つ長いおひげのおじいさんです。手には叡智の杖を持ち、キラリーの羽のように杖をふれば何でもできます。キラーの体全体は穏やかな優しい光でつつまれています。
「おーよう来たな。地球の最後の旅をする子どもたちじゃな?」
「久しぶりキラー。僕、やっと順番がまわってきたんだよ。」
ピピはそう言うとキラーに抱きつきました。あたたかくて大きな愛でいっぱいのキラーがピピは大好きです。
「ピピじゃないか。おーおー、よかったな。最後の旅の代表に選ばれたんだな。うん?じゃあ、ピタもいるじゃろ。」
「こんには。キラーもちろん私もいるわ!今回もよろしくお願いします。」とあいさつをしました。
「おー、お前たちがピットとピッチじゃな。いろいろ話は聞いているぞ。とても優秀だから、必ず地球を愛の星にするために力を発揮するってな。地球はとても楽しい所じゃ。必ず二人の目的を果たし、お空の上へ戻ってこられるじゃろ。さーさー、家の中に入りなさい。」
キラーは子どもたちを部屋へ案内しました。キラーの家はいつ来てもとても気持ちがよくリラックスができます。
「キラーのお家はなんでこんなにいい気持なんだろう。」
ピッチがいいました。他の子どもたちも同じ意見です。みんながキラーを見ました。キラーは優しく微笑みながら話しはじめました。
「物にも気持ちはあるんじゃよ。物があふれているのは、小さい家にたくさん子どもが住んでいるお家と同じじゃよ。子どもたちはお母さんの愛が欲しくて、自分に気づいてもらうために大騒ぎをするじゃろう、物もそうやってご主人様に気づいてほしんじゃ。たくさんの物の気づいてエネルギーで、リラックスすることは難しいじゃろう。」
「そっか。僕たちが身の周りにある物すべてに愛が与えられればいいんだね。物がたくさんあったらわかんなくなっちゃうもんね。キラーのお家みたいに必要な物だけにすればいいんだね。」
「その通り。これは地球のシステムなのじゃ。地球は愛が欲しい人や物だらけじゃ。動物や植物だってそうじゃ。すべてに気持ちはあり愛を欲しがっている。愛の星、地球にするためには、全てのものに愛を与え感謝することじゃ。それが41個目のソウルのたまごの学びのひとつなのじゃ。」
「この部屋にあるものは、毎日私が”ありがとう”を言っているからな。物たちも愛で満たされ愛がああふれているのじゃよ。だから、ピッチたちはリラックスできて気持ちがいいのじゃ。」
「なるほど、そういうことだったのか。」
みんなは大きくうなずきました。ピピたちは、地球のシステムについて、ひとつ大切なことを学ぶことができました。
直感とハートの声
「さあ、人間スーツを借りに来たのじゃろ。地球の旅にでかける前にやることはいっぱいじゃ。早速、今まで教えていなかった人間スーツについて地球のシステムを話さなければな。」
そう言うと、キラーは叡智の杖をふりました。
すると、みんなの頭の中に、ソウルのたまごの中に入っている小さいピピが本のようなものを見ているイメージが浮かび上がりました。集中すると、ピピのソウルのたまごは、螺旋のひものようなものに囲まれています。近くには女の子がソウルのたまごを大事そうに抱えていました。
「地球ではこうやって、頭の中にイメージが浮かぶんじゃ。映像の代わりに言葉が浮かんだり声が聞こえたりすることもあるだろう。それが、直感というものじゃ。直感はお空の上の私やキラリー、ソウルグループのみんなからのメッセージなんじゃよ。」
お空の上では、イメージしたものは目の前に現われたり、心の中で会話ができたり、行きたいところへ行くことができたりしますが、地球ではそれができません。お空の上と繋がる唯一の方法が直感なのだそうです。
「この小さなピピは、地球のお母さんのおなかの中で、自分がオーダーした人間を夢の星で作ってもらった計画書をみながら作っていくんじゃ。その計画書には、人間スーツのどの遺伝子をスイッチオンすれば自分のオーダー通りの体が作れるかが書いてあるんじゃ。もし、押し忘れても後で気づけばいつでもスイッチオン・オフはできるのじゃ。」
