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徹底解説!MuseScore3の臨時記号特集!【023】
こんにちは、こんばんわ、ユートピア!
変拍子兄さんの時間です。
前回の記事で、僕がよく目にする調号についてまとめました
それに引き続いて、今回はMusescoreにある臨時記号について解説していきましょう
◆Musescore3の臨時記号一覧
意外とたくさんある臨時記号
微分音をよく使う僕でも、# ♭ ♮ キ d ⩨ db この程度しか使いません
とはいえ、顔見知りの臨時記号も多いので解説していきましょう
◆わりと普通に使うやつ:半音系
このあたりは特に、解説は要りませんね
ナチュラルフラットなんかは使いどころが分かりませんが
もともとシャープだったものを打ち消してフラットにするといった状況で必要性が出てくるのでしょう
◆矢印付きのやつら:8分音系
次はこの黄色線を引いたやつらですね
カーソルをかざしてみると「Quater tone flat 」といったように
四分音の系統であることが示されています
ですが、僕は誤りじゃないかな?って思ってまして
Wikiの記号群から察するに違うようです
あくまでもこのwikiの記法に基づいて判断すると
↑+♭・・・3/8音下げ=-75セント
↓+♭・・・5/8音下げ=-125セント
Wikiの表に該当するものはありませんが
↑+♮は1/8音上げ=+25セント ↓+♮は1/8音下げ=-25セント
と推測されます
#以降も
↓+#・・・3/8音上げ=+75 ↑+#・・・5/8音上げ=+125
↓+x・・・7/8音上げ=+175 ↑+x・・・9/8音上げ=+225
↓+bb・・・7/8音下げ=-175 ↑+bb・・・9/8音下げ=-225
つまり↑=+25セント ↓=-25セントを指してると考えると
8分音が網羅できるようになっています
ドロップフラットやドロップといった4分音系の記号を使わずに表そうとしている心意気ですね
ややこしいもの(キ/d)+ややこしいもの(↑/↓)はやりたない!ってところでしょうか
キーボードで打てないですし、↑#ってなると
ウィキの定義では3分音になってしまいますから困ったものです
僕の気持ちとしては↑/↓使いたくない…
純正音程で使いどころが出るとすれば5倍音を二つ重ねたYellow-YellowやGreen-Greenといった音程が大体24セントずれるので
8分音記号のありがたみが出てくるでしょう
◆微分音では基本の半々音記号:4分音系
結構おなじみの奴らですね
左からドロップ、ドロップフラット、ジャンプ、ジャンプシャープとなります
セントの幅は-50 -150 +50 +150セントとなってます
24平均律では大活躍の4分音記号、11倍音系の音程を表すときには必須の記号となります
◆トルコマカームの微分音記号
また厄介な奴が来ましたね
名前も謎の名称で
左からBuyuk mucenneb flat,Bakiye,Kucuk mucenneb sharp ,Buyuk mucenneb sharp
一応適当に日本語発音に起こしましょう
2本線のフラット→ブユークフラット
線入りのフラット→バキエ
横3本縦1本→クチュク
横3本縦2本→ブユークシャープ
いや、もう…読めないってッて感じのこいつら
結果的に、どのようなサイズになるかお伝えしますと
トルコのマカームの資料を漁ってみたところ
バキエはファズラ4個分
クチュクはファズラ5個分
ブユークはファズラ8個分
だそうですよ…
じゃあ、ファズラは何ぞや?ということですが
ファズラは純正音程9/8を9分割した22.66セント
純正平均音程が出てきてしまいましたね
トルコのマカームにおける音程の最小単位=ファズラというわけです
参考文献はこちら
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%A0
↑のマカームの記事のトルコのセクションに記載があります
◆ヘルエリノーテーション 5倍音編
さてここからはほぼ、ヘルムホルツエリスノーテーション
略してヘルエリです
こいつらも前回の記事で発見した微分音記号ですが
純正音程用の記号です
特にこの黄色線を引いたやつらは、小さい▲(シントニックコンマ)
がついてまして
YellowやGreenといった5倍音系の純正音程を示しています
セントで言うと21.51セント=81/80
3倍音系の音程は#や♭、まあもろもろの都合でダブルが出てくるとして
5倍音系なのでちょっと下げるよ、上げるよと言ったときに
この▲(シントニックコンマ)が役に立ってきます
ここでは3段重ねまでありますので
Yellow-Yellow-Yellowまで対応できるようですね
それって125/128とかですかね…なかなか数字のでかい純正音程が出てきてしまいますが…
例えば
通常の調号とシントニックコンマを分けて書くことになりますが
純正音程のミ(5/4)→ミ♮▼
ド#(25/24)→ド#▼▼ (KeyCからKeyAに部分転調する時にでてくる)
ファ(125/96)→ファ♮▼▼▼(KeyC→KeyA転調でA7の代理としてC#augにするとき)
…まあ…純正音程転調+上方変位の時に使いますかね…(?)
