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40代正社員ワーママ退職③元同僚に連絡する

わたしは、退職について負い目を感じ、自責感でいたたまれなくなり、3年前に職場を去った元同僚に電話しました。

前回までのお話はこちらをどうぞ

元同僚とのオンラインでの会話

元同僚はもともとワーキングマザーとして助け合い、愚痴を言いあい、頑張ってきた仲間でした。彼女は実家のお母さまやお姉さま、旦那さまを上手に頼り、バリバリと仕事をしていましたが、ある日突然会社に来なくなりました。その後、メンタル不調による1年の休職を経て、すっぱりと辞めてしまったのでした。

久しぶりのテレビ電話。同僚は少し白髪が増えていましたが、働いていたときとは全く違う、柔らかい笑顔でした。
「えいこさん、あの組織でまだがんばってるんですか!(笑)」の一言に、ハッとなりました。

彼女は自分が前からやりたいと思っていた整体の学校に通っていました。
通勤に便利、実家に近くてお母さまのフルサポートを得られるから、と選んだ駅近マンションを売って、郊外に引っ越し、騒々しさ、空気の悪さから解放されたとのこと。
ワーキングマザー時代、よく相談しあったお子さまは支援が必要だったことがわかり、今は療育に通っていました。
そして今、おなかには赤ちゃんがいました。

わたしといっしょの組織で、がむしゃらに働いていたころとはすっかり変わり、彼女は自分の人生を、自分の力で前に進んでいました。

「えいこさん、自分の人生なんだから、好きなことやった方がいいですよ」
「あの組織で生き残っていくって大変じゃないですか。ここまで頑張ったの、すごいと思いますよ」
「それに、今、辞めるって決断できたのって、かっこいいと思いますよ」

かつての同僚は、わたしの今をそのまま受け入れ、肯定してくれる存在に変わっていました。

「会社員を辞めたらお金がなくなった」と彼女は笑いました。でも、「お金以外の大切なもの、自分と家族、お子さんにとっていい環境を選べた」と明るい笑顔で言いました。

「一回きりの人生じゃないですか。えいこさん、もう十分がんばったんじゃないでしょうか。少し休んだ方がいいですよ」

そんな言葉をかけてくれ、笑顔で通話を切ったのでした。

タロット占い

明るい気持ちになったのもつかの間。また次の日になったら大量の仕事が待っています。どんどん忙しくなり、頼りにされる日々。さらに、上司からは「引継ぎも兼ねたプレゼン30分」をお願いされてしまいました。
パワーポイントでプレゼン資料を作りながら、罪悪感が募る日々でした。果たして同僚たちは、退職してしまう人の話なんて聞きたいんだろうか?もうどうでもいいんじゃないか。疑心暗鬼になりました。

ふと、Facebookを見たところ、1年半前にオンラインで占ってくれた方のイベントが目に留まりました。同じ路線の駅近くのカフェで、その日限りの対面占いイベントが開催されるというのです。

わたしは自ら行動を起こすのが苦手です。プライベートで自分が行きたいイベントを見つけても、家族とのスケジュール調整を面倒に感じ、参加をあきらめてきました。でも、その時は、導かれたように、「お母さん、この日、ここに行くからね」と夫と子どもに言えたのです。

当日、ドキドキしながら隠れ家的なカフェにお邪魔しました。占いに興味を持った子どもが付いてきました。オンラインのイメージのとおりの、柔らかい物腰の和服の占い師さんが笑顔で待っていました。そして、現状、これからのことなど、いろいろとアドバイスをくれました。

「円満退職するにはどうしたらいいか」占ってもらいました。じっとカードを見ながら占い師さんは、こう言いました。

「退職して申し訳ないと思っているのはあなただけ。まわりの方はあなたの選択を受け入れてくれています。あなたができることは、これまでとは違う、輝く姿を見せることです」

はっと気が付きました。

そうだったんだ。まわりのかたは、わたしを信じて頼ってくれていたんだ。だからこそ、悲しがってくれたんだ、と。

これまでのモヤモヤが吹き飛び、すがすがしい気持ちになりました。わたしができることは、まわりのかたを信じ、笑顔で引継ぎプレゼンを成功させること。これまで心の奥底で温めてきたメッセージをしっかり伝えよう、と決めたのです。

次に続く


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えいこりあん
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