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「CDの入手ができず、ナクソスでしか聴くことができませんでした」- NML利用者の声 東京音楽大学・学生編 Vol.1

  川村 利奈さん(大学院修士課程1年・音楽学専攻)
  新原 有紀子さん(音楽学部4年 ピアノ・創作専攻)
  山本 香紫さん(大学院修士課程2年・ピアノ専攻)

―演奏ごとに異なる楽譜の違い、ニュアンスの違いなどを、自分が演奏する時の参考にします―

膨大なクラシック音楽の音源を収録し、楽曲に関連するデータも豊富に登録している「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」(以下、NML)は、今や音楽の勉強・研究には不可欠な存在となっています。特に音楽大学では、国内の大半の機関に導入され、多くのご利用をいただいていますが、その中でも、2023年の上半期の利用数のトップが東京音楽大学でした。
本インタビューは、その東京音楽大学の教育の現場で実際にどのようにサービスが活用されているのかをご紹介するもので、三名の現役の学生の皆様が取材に応じて下さいました。

(学生編 Vol.2はこちら/図書館スタッフ編はこちら

ご登場いただいたのは、ピアノ専攻を経て、現在は音楽学専攻の立場からバレエ「ジゼル」の研究をされている川村利奈さん、一般大学を卒業後に大学院から東京音大に入学、ピアノ専攻の傍ら日本人作品の研究を行い、修士演奏ではオール日本人作品のプログラムを予定されている山本香紫さん、そして、ピアノと創作(作曲)専攻で、マーラーの研究も行っている新原有紀子さんの三名の皆様で、それぞれ、演奏、創作、研究の複数の領域にまたがって意欲的に活動されています。

■NMLの存在はどのようにして知りましたか?

(川村さん)入学時のガイダンスで学校から案内がありましたので、使ってみようと思い、図書館のマイライブラリから利用IDを入手しました。
(山本さん)在籍していた大学ではこのようなサービスはなく、こちらの大学院に入った時に知りましたが、音大はこんなのが使えるんだ!と思いました。
 (新原さん)私も同じく、大学に入ったときに知りました。

■NMLを知る前はどのようにして音楽を聴いていましたか?

(皆さん)CDを買ったり、借りたりして聴くことが多かったです。YouTubeに比べれば、聴ける数は限られますが、信用性と音質、という点でCDでした。

■NMLを勉強や研究の中で、どのような時にご活用されていますか?
 特に「NMLがあったから実現できたこと」がありましたら教えてください。

(新原さん)同じ曲の中でも、「第何稿」といったバリエーションがある場合に、音源同士の比較をしやすいのが有難いですね。古い音源やマニアックな音源を探す時にも活用しています。

新原有紀子さん

また以前、連弾曲や2台ピアノの曲を弾く必要が出てきたことがあったのですが、全然知識がなかったので、編成を限定して検索がかけられるNMLで曲を探しました。これもいい、これもいい、とリストアップしながら選んでいくけれど、なかなか決まらなかったりしました(笑)。

(山本さん)バロック時代の作品など、古いものを演奏する時に、古楽の演奏を聴いて、アーティキュレーションなどを参考にしたりします。(NMLの音源は)きちんと評価が確立しているのが有難いです。

(川村さん)もともとピアノ専攻でしたので、自分が弾いている曲の参考音源を探したり、自分が目指したい演奏をいろいろ聴いて探したりしています。検索したら同じ楽曲の違う演奏がたくさん出てくるのが使いやすいですね。
また、単に好きな音楽を探して、楽しんで聴く時も活用しています。

■有名な作品の場合、音源の数が膨大になることも多いですが、その中からどのように聴く音源を選ばれているのでしょうか?

(川村さん)まずは知っている演奏家を選ぶことが多いですが、逆にあえて知らない演奏家を選んで、「これは知られていないけど名演だな」と発見することもあります。

川村利奈さん


(山本さん)有名な人の演奏だけを聴いていると偏ってしまうので、知らない人の演奏を聴いてみることもあります。その時、録音年代を参考にして、古いものが聴きたい時は古い録音を聴くとか、その時の気分で決めたりします。マニアックですね(笑)。

■サービスの中でよく使う機能はありますか?

(新原さん)作曲家ページhttps://ml.naxos.jp/composer/をよく使います。「ネットサーフィン」ならぬ「ナクソスサーフィン」をするのですが(笑)、目的もなしにぶらっとする時によく活用しています。目的がある時はキーワード検索を使いますね。
(山本さん)作曲家ページで、頭文字をクリックすると作曲家の一覧がばーっと出てくる、という機能を最近知りました(笑)。

■NMLには「プレイリスト」の作成機能があり、先生方のアカウントではプレイリストの作成権限がありますが、こんなプレイリストを見てみたい、というのはありますか?