◆ヘルエリノーテーション 7~13倍音編
お次のヘルエリは7倍音以上のお話ですね
上げと下げがペアになっていますので
2つずつ紹介していきましょう
①セプティマルコンマ
こちらはSeptimal Comma(セプコン)です
7の形を弄った形状をしています
キーボードで表すなら L / Γ
Lが下げる方で、Γが上げる方です
これはおおよそ6分音(厳密には64/63=27.3セント)ですね
例えば7/8=シ♭L 9/7=ミΓ という風に使います
24平均律ではキやdに無理やり落とし込んで書いていましたが、3分音使えばスッキリ!となりますので結構使いたい記号です
Blue(7倍音オトーナル)→L Red(7倍音ユートーナル)→Γ
をとりあえずつけておけ!って感じで使えます
②セプティマル3分音
お次は、旗が2つついているセプティマルコンマです
キーボードでは╘ /╒ と書きましょうかね
╘ が下げる方で、╒ が上げる方です
これもお察しのとおり、Blue-Blue Red-Redと7倍音を2重で使用したときに使います。
お名前はセプティマルサードトーン
3分音(厳密には49/48=54.5セント)になるわけですね
これほどカラーの重複を容赦なく仕掛けてくるのはボーレンピアス音律ぐらいではないでしょうか??
純正ボーレンピアスでは、9ステップ目が98/81(モンゾ:| 1 2 0 2>)となりますのでソ╘ となります
(いやぁ…自分でも何言ってるのかわからなくなってきた…)
③アンデシマル半々音
お次は11倍音系です。お名前はUndecimal Quatertone
すでに一度dとして出てきているのですが
先ほどのドロップよりカービングがきついような気が…?
コンピューター上で表すなら、d / ∤ ですね
これも11/8=ファ∤ 16/11=ソd という風に使います
この記号の幅は半々音(33/32= 53.3セント)となります
僕は、キ(ジャンプ)でいいじゃんって思うんですけど…
④トライデシマル3分音
13倍音までやっちゃいました
お名前はトライデシマルサードトーンです
幅は大半音(≒3分音)27/26= 65.3セントですね
キーボードで書くとdl / サ ですね
7倍音のところで3分音、13倍音のところで2/3音に出会ってしまいました
純正音程13/8=ラdl 16/13=ミサ といった所でしょうか
僕も13倍音について真剣に考えてみようかな…ってふと思いました。
現時点で、僕のスタンスは11-limitですが…
そんな記号手に入れてしまったのなら、13-limit堕ちする日が来るかもしれないですね
◆ヘルエリノーテーション 24平均律編
今度は、純正音程ではなく平均律としての記号だそうです
恐らく24平均律上で、純正のニュアンスなしで使う 記号が頭にーが入るようです
ヘルエリノーテーションでは通常の#♭に3倍音の純正音程機能が付くそうなので、こういう区別が必要なのだとか
◆ペルー・イランの半々音記号
これは前回の記事でも紹介したソリとコロンですね
ソリがジャンプ(半々音上げ)、コロンがドロップ(半々音下げ)となります。
ペルーの楽器を見る限り12平均律で画一化しているような文化ではなさそうですし、微分音もなんとなくできそうな風格があります
その結果カッチリ50セントと定義されてるわけではないようです。
純正律で演奏するそうなので、当然こういった4分音が使われるようになっているわけです
・・・と思っていましたが
参考資料を調べていると17平均律的な話がありました
序盤にでてきたBuyukに関する文献と同じ記事ですね
ソリとコロンは17平均律の1Step=71セント(大体3/8音)ってことですかね?
この17音列が平均律と書いてある文言は見つけられていませんので
純正音程的に17音を作ってるのかもしれません
もしかしたら、ソリとコロンを「4分音」というのは間違ってるかもしれませんが断言はできませんね…。
まあいずれにせよ、解読して
解読完了したら新たに記事を立てますかね!
ちなみに、画面上にテキストで表すのは諦めました…(なかった)
◆〆
ということで
Musescore3の臨時記号を徹底解説しちゃいました
ガチな研究レポートを作りあげたような気分ですね
課題として中東の臨時記号の謎は残りますが、やはり微分音ガチな地域だけあって手ごわいですね。
17平均律を扱う日や13limitを扱う日が来たときは
この辺りの記号が僕の話に登場することがあるかもしれません。
それでは!!
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(追記)
トルコマカームの微分音記号の記述がWikipediaにあったので、加筆しまして、MuseScore3の臨時記号の完全制覇を達成しました。