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お空の上の物語「SORA」#2

地球の卒業テスト

ソウルグループの代表は、40個のソウルのたまごを持っているピピに決まりました。お空の上の子どもたちの先生のキラリーは、ソウルグループのレベルアップのため、地球の卒業テストを決めた子どもたちに話し始めました。

「では、まずは41個目のソウルのたまごについて説明するわね。」
そう言うと、キラリーは目を閉じ子どもたちの目の前に木箱のソウルボックスを出しました。
「これはわたしのソウルボックスよ。私も地球の旅をしたことがあるの。これが地球の最後の旅で私が集めた41個目のソウルのたまご……。」
キラリーは、ふたを開けてダイヤモンドのように輝く正八面体のソウルのたまごを取り出しました。
「わあ~。」
子どもたちは息を飲みました。その輝く光は今まで見たことがない素晴らしいものでした。それは、次から次へと溢れ出てくる愛の光だということが子どもたちにもわかったからです。静かにキラリーが話しました。
「41個目のまるいソウルのたまごは、地球に到着すると正八面体になるわ。正八面体のソウルのたまごは、ガラスのようとっても繊細で傷がつきやすいから気をつけてね。いつものよう磨いたらまるくなっちゃうから。磨けば磨くほど光を増すのがこのソウルのたまごの特徴よ。地球を旅立つ最後の日までピカピカ磨いて、愛が溢れるソウルのたまごにすることが地球の卒業のテストなの。」
地球の旅を何度も経験しているピピでさえも、キラリーの話がよくわかりませんでした。
「いつものようにソウルのたまごを磨いちゃいけないってことだよね。どうやって磨くんだろう?」
ピピがキラリーにたずねました。
ピピの疑問に答えるために、キラリーはピピの碧いソウルのたまごを手にすると静かに目を閉じました。キラリーがピピのソウルのたまごを見ながら地球の様子をイメージすると、ピピが行こうとしている地球の様子がお空の上に映し出されました。

地球を旅する目的

それは自然災害・環境汚染・ウイルス感染など、様々な地球レベルの問題を世界中の国々で協力しなければ乗り越えられない地球の様子でした。
それを見たピピは気づきました。
「キラリー。もしかしたら、この地球の旅をしている多くの子どもたちは、ぼくと同じように41個目のソウルのたまごの学びをしているってことなのかな?」
「そう。その通り。ピピがこれから行く地球は41個目の学びの地球。地球に生きる全ての命がみな一つになる素敵な地球よ。」
キラリーはピピにわかるように、ゆっくりていねいに説明してくれました。「41個目のソウルのたまごの学びは、ソウルグループの学びを全てクリアして、地球や人のために自分ができることを見つけること。そして、自分に協力してともに行動してくれる仲間を見つけ、地球や人に愛を与えることなの。」
「その仲間はねとても強力な助っ人なの。今までは、地球に生まれたら、お空の上のことは忘れてしまうシステムだったけど、今回はお空の上のことを思い出すことが最初の課題よ。お空の上を思い出してお空の上の仲間と繋がれば、ソウルグループの学びをクリアするたびに魂がバランスよく磨かれ正八面体の形になるの。」
「お空の上のことを思い出せれば、地球や人に愛を与えることや地球に生きる全ての命がみな一つになることは、簡単に本当ならできちゃうはずなんだけど……。」

傷ついたソウルメイトとピピの誓い

「簡単に本当ならできちゃうはずなんだけど?」
ピピに聞かれたキラリーは、地球の子どもたちの様子を見せてくれました。そこには、ソウルのたまごを光り輝かせることをすっかり忘れ元気がない子どもや穴から出ようとしている子どもがいました。それを側で応援している子どもたちもいます。
「41個目にチャレンジしてる子どもたちは、地球の経験の多い子どもたちばかり。いつもの癖でどんな辛い経験も自分ひとりでたいていのことをクリアできちゃうの。でも、今回は地球規模の問題だから、ひとりの力ではどうしようもないと気づくことができても、誰と協力して誰に助けを求めていいのかわからないの……。」
キラリーは続けました。
「だから、地球で迷っているソウルメイトの子どもたちを助け、愛を与えることが旅の目的なの。愛を与えれば、必ず愛を受け取ることができるのがお空のシステムよ。愛があふれる光り輝くソウルのたまごになって戻ってくることができるわ。」
真剣に聞いていたピピの顔が笑顔になりました。キラリーの話を聞いて、41個目のソウルのたまごの学びがよくわかったからです。
「わかったよ、キラリー。地球に生まれたら、なるべく早くお空の上のことを思い出すから!そして、ソウルのたまごを光り輝かせることを忘れている仲間にお空の上のことを思い出せるように愛を与え助けるよ。そして、地球の最後の旅だもん、卒業テストを頑張るご褒美にとってもドラマチックな夢を叶えてくる。困った時は遠慮なくソウルグループのみんなやソウルメイトに助けてもらいながら!」
ピピは笑顔で言いました。

