40代正社員ワーママ退職④気まずい雰囲気が和らぐ
退職を告げ、罪悪感を抱えていたわたしですが、元同僚との電話や占いで気持ちが前向きになってきました。とはいえ、やはり出勤すると同僚たちとの微妙な雰囲気は続いていました。
前回までのお話はこちらをどうぞ
同僚たちの冷たい目線
退職を告げた日から、同僚たちのわたしを見る目が変わりました。いつもとは違う微妙な、気まずいような、話しかけにくいような表情を浮かべているのです。それはそのはず、ここに、4月からいなくなる人には用事はないのです。
一方で、一部の同僚からは「今後が不安だ」「精神衛生上よくない」「気持ちが整理できない」というメッセージも寄せられました。
それもそのはず、彼ら、彼女らが入社したとき、わたしはプリンタ用紙の場所から、パソコンの設定の方法、上司への報告書のフォーマットまで、イチからいろんなことをお伝えしていたのでした。
「まず、えいこさんに聞いてね」
上司は新人さん、中途社員が入ると、わたしに説明役を頼んだものでした。
彼ら、彼女らにとってわたしがいなくなることは、親を失った子猫のような気持ちだったのかもしれません。そして、自ら去っていく私に「裏切り」のようなものも感じたのかもしれません。
自分は、今、ここで何ができるか?
今、自分ができることは何か。それは、まず目の前の仕事に全力で取り組むこと。そして、「引継ぎプレゼン」を成功させることだと確信しました。
「わたしがいなくなっても大丈夫だ」と、彼ら、彼女らに自信を持ってもらうためにプレゼンする。全力を尽くす。それが、上司への恩返し、彼ら彼女らへのプレゼントと考えたのです。
何度も原稿をブラッシュアップしました。
一人でリハーサルし、その録画を何度も見直し、録音も聞き直しました。
無駄な話になっている部分を省き、本当に伝えたい部分のみに絞りました。
引継ぎプレゼン成功
30分、引継ぎする仕事について一生懸命話しました。裏話も苦労話も全部語りました。
質疑応答では、数人のかたから、
「えいこさんのおかげで仕事ができました」
「えいこさんがいてくれてよかったです」
「えいこさん、ありがとうございます」
と感謝の言葉をいただきました。
最後は自分の想いを1分で語ることにしました。語った内容は以下の3点です。
不要な思い入れ
わたしはこれまでも産前産後休暇で2回、この職場を離れています。自分が産休前に担当していた仕事でも、復職時になくなっていた仕事は本質的には不要だったと、引継ぎプレゼンでは述べました。
わたしがいなくなったことをチャンスにしてもらいたいという気持ちを込めました。
首尾一貫感覚
わたしはこれまでストレスフルな仕事を抱えることもあり、涙することもありました。そんなとき、「首尾一貫感覚」を大切にしていました。
「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」の3つの要素で切り分けて考えると、意外と目の前のことに冷静になれたりするものです。
職場の感情問題地図
とかく、モヤモヤすることを抱えてきたこの15年間。特に子どもを産んでからは、ずっと悲しみと妬みに追われ、どうしようもないどす黒い感情の塊になっていたこともありました。そんなとき、こころを軽くしてくれた、この本を紹介しました。
しめくくり
プレゼンの最後では、こう締めくくりました。
「至らぬ点もありましたが、たくさん指摘くださってありがとうございました」
「みなさん、たくさん質問くださってありがとうございました」
「本当にありがとうございました」
周りを信じていること
この会社や同僚が嫌で辞めるわけではないこと
最後の最後まで全力を尽くし、やり切ろうとしていること
これらが全部、ZOOMの画面越しのかたにも伝わったのです。
引継ぎプレゼン後、雰囲気が変わる
プレゼン前までは、堅苦しく重かった私の周りの雰囲気が、柔らかく変わっていることに気が付きました。みんな笑顔なのです。温かい雰囲気が漂っているのです。
笑顔でパワーポイント画面を閉じて終えようとしたとき、上司が一言。
「みなさん!もう送別会の雰囲気になってるけど、まだあと1か月、えいこさんはここにいますからね!」
そうでした。わたしはまだあと1か月、ここで働くのでした(笑)上司の言葉に目が覚めました。
残念ながら、まだまだ仕事は山積み。プレゼンの10分後には新しい仕事の依頼メールが届いたのでした(笑)。
次に続く