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【ロックは技巧ではなくスピリッツだの巻】

本日は、とあるライブハウスで、とあるロックと称するバンドの演奏を聴いたのだが、どうにも納得できませんでした。

そのライブハウスの一番重要な壁には、ジミヘンこと、ジミ・ヘンドリクスのポスターが貼ってあったのにもかかわらず、キミたちのジミヘン精神はどこに逝ってしまったの? という感じ。

ロックは、ギターとベースとドラムス&ヴォーカルが揃って、大音量で演奏すれば、それがロックになると思ったら大間違い。

ジャズのビッグバンドの形態にもかかわらず、そこにロックのスピリッツが込められていれば、それで十分にロックが成り立つのですよ。

https://www.facebook.com/share/p/cwKkUtrnHf1q2cWK/


2人の「エヴァンス」と「マイルス」

(抜粋)
余談ですが、
マイルス・デイヴィスは絡んでいませんが、ギル・エヴァンスのロックスピリッツ満載のアルバムの一曲をご紹介しましょう。

Little Wing.mov

theoribeton
2010/01/11 に公開
Jimi Hendrix's Little Wing by Gil Evans and his orchestra
Little Wing (2001 Remastered)
アーティスト
Gil Evans

※※※

ジミ・ヘンのカバーアルバムで、隠れた名盤をご紹介すると、ギル・エヴァンス・オーケストラの『時の歩廊 THERE COMES A TIME/GILE EVANS AND HIS ORCHESTRA』(最初にリリースした「Littre Wing」が収録されていたLP盤)と、『プレイズ・ジミ・ヘンドリクス The Gil Evans Orchestra Plays the Music of Jimi Hendrix』ですね。

このアルバムでは、まだ、腕利きのスタジオミュージシャンとして独立する(名前が広く知られる)前の、若き日の野心に燃えたデヴィッド・サンボーン(彼も、先日鬼籍に入ってしまいました)が、

ギル・エヴァンスオーケストラのエース・サクソフォニストとしてソロを取った「リトル・ウィング」のエモーショナルなアルト・サックス
(この時のメンバーのラインナップによると、彼はソプラノサキソフォンを演奏していたようですが)
のディストーション・ブロウィング(まさに、当時から鳴らしていたサンボーン節)が堪能できます♪

この「リトル・ウイング」ですが、
https://www.youtube.com/watch?v=yOdTQRF9Gvg&t=71s

最初は、エレキベースによるジミ・ヘンのロック調イントロダクションから始まり、

次第にビッグバンドのアレンジにオーケストレーションして、なるほど、いかにもよくあるジャズのビッグバンドのアレンジだよねと思わせておいて、

次に、トランペッターが、かなりブレイクダウンしたフリージャズのスタイルでメインのメロディーを吹き鳴らすのですが、

それを遮るかのように、突然、デイヴ・サンボーンが、超高音のソプラノ・サックスで、金切り声の叫びのようなディストーション・ブロウィングが闇を切り裂きます。

一説によると、この頃のサンボーンは、かなり荒れた生活をしていて、ドラッグにも手を染めていたらしく、ある意味、ジミ・ヘンのやるせない心の叫びに共感していたのかもしれません。

圧倒されるというのはこのことで、本来は、ロックバンドのエレキギターが担うべき役割を、デイヴのサックスが完全に“喰って”しまっているのですね。

そして、そのクライマックスが終息すると、

トロンボーンのフォローブロウが流れた後に、

たぶんブラック・シンガーによるヴォーカルが、それをトランキライズ=鎮静化するかのように、「リトル・ウイング」の歌詞を、“二番”から静かに歌います。後半は、一番の歌詞に戻るというよりは、ヴォーカリストが独自に解釈した歌詞が歌われ、フェイドアウトしていきます。

