見出し画像

お空の上の物語「SORA」#1

生まれる順番を待つ子どもたち

「さぁ、次は誰がこのソウルのたまごを使うのかしら?」
キラリーは、ソウル工場で作ってもらったソウルのたまごを落とさないように、大事に胸にかかえながら思いました。

キラキラと光り輝くキラリーは、お空の上で地球に生まれる順番を待つ子どもたちの先生です。キラリーを待つお空の上の子どもたちのいるお空の広場まではもうすぐです。キラリーは帰り道を急ぎました。

「キラリーお帰りなさい。これがソウルのたまごなんだね。」
キラリーの帰りを誰よりも待っていたピピが、お空の広場に戻ってきたキラリーに駆け寄りました。キラリーがかかえているソウルのたまごは透き通った碧い色です。
「ただいまピピ、他の子どもたちをお空の広場に集めてくれるかしら。
 みんなが楽しみにしている地球の旅へ、このソウルのたまごにのって
 行けるわよ。早速、ソウルグループの代表を決めなきゃね。」
「うん。わかった。」
ピピが答えました。

ピピはお空の上で地球に生まれる順番を待つ子どものひとりです。もう、何百回も地球へ旅をしたことがあります。それでも、ピピにとって地球の旅は楽しみで仕方がありません。お空の上で経験ができない素晴らしい経験が地球ではできるからです。何度でも行きたくなる場所、それが地球なのです。

キラリーに頼まれたピピは目をつぶりました。
そして、心の中でお空の上で地球へ旅をする順番を待っている子どもたちに話しかけました。
「みんな。キラリーがソウルのたまごを持って帰ってきたよ。
 地球へまた遊びにいけるんだ。ソウルグループの代表を決めるから、
 お空の広場に集まってだって。」

お空の上では、心の中で話しかければ誰とでも心の中で会話ができます。
ピピの心の声を聞いた子どもたちが、背中にある可愛い小さな羽をパタパタさせてお空の広場に集まってきました。広場に集まってきた子どもたちはおおはしゃぎ。待ちに待った日が来たのです。大喜びの子どもたちは、次々とキラリーに駆け寄り話しかけました。
「おかえりキラリー! はやくソウルのたまごを見せて!」
「今回はだれが代表になるのかな?楽しみだな。」
たちまち、お空の広場は賑やかになりました。
その中で、ひとりピピは黙々と広場に集まった子どもたちを数えはじめました。ピピはお空の子どもたちの中でも、人一倍誠実で真面目です。なので、お空の上の子どもたちをまとめるキラリーのお手伝いをまかされています。「1、2、3、4、……33っと。あーみんな集まってる!」
子どもたちが集まったのを確認したピピは、両腕をあげて大きな丸をつくりながら
「キラリー。みんな集まったよ。」
と、心の中でキラリーに話しかけました。どんなに騒がしくても、心の中の声は静かに優しくキラリーに届きます。それが空の上の心の会話なのです。「ありがとう。ピピ」
キラリーも心の中でピピにお礼を言いました。そして、お空の広場に集まった子どもたちに、キラリーの美しく輝く大きな羽をパサパサと動かして合図をしました。すると、今まで賑やかだったお空の上の声がピタっと止みました。子どもたちはキラキラした目を輝かせながら、キラリーの顔をみつめています。

地球の旅の勲章ソウルボックス

「さーみんな、待ちに待った地球へ旅をする時がきたわよ。今回地球へ旅を
 するのは誰かしら?まずはこれを受け取ってちょうだい。」
キラリーがそう言うと、子どもたちの目の前にソウルボックスが現れました。お空の上では、キラリーがイメージしたものは簡単にすぐ目の前に現れます。
「わー!ぼくのソウルボックスだ!!」
「きゃあ。待ってたわー!!」
子どもたちは歓声をあげました。キラリーはニコニコしながら
「まずは、ソウルボックスの中にあるソウルのたまごの数を確認してね。
 それから、ソウルグループ会議を開き代表を決めましょう。」
と言いました。

