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ヘロストラトスの名声について(2024.07.02)
[ここからは1,000文字に含みません]
十三日目です。
昨日はこの1,000文字に含まない分の文章を書きすぎて、全体の文字数を見誤るという大失態を犯しました。超えてそうだからって気を抜くな自分。
単純にタイピングの速度だけでも1,000文字は毎回ギリギリなので、これからは油断せずにぱちぱち書いていこうと思います。
https://x.com/Iyemon_jp/status/1807927168208699530
疲れちゃったら。
— NEW!伊右衛門 (@Iyemon_jp) July 2, 2024
こんなお店に来てみませんか?
店長・ひょうろくがお待ちしてます。#一択屋 #ひょうろく pic.twitter.com/pcX0dZMHdP
伊右衛門さんのCMが秀逸だったのでおすすめです
選ばないということの選択、クリエイティブだしロックで最高。
ひょっとしたら「選ばれたのは」がキャッチコピーの競合への意趣返しなのかもしれませんね。
[ここまでは1,000文字に含みません]
ヘロストラトスの名声について書いていく、よーいスタート。
ある男は、歴史的建造物への放火を行ったことで捕まった。
男は捕まった後、「自分の名を永遠に歴史に刻むために放火をした」と悪びれもせずに堂々と言い放ったという。
男は死刑になってしまったが、結果として男の願いは叶ってしまった。
……これ、聞き方によっては最近だったり近代、そこまで遠くない過去で起きた事件に思いますが
なんと、紀元前550年前、古代ギリシャの時代にあったことです。
この男というのがヘロストラトス、当時何者でもない人間でした。
ここから転じて「どんな犠牲を払ってでも有名になる」ことを「ヘロストラトスの名声」というのだそうです。
どうでしょう、まさに炎上マーケティングの元祖と呼べる存在ではないでしょうか。
こんな人が今から2500年以上前に存在していたなんて……人間の承認欲求という感情の根深さがわかりますね。
たまに「なんで炎上で人を集めようとするんだろう、結局何の身にもなりはしないのに」という議論があり、その度にやれお金にしているだ、やれ異性にというような理由づけが出るものですが、これを聞くとそんなことではない、もっと根本的な人間としての渇望があるのではないかなと思ってしまいます。
(日本でも度々歴史的な寺院が、何者でもない人間たちによって燃やされる痛ましい事件が起きています)
ヘロストラトスはその思惑の全てを白状した結果、当時彼のいたエフェソス市民たちから「このような蛮行を二度と起こしてはならない」という意思のもと、彼のことを話しただけで死刑にするという記録抹殺刑という形で彼を裁きました。
いかがでしょう、現代の創作でいう「存在を語り継がないことでいなかったことにする」という怪異に向けて行う対策を、エフェソス市民たちは実際にやってい他のです。
いかに「名前」が「残る」ことが重要なのかが思い知らされます。
そしてここに、エフェソス市民ではなく近隣の島キオス島の住民が残した記録によって、結果彼の行いが残ってしまったというところまで含めて、この逸話は完璧だと思いました。
ヘロストラトスが燃やした神殿は、誰もが名前だけは聞いたことがあるであろうアルテミス神殿。今はこの事件で原型をとどめていませんが、当時は総大理石製の豪華な神殿だったようです。
ふと、、、石造りの神殿が燃えるのか?このお話も作り話?という不安が過りましたが、調べてみると大理石は700~850℃で粉になってしまう日に弱い素材だそうなので胸を撫で下ろしました。いや撫で下ろしたいけないのかもしれないけど。
そういえば現代だと、大理石といえばエントランスの柱や床、基本的に屋内で使用されますよね。ひょっとしたら根っこにはこの事件があるのかもしれません。(太陽光で粉になってしまったら困りますし)
ちなみにこの話のオチのような部分なのですが、信仰と倫理が紐づいていた古代ギリシャにおいて「なぜ神殿が燃えてしまったのか?神が守っているのではなかったのか?」という疑問に対し、著述家プルタルコスは
「その事件と同じ夜に生まれた、アレクサンドロス大王の面倒をみるのに一杯一杯だった」
と残しています(諸説はあるようです)。
赤子一人に手を焼く神様というのも、ちょっと可愛いかもしれません。
(文字数:1318文字)