(新原さん)「標題音楽」とか「19世紀」とかテーマを限定して、先生方に作ってもらったのを見てみたいですね。逆に、何のテーマで作られたかを隠しておいて、当てっこするようなことをしたら面白そうです。
(山本さん)先生方が「これは名演だ」と思っているものを集めたプレイリストが聴きたいですね。

山本香紫さん

■NMLで出会った作品・演奏の中で「これ」というもの(好きなもの、忘れられないもの、お勧めのもの etc.)ありましたら教えて下さい。

(山本さん)リゲティのヴァイオリン、ホルンとピアノのための三重奏曲 「ブラームスへのオマージュ」(https://ml.naxos.jp/work/9362180)です。私はリゲティが大好きなのですが、ホルンの友達がいて、コンサートで一緒にできる曲を探そうという時に「ホルン」で検索して見つけました。
「オマージュ・ブラームス」なのにこんな曲があるのか、と思いました。ブラームスの片鱗も感じないけれど(笑)、とてもかっこいい曲で、YouTubeでサーフィンしていてあまり出会う曲ではないということもあり、挙げさせていただきました。ぜひ聴いてみてください。

                                        
もう一つは、吉松隆の「朱鷺に寄せる哀歌」(https://ml.naxos.jp/work/31814)です。私は人に勧められた音源を検索することが多いのですが、これは作曲科の友達が、「ピアノやっているならぜひこれを聴いた方がいいよ」と教えてくれたもので、聴いてみたら、もうたまらない名曲でした。 いわゆる「音源を買い漁る」ということは、現代作品では判断が難しい中で、「まず聴いてみる」ことができたことで出会えた曲です。大変な衝撃でした。

(新原さん)メシアンの「モーツァルトの様式による歌」(https://ml.naxos.jp/work/2410348)です。 特定の作曲家の作品を年代順に上から聴いてみよう、ということをしていた時に見つけた曲です。メシアンが晩年、試験用に書いた曲らしいのですが、すごく印象に残った曲でした。

同じようにして出会ったのが、チャイコフスキーの「9つの宗教的音楽作品」(https://ml.naxos.jp/work/7257770)で、すごくきれいな曲です。「いつでもどこでも聴きたい」と思ってCDを入手しようと思ったのですができず、ナクソスでしか聴くことができませんでした。まさに「掘り出し物」ですね。

また、ツィメルマンのシマノフスキの作品集の新譜(https://ml.naxos.jp/album/00028948630110)を入れていただいて有難うございます(笑)。

(川村さん)たまたま演奏会で聴いた、マリー=アンジュ・グッチさんというピアニストをすごく好きになったのですが、彼女の名前で検索をかけて出てきた音源の中から、バッハ=ブゾーニの「シャコンヌ」(https://ml.naxos.jp/work/6139832)を聴いて、「うまいなー」と思っていたら、ちょうどその後、先生からこの曲を課題として出されたので、たくさん聴いて、記憶に残っています。

■NMLのサービス全体についてご要望がありましたら教えてください。

(山本さん)ナクソス内のページのどこかに貯めておける、「あとで聴く」のようなブックマーク的な機能がほしいです。あとで「あの時、こんなものにはまっていたんだな」「こんなのも聴いていたんだな」と振り返るような使い方ができたら面白いなと思います。
(新原さん)アクセスしたリンクは(ブラウザの機能で)青からエンジ色に変わりますが、それを見て時々「こんなのを聴いていたのか」とはっとすることがあります(笑)。
(川村さん)私はスマホで、文字サイズの表示を拡大しながら使っていますが、ブラウザの表示もスマホ用にタッチしやすくなるといいなと思います。


■今後の目標、将来の夢をお聞かせください。

(新原さん)やりたいことは「音楽」です。研究であれ、演奏であれ、作曲であれ、とにかく音楽から離れるものか、と思っています(笑)。
(山本さん)大学教員を目指したいと思っていますが、研究と演奏と、両方やることに意味があると思っているので、良い演奏家を目指したい、ということと同時に、あまり世に出ていない作曲家を評価する研究もやっていきたいなと思います。
(川村さん)バレエが好きなので、たとえばバレエのレッスンピアニストなど、音楽とバレエにかかわって生きていけたらいいなと思っています。

どうもありがとうございました!

(2023年7月取材。所属・肩書はインタビュー実施時点のものです)

※(2023年11月27日追記)本記事の動画版を弊社YouTubeチャンネルで公開いたしました。
 あわせてぜひご覧ください。