書く習慣アプリ 10月10日
お題「涙の理由」
ドロップは神様が流した涙なのだと、幼い頃に聴いた童謡がふと頭に過ぎる。
朝焼けを見ても、夕焼けを見ても、悲しくても、嬉しくても泣いた。
そんな神様の涙の話を思い出せば、今流している涙の惨めさが少し薄らぐ気がするのが不思議だ。
神様の悲しい涙は、酸っぱい味に変わったらしい。
私のこの涙はどんな味になるのだろうか。
そもそも、これは悲しくて流している涙なのだろうか。
長すぎるとも言うべき時を引きずった片想いは、散々な終わり方だった。
最後はもう、本当に好きなのかさえ自分でもよく分からなくなっていた。出会った頃は、確かに、あんなに純粋に彼を恋い慕っていたのに。
段々と離れる距離に焦って、彼の目が、関心が此方へ向くのなら形振り構わずに振舞って、他の女を近付けないよう、茨のような棘を張り巡らせて。
もっと早くに諦められていたら酸っぱい程度で済んだだろう涙。今はもう溢れる様もどろどろとしたタールの様に思えるのは気の所為だろうか。だらだら濡れる頬が、つたう顎が、酷く気持ち悪い。
きっとこの涙がドロップになっても、口にするのはおぞましい。
それならば。
憎らしくも愛おしい貴方の口に、そのドロドロとした塊を押し込んでしまいたいと願った。
どうかその酷い後味を、一生忘れる事がありませんように。
イマドキの異世界モノの悪役令嬢をイメージ。
悪役令嬢ってなんで悪役令嬢って言われるんだろう、解せぬ……。
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