「そしてこの小さなピピが心臓にセットされ、お母さんから生まれた体にお空の上のメッセージを直感で伝えるんじゃ。人間は直感で動かすんじゃよ。小さなピピは頭の中にハートの声を響かせるんじゃ。人間をうまく動かせるようになれば、人間にイメージや言葉も伝えられるようになるからな。」
「しかし、人間は心が傷つく経験をすると、小さなピピの心の声を聞かないよう封印してしまうのじゃ。そうなると、当然だがお空の上と繋がることができなくなってしまう。代わりに脳が二度と傷つかないように、過去の経験や記憶をもとにイメージや言葉を送り、安全に安全に人間を動かすのじゃ。そうすると、地球の旅の目的が果たせなくなってしまう。そうなった時でもあきらめず心の声を伝え続けることが大切なのじゃよ。」
キラーは人間の体の動かし方をていねいに詳しく教えてくれました。
目覚めるということ
一生懸命聞いていた4人でしたが、頭の中はごちゃごちゃです。今まで自分たちは、地球に生まれ、地球の土を踏んで息をして生きていたと思っていました。でも実はずっとお空の上にいて地球へは行っていなかった。小さなアバターの自分が代わりに地球の旅へ行ってお母さんのおなかに入って……。それから、お母さんが生んでくれた体を心臓から直感を通して動かしている。今までの地球の旅では、お空の上のピピは眠っていたのでそんな事実は知りませんでした。知っているのはキラリーやキラーだけ。だけど、今回は地球最後の旅なのでお空の上の真実を教えてくれたのですが、なかなかその事実を受け入れられませんした。やっと、ピピは頭の中を整理してキラーに言いました。
「今回はお空の上の僕が眠らず、最終的に小さなピピと繋がって協力しながら、地球の体を動かすことができるってことだよね。そうすれば、キラリーが言ってた、地球を愛の星にすることはとても簡単かも……。」
他の3人もピピと同じように、複雑なお空と地球のシステムを理解することができたようでした。
「小さいピピが作った人間が、まずは心の中に小さなピピがいることに気づくこと。そして、その小さなピピはお空の上のピピと繋がっていることに気づくこと。そうすれば、お空の上のピピが人間を動かすことができるシステムじゃ。」
「なるほど、なるほど。よーーくわかったわ。ありがとうキラー。」
ピタがお礼を言いました。キラーは理解をしてくれた子どもたちを見て優しく笑いました。
太陽の神さまと月の神さま
「次は人間を見守る神さまについてじゃ。」
そう言いながら、キラーが杖をふると、部屋の中に太陽と月の神さまがあらわれました。
「こんにちは!私が人間をポジティブな気持ちにさせる太陽の神よ。」
元気いっぱいの女の子が言いました。
「はじめまして。私はネガティブになった人間の気持ちを癒す月の神よ。」今度はおとなしい控えめな女の子が言いました。
「地球の旅の目的を果たすために、子どもたちの心をサポートしてくれるのがこの太陽と月の神さまなんじゃよ。」
そうキラーが言うと、地球を旅する子どもたちの心をサポートするお空の上のシステムについて教えてくれました。
ソウルのたまごの30個までの学びは、辛い・悲しい・憎い・怒りなどの感情を多く経験するのでネガティブな感情を持ちやすくなるため、月の神さまが主にサポートをします。
30~40個は、地球でもお空の上のように自分の願いは全て具現化し、地球の旅をおもいっきり楽しむことを学ぶ旅なので、ポジティブに考えること、前向きに行動することが必要になります。なので、太陽の神さまが主にサポートをします。
41個目は神さまステージへ上がるための地球の卒業テスト、ソウルグループ全体の学びをクリアする一番大事な旅です。なので、太陽と月の神さま両方からあついサポートを受けることができます。
もちろん、自分でサポートをする神さまを選んでもかまいません。
また、どちらかを選んだとしても、助けを求めればこの2柱の神さまがバランスよく地球の旅を手助けをしてくれるそうです。全ては自分の旅の計画に合わせて設定できるのです。お空の上のシステムは時に臨機応変です。
つづく
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