地球へ旅するためのお空のシステム

ピピが41個めのソウルのたまごの磨き方を理解してくれたことがわかったキラリーは、優しくピピを抱き寄せました。
「それでいいのよ。では、賢いピピのご褒美におもしろいものを見せてあげる。」
そう言うと、キラリーは白いキラキラした羽でピピを包み込みました。
すると、突然ピピの頭の上から光のスレッドがスルスルと伸びはじめました。その光のスレッドはどんどんのび、ピピの碧いソウルのたまごの中に入って止まるとしばらく強く光り続けました。
そして、一瞬、お空の上がまぶしくなるほどの強さでピカっと光り輝きました。ピピはまぶしくて目をおもわずつぶってしまいましたが、何が起こったのかを確かめたくてすぐ目を開けました。するソウルのたまごの中に、小さなピピが立っていました。
「ソウルのたまごは、地球の旅に必要な宇宙船よ。お母さんのおなかの中で、小さなピピが人間の赤ちゃんを作っていくの。そして、赤ちゃんの心臓にソウルのたまごがセットされ、小さなピピは心の声で人間を動かすのよ。お空の上を思い出したら、お空の上の声で人間を動かすこともできるのよ。」
「僕は地球に行ってなかったってこと?あの僕が乗ったカプセルが宇宙船じゃなかったの?」
驚いたピピがキラリーに聞きました。キラリーはうなずきました。
「ずっと、小さいピピが行ってたのよ。ピピはいつもカプセル型のベッドに寝ていただけ。夢の中で人間の目から地球を見ていたの。心の声は小さなピピの声だったってわけ。空の上のピピの眠りが深いと小さなピピの声が人間に聞こえなくなるシステムなのよ。」
ピピとソウルグループのみんなはビックリして何も言えませんでした。あの楽しかった地球の旅が夢だったなんて。信じられません。地球の卒業テストを受けることを決めると、今まで知らなかったお空のシステムを全てを知ることができます。地球の卒業テストは地球の学びの総復習です。神さまステージへレベルアップするためには、今のステージを理解することが必要です。お空の上のシステムを理解することも、地球の卒業テストの攻略方法なのです。

ソウルメイトの役割

「ピピのソウルメイトたちは青い糸で繋がっていて、地球で家族や友達、隣人、知り合いとして必ず会えるわ。すでに、地球に生まれているソウルメイトたちもたくさんいるの。まずは青いソウルメイトのお手伝いをするのよ。終わったら違う色のソウルメイトをお手伝いしてあげてね。たくさんの愛を与えることができれば、地球は愛であふれ、愛の星になることができるのよ。」
「ピピ、何か質問はあるかしら?」
キラリーがピピにたずねると、ピピは首を横にふりました。
「よかったわ。じゃあ次はソウルメイトと合流して準備をはじめましょう。ピピと一緒の時期に、地球の旅へ行く他のソウルグループの代表の子どもたちが、大切なソウルメイトよ。地球に生まれる日がくるまで、ソウルメイトと一緒にお空のシステムを学んだり準備をしたり、役割を話しあったりするの。これからが忙しくなるわよ。まずは地球でピピを生んでくれるお母さんを探しましょう。」
キラリーがそう言うと、いつのまにかピピのまわりに、今回地球を一緒に旅するソウルメイトの子どもたちが集まっていました。
キラリーが手を上げると、お空の雲にすき間ができました。お空の下には、青く輝く美しい地球が見えます。子どもたちは落ちないようにその雲のすき間から地球をのぞきこみました。
「わー。やっぱりきれい地球って。」
誰かが言いました。ピピはソウルメイトたちの顔を見ました。ピピはたくさん地球の旅をしているので、以前に助け合ったソウルメイトがいてもいいはずなのですが、今回の地球の最後の旅をともにするソウルメイトは初めて会う子どもたちばかり。
「誰も知ってる人がいないな。」
そう思ったピピに、
「ピピ、私たちこれが最後の地球の旅になるのね。」
と、誰かが話しかけました。聞き覚えのあるその声にピピがびっくりして振り向くと、そこに満面の笑みで女の子が立っていました。その女の子は、ピピが地球の旅へいくたびにいつも一緒だったソウルメイトのピタでした。「ピタ!よかった、また一緒に旅ができるんだね。ピタがいればもう大丈夫、安心したよ。」
ピピがそう言うと、いつもピピを元気にしてくれる明るい声で言いました。「私たちは地球の旅をし始めた時からずっと一緒だったでしょ。お空の上の子どもたちは、必ず毎回地球の旅でお互いを助け合う別のソウルグループの子どもがいるのよ。私とピピみたいにね!」
「えーそうだったのか!ピタと一緒だったのは、ずっと偶然だと思ってたよ。」
「私の地球の卒業テストの地球の旅の目的は、ピピを思い切りサポートをしながら、他のソウルメイトもサポートすることなの。そして、ピピと一緒に愛であふれる光り輝くソウルのたまごになってお空の上へ戻ってくることよ。」
ピタがワクワクしながらピピに旅の目的を教えてくれました。
「ありがとピタ!僕も君をおもいっきりサポートするからね。二人で地球の最後の旅を楽しもう!」
ピピとピタは微笑み合いました。ピピは自分をサポートしてくれることを目的にしてくれたピタに感謝しかありませんでした。