何故、ブラックシンガーなのかというと、声質でわかるんですよね。

昔、1970年代に、ラジオ関東で放送されていた、大瀧詠一氏がDJを務めていた『ゴー・ゴー・ナイアガラ』で、彼が、

「これは、差別でも何でもないんだけれども、黒人シンガーの声質は独特なんで、彼ら彼女らが歌っているのを聴くとわかっちゃうんですよね。声に艶があるとか、喉の構造的なものなのか、わからないんですけど」

みたいな趣旨のことを言っていて、なるほどと感心してから、それを聴いてから注意して聴くようになったら、確かに、黒人シンガー独特の声質というものが、ある程度わかるようになりましたね。

別に、超高音のファルセットでなくても、やはり独特の艶があるんですよね。

ジミヘンの「Little Wing」は、
二番の歌詞が特に沁み入りますね。

ジミ ヘンドリックス 
「リトル・ウイング 」
歌詞 

https://g.co/kgs/XZ8irXR

When I’m sad,
she comes to me
With a thousand smiles
she gives to me free
It’s alright, she said, it’s alright
Take anything you want from me free
Anything

Fly on, little wing

※※※

When I'm sain
(sadと歌詞カードに書かれているが、私には、どうしても、sain=正気=ヤクをやっていてトリップしている、に聴こえますが・・・。というか、実は。最初にこの曲を聴いた『時の歩廊 THERE COMES A TIME/GILE EVANS AND HIS ORCHESTRA』(最初にリリースした「Littre Wing」が収録されていたLP盤)の歌詞カードには、“sain”と綴られていたのでした)

オレが“正気”になっている時には
彼女がやって来てくれるのさ
千の微笑みとともに
オレをフリーにしてくれる
大丈夫よ、大丈夫
彼女はそう言ってくれる
あなたの好きなものを
何でも与えてあげるわ
全てを、全てをね

この小さな翼を広げて
空に舞い上がりなさい
(意訳詞:Ike-chan)

ジミ・ヘンドリクスのオリジナル版「リトル・ウィング」では、

https://youtu.be/QPO__7591hg?si=5-Z1WlOnRG5E0bKg

逆説的に自身のヤクにまみれた日々の生活を悲しみ哀れみながら、自身の本当の心象風景を発露するジミ・ヘンドリクス

もちろん、あくまでも個人の感想ですのでお気になさらずに(笑)

『歌詞和訳』ブログより

Jimi Hendrix – Little Wing コード

1960s2015.11.05&2019.03.07

The Jimi Hendrix Experience が1967年に発表した第2作 アルバム Axis: Bold as Love の収録曲。

https://denihilo.com/little-wing/


ジミヘンは、
爆音ギターを掻き鳴らして
ギターを破壊するような
オーディエンスの度肝を抜く
過激なパフォーマンスを
披露したコンサートの合間には、
かのボブ・ディランの
後にノーベル文学賞を受賞する
内省的な詩を読み耽っていた
そうで、
あの投げ出すような
歌い方は、彼の影響を
もろに受けているとも
いえますね。

https://www.youtube.com/watch?v=NdHHsoW6mMg&t=1s

2014/11/27
the Jimi Hendrix Experience at Konserthuset, Stockolm 1.8.1968
Zulu Crunchbunch & the Unstables


さて、この曲のオーケストレーション・アレンジを手掛けたのは、やはりギル・エヴァンスですが、
(『プレイズ・ジミ・ヘンドリクス The Gil Evans Orchestra Plays the Music of Jimi Hendrix』のアルバム全体で、実は、ギル自身が編曲したのは「砂の城」と「空より高く」の2曲、ボーナストラックに「リトル・ウィング」が入っている場合は計3曲で、その力量の差がくっきりとわかってしまうそうですが)、まさに、ジミ・ヘンの心の叫びを忠実に、いやそれ以上にジャズを超えたロックスピリッツ満載で再現した手腕に感銘を受けました。

さすがは、時の歩廊の魔術師=アレンジャー、ギル・エヴァンスの面目躍如たる感がありましたね。




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