10円玉の価値
ここ数年、大学生や20代の子たちと話す機会が増えて感じるのは、いま多くの若者たちが現在の資本主義経済に対して違和感を覚えていたり、国同士が経済成長で競い合うといったことに疑問を抱いたり、「ほんとうの豊かさとは何か」を探し求めている、ということです。
一昔前の世代が興味・関心を持っていた、高級住宅や高級車を所有すること、ブランドファッションに身を包むことなどにあまり興味は持たなくなってきています。
逆にミニマリストやシェアハウスなどが流行っているのが、その表れであると思います。上の世代の生き方を見て、心のどこかで疑問を抱き始め、模索しているのです。
先日、ある一人の大学生の子に、次の話を紹介しました。
さて、この女の子は間違っているでしょうか?
この当時の電話機は、10円玉しか使えないものだったわけですけども、この話を聞いて、大学生の子は「なんか感動する」と言いました。
私もこの話を初めて知ったとき、感動しました。
なぜ感動するのでしょうか。
この女の子にとって一番価値ある大事なことは、電話をしてお母さんの声が聞けて会話ができることでした。
この女の子は、お金には意味はあっても価値があると思っていなくて、お金は必要なものと交換できる単なるコインであり、言わばゲームセンターのコインと何ら変わらない感覚だったのでしょう。
ですから、電話機に使えないコインはこの子にとって価値はないのです。
これは正しい価値観です。
私たちの心は、これが正しいことを知っているからこそ、みんな「なんか感動する」のだと思います。