地球のお母さん

二人は、お母さんを選ぶためにお空の上のすき間から地球をのぞき込みました。
「ピピ、今回はどの人をお母さんにするの?あの元気な人はどう?」
ピタがピピに言いました。ピピは元気な女の人を見ました。でも、ピピはキラリ―と約束したことが頭から離れませんでした。
“ソウルのたまごを光り輝かせることを忘れている仲間にお空の上でのことを思い出すよう手伝ってくる。”
ピピの地球へ旅をする目的です。だからピピは、隣で悲しそうだけど優しそうな女の人が気になりました。
「ぼく、お母さんはあの女の人がいい!あの人の子どもになってお母さんを笑顔にするよ!」
「じゃあ、私はお隣の元気なお母さんの子どもになる。
そうすれば、地球に生まれてもきっとピピとすぐ会えるし、仲良しになってお互い助け合うことができるしね。ピピの近くにいればいつでもサポートができるわ。」
ピタがピピに軽くウインクをしました。
「じゃあ、お母さんも決まったことだし。ピピまたあとでね!ソウルグループ会議で素晴らしい旅の計画を作ってきてね。私もワクワクするのを作ってくるから後で報告しあいましょ。」
そう言うと、ピタはスーッとピピの目の前から消えました。地球のお母さんを決めた子どもたちは、いったんソウルグループの仲間のもとへもどりまたソウルグループ会議をします。今度の会議では、お母さんになる人のお空の上の計画を見ながら、代表の子どもの地球の旅の計画を作ることが目的です。

お空の上のソウルグループ会議2

「ピタは相変わらず行動が早いな……。」
そうつぶやくと、ピピもソウルグループのみんなをイメージしました。お空の上では、イメージすれば簡単にみんなのもとへもどることができるのです。

ピピが戻った時にはすでにソウル会議が始まっていました。ユーズを囲んでもう話しあっています。ピピもすぐ会議に加わりました。ピピの地球の旅の計画を、みんなで一生懸命考えるこの会議がピピは大好きです。
「よし、旅の流れはこんな感じだな。あとは、この流れにそってピピが好きなように考えてくれればいいだけだよ。」
ユーズが言いました。そして、みんなで決めたピピの地球の旅の計画書を読み始めました。

まずはピピのお母さんになる人の笑顔を取り戻す。
お母さんが笑顔を取り戻したあとは、家族の幸せを味わう。
14歳から20歳、28歳から34歳、42歳から48歳の3回の期間で、ソウルグループの学びを全てクリアする。
49歳までにお空の上のことを思い出す。
50歳からは使命を果たすことに関連する仕事をして夢を叶えていく。
ひとりでも多くのソウルメイトに愛をあたえる。
地球を旅立つ最後の日までワクワクしながら旅を楽しむ。

「了解!これに合わせて、ソウルメイトともっと詳しい地球の旅の計画を立ててくるね。」
ピピは地球の卒業テストの旅が、ワクワクで仕方ありません。一体どんな体験ができるのか予想もつかないからです。お空の上では、失敗という言葉はありません。ピピがもしテストに合格できなかったとしても、それさえもピピやソウルグループには必要な経験なのです。


ユーズがソウルグループ会議が終わったことをキラリーに報告すると、キラリーはお空の上に地球を映しだしてくれました。
「この地球が愛の星になること。それは宇宙に愛の星が増えるということなのよ。あなたたちがしようとしているチャレンジは、とても素晴らしいこと。私も精一杯お空の上からサポートをするわ。そして、みんなが神さまステージへレベルアアップできるよう祈っているわ。」
キラリーの優しい愛のある言葉をもらい、子どもたちはみなとても心強く思いました。ピピが何か言いたそうにしているのに気づいたキラリーがピピに言いました。
「さあ、ピピ。ソウルグループのみんなにどうぞ伝えて。」
「うん!みんなありがとう。僕、地球を旅立つ最後の日まで人生を楽しみながら、たくさんの人の光を取り戻すお手伝いをしてくるよ。そして、愛でいっぱいの光り輝くソウルのたまごになってもどってくるね!」
ピピは、ソウルグループのみんなに感謝の気持ちをこめて言いました。
ピピの冒険は始まったばかりです。

                              つづく


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