6月19日=桜桃忌、それにつけても金の欲しさよ
先日、山形県在住の弟夫婦から、さくらんぼが届きました。
素晴らしい色艶の大珠で、甘さといい、食感といい、完璧でした。
佐藤錦L珠の「秀」クラスの1キロ分なので、これは凄い!
ボウルいっぱいに盛り付けてみたところ、壮観な映える写真が撮れました。
さて、さくらんぼの別名は桜桃。
桜桃といえば、太宰治の命日にあたる桜桃忌は、6月19日なので、まさに本日になりますね。
https://www.city.mitaka.lg.jp/dazai/dazaitomitaka/outouki.html
実は、三鷹市にある太宰治の菩提寺の禅林寺とは少々ご縁があり、6年前の2017年までは、禅林寺の敷地にあった賃貸マンションに住んでいましたが、道路拡張のために取り壊しになるということで、その後は、三鷹駅前の、今度は、「太宰治文学サロン」の近くに転居したので、太宰治との縁もなかなか切れない運命にあるのかもしれません。
さらには、やはり近くには、太宰治の心中の相手だった山崎富栄さんが暮らしていた場所や仕事場としていた小料理屋の跡地も遺されており、太宰治に所縁のある場所は、ここかしこに遺されております。
禅林寺は、明治期の文豪だった森鴎外こと、軍医でもあった森林太郎に私淑した太宰治が、遺書にしたためていた、願わくば森鴎外先生の草葉の陰の夜露を偲ぶ場所に弔ってほしいという最期の願いを、夫人のつねさんが叶えてあげたといういきさつがありますね。
禅林寺の敷地に住んでいた時には、私には太宰治の地縛霊が取り憑いていると嘯いていましたが(笑)、今は、ちょっと離れて守護霊ぐらいの役割を果たしてくれているのかもしれませんね。
そういえば、禅林寺のマンションには、かれこれ二十年ぐらい住んでいましたが、ある時、仕事か何かで深夜の午前2時頃にマンションの入口に自転車で辿り着いたら、突然、暗闇から、若い女子大生と思われる二人連れが禅林寺の門がある通りから現れて、私に声を掛けてきました。
「この辺に太宰治のお墓があると聞いたんですがこのお寺でしょうか?今からでもお寺に入ることはできますか?」
と、あまりにも思い詰めた表情で尋ねてきたものだから、こちらも真面目に答えてあげなければなりません。
「確かにこのお寺は、太宰治の菩提寺の禅林寺で、お墓もありますよ。ただし、この時刻では、入ることはできないので、翌日に出直すか、無理ならば、外観だけでも観てくるといいと思いますよ」
と、健闘を祈ると伝えて別れましたが、そこまで若い女性たちに思い詰めさせる彼の魅力について、再認識させられた思い出があります。
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なお、三鷹駅前の商業施設「三鷹コラール」ビルの5階に三鷹市美術ギャラリーがあるので、三鷹市に来られた方はお気軽にお越しください。
常設展示として、この地に家族で移り住んで、穏やかな日々を過ごした後に、スキャンダラスな最期を迎えた、生前の太宰治の三鷹の自宅を再現したコーナーもあり、知る人ぞ知る太宰治ファン必見のマニアックなスポットでもあります。
当時の彼は、小説の印税が支払われるのは良かったのですが、税務署から、所得税を支払うように催促が頻繁にされていて、次第に精神的に追い詰められていった記録も遺されています。
最期に、何故、あのような結末を迎えたのか、そこも謎ではありますね。
太宰治所縁の地はコチラへ
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なお、「三鷹コラール」には、三鷹市美術ギャラリーがありますが、
もう1つ下の階に、老舗の蕎麦屋の「柏や」があり、このお店にも、太宰治所縁の写真が、店外の壁に展示されています。
「柏やの歴史」に、初代の女将さんが、山崎富栄さんと交流があったとのことです。
徒歩5分のエリアには「太宰治文学サロン」もありますし、さらには、太宰治や、彼が私淑した森鴎外こと森林太郎の菩提寺である「禅林寺」も、バスで10分のところにあり、文士の街、アニメの街(ジブリ美術館もあり)として知られる、我が街三鷹市に、どうぞお越しくださいね♪
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さて、最後に、何故、太宰治を偲ぶ日が桜桃忌と呼ばれていて、遺体が発見された日とされたのかについては、迂闊にも知りませんでしたが、ようやくこの記事によって、知ることができました。
三鷹市の駅ビルにある、三鷹市美術ギャラリーの一画にある「太宰治コーナー」には、三鷹にあった太宰治の自宅が再現されていて、その頃の生活振りがパネルに文章で綴られています。
中には、税務署からの税金未納の督促状まで貼られているのですが、彼は、物書きで流行作家だったので、印税によって家族を養っていましたが、その見返りとして、所得税を、いずれは払う必要がありました。
ところが、彼は、印税が支払われると、それをすぐに、料理屋に出掛けて飲み代として使うので、たぶん、貯金はほとんど残らず、後から税務署からの督促に対しては、支払えるお金はなかったものと思われます。
家計は火の車であり、それでも仕事の督促は来る。
実家は裕福だったといえども、いつも金を無心すればもらえるという身分でもない。
無い無い尽くしのところに、世の中に絶望した愛人と出逢ってしまい、彼女からも借金するようになり、彼女も、経済的に決して豊かではないので、近所の馴染みの蕎麦屋「柏屋」の女将さんに頼るようになるが、それも限界に達してきた。
全て、負のスパイラルとなってしまい、本当に「人間失格」であることを実感してしまったので、自分を“始末”することにしたのでしょうね。
それにつけても
金の欲しさよ
#創作大賞2023
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