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140字小説【切り抜けなくてよかった】

『あっ、すみません』
『こちらこそ、すみません……あっ』

 妻と初めて出会ったのは、会社の廊下でぶつかりそうになったときだった。
 俺が右に避けたら彼女も右に避け、左に避けたら彼女もまた左へ……

「あのとき運命を感じずにはいられなかったね」
「私は『倒してから行け』って意味かと思ってたよ」