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腎臓の悪い人は「スイカの食べ過ぎ」が命取りになる恐れがある

これから暖かい季節に入ると、スイカが旬を迎えます。

暑い日にスイカをシャキッと食べるのを楽しみにしている人も多いでしょう。

しかし腎臓の調子がよくない人は「スイカの食べ過ぎ」に注意した方がいいかもしれません。

米セント・ヴィンセント病院(Saint Vincent Hospital)の医学研究チームは、腎臓の悪い人がスイカを食べすぎると致命的な症状に陥るリスクが高いことを新たな症例研究で報告しました。

スイカが一体どのような症状に繋がるというのでしょうか?

研究の詳細は2024年4月2日付で医学雑誌『Annals of Internal Medicine』に掲載されています。


参考文献

新たな国民病、「慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)」
https://www.kyowakirin.co.jp/ckd/about_ckd/index.html

元論文
Watermelon-Induced Hyperkalemia: A Case Series
https://doi.org/10.7326/aimcc.2023.1084


ライター:大石 航樹(Koki Oishi)
愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。


「腎臓」の役割とは?働きが弱まると何が起こる?

腎臓はそら豆のような形をした握りこぶし大の一対の臓器であり、お腹の背中側にあります。

主な役割は体内の血液をろ過して、老廃物や余分な塩分を尿として体外に排出することです。

また体に必要なものは再吸収し、体内にとどめる働きもしています。

腎臓の機能が低下すると?
腎臓の機能が低下すると? / Credit: canva

一方で、腎臓の働きが弱くなると尿の作りが悪くなるため、老廃物や余分な塩分、その他の毒素が体内に蓄積する恐れがあります。

この状態が「尿毒症」です。

尿毒症になると例えば、老廃物の蓄積を原因とする「頭痛・吐き気・食欲の低下・体のだるさ」が生じたり、水分の蓄積を原因とする「むくみ・動悸・息切れ・尿量の低下」が生じます。

このように腎臓機能の低下が常態化した病気が「慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)」です。

日本における慢性腎臓病の患者数はかなり多く、2023年時点の調査では、国内に約1480万人(20歳以上の7人に1人)の患者がいると推計され、新たな国民病ともいわれています。

今回のセント・ヴィンセント病院の医学研究チームが報告したのは、そんな慢性腎臓病患者におけるスイカの悪影響です。

では、慢性腎臓病の人たちがスイカを食べすぎるとどうなってしまうのでしょうか?


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