ソウルボックスには、子どもたちが地球の旅で集めたソウルのたまごが入っています。キラキラ輝く旅の勲章は子どもたちの宝ものです。ソウルのたまごを見るたびに、地球の素晴らしい経験を思い出すことができるので、子どもたちはソウルのたまごを眺めるのが大好きなのです。

「あれ?ぼくのソウルボックスがないな。」
ピピはあたりをキョロキョロと見まわしました。
「ピピこっちにあるわよ。」
心の中でキラリーの声がします。ピピがキラリ―の側へいくと、
「ピピ、今までよくがんばったわね。あなたのソウルボックスは、ソウルのたまごでいっぱいよ。」
そう言うとキラリーは、ピピの柔らかな髪の毛を優しくなでながらソウルボックスを渡してくれました。ピピは恥ずかしそうにうなずくと、そっとソウルボックスのふたをあけました。中には今までピピが頑張って集めた光り輝く色とりどりのソウルのたまごがたくさん入っています。その輝きに気づいた子どもたちが、ピピの側に近寄ってきました。ピピのソウルボックスをのぞき込んだ子どもたちはビックリして言いました。
「すごいね、ピピ。こんなにもう集めてたの?」
「1、2、3、4、5……40、40個あるよ!あと1個集めれば、ぼくたちの
 ソウルグループの地球の旅が終わりじゃないか。」
「わたしたち、神さまステージにレベルアップのチャンスなのね!」
子どもたちは、興奮が止まりません。

ソウルのたまごの数で地球の旅は大きく3つに分かれています。
41個目は神さまステージへ上がるための地球の卒業テスト、ソウルグループ全体の学びをクリアする旅。
30~40個は、地球でもお空の上のように自分の願いは全て具現化し、地球の旅をおもいっきり楽しむことを学ぶ旅。
30個までは辛い・悲しい・憎い、怒りなどの感情を経験して、その経験さえも素晴らしいと感謝できるようになるための学びの旅です。

代表に選ばれた子どもが持っているソウルのたまごの数で地球の旅が決まります。 ソウルグループの子どもたちが、バランスよく地球の旅で様々な経験を学び、クリアしていれば、41個目の地球の卒業テストはクリアできます。ソウルグループのバランスをよく考えながら、誰にどの旅をしてもらうのかを決めるのがソウルグループ会議です。ですから、ソウルグループ会議はとても大切なものなのです。 

 神さまのステージへ行くための地球の卒業テストを挑戦してもしなくても、それはソウルグループの子どもたちの自由。 

 さあ、ソウルグループ会議がはじまりました。 ソウルグループの班長のユーズが言いました。
 「もう僕たちソウルグループの魂レベルは、地球の卒業テストに合格できるくらいバランスがよいと思うんだ。」 
 ユーズは、ソウルグループの子どもたちの全てを把握しています。子どもたちの経験した内容、学び、まだ残っている課題を分析してソウルグループのバランスを調えるのが班長の役割です。
 「ユーズが言うなら絶対大丈夫だね。せっかくテストを受けられるようになったんだもん。神さまステージにレベルアップするチャレンジをしようよ。」
 「そうだよね。きっと大丈夫だよね。私たちならクリアできるわ。」
 「賛成。ぼくたちは空の上からしっかりピピを助け応援しよう!」
 他の子どもたちはみなユーズの意見に賛成です。それを確認したユーズがピピに言いました。
 「僕たちソウルグループ初めての地球の卒業テストをチャレンジしたいと思うんだ。ソウルグループでクリアしていない学びをすべてピピひとりに任せることになる大変な旅だけど、ピピ地球へ行ってくれるかな?」
 みんなの意見を静かに聞いていたピピを、キラリーはみんなの前に呼びました。
 「ピピ、みんながこう言っているけどどうかしら?」
 ピピはとても堂々としています。ソウルグループのみんなの顔をしっかり見ながら言いました。
 「ありがとう、みんな僕を信じて一番大切な地球の卒業テストの旅の代表に選んでくれて。僕、ソウルグループの最後の学びを全てクリアしてくるよ。神さまステージへみんなで行こう!」
 ピピの力強い声を聞いたソウルグループのみんなは、大きな拍手をして喜びました。これで、今回の地球の旅の代表はピピに決まりです。

                      つづく

いいなと思ったら応援しよう!