VTSで鑑賞してみた #001 ドニ: セザンヌ礼賛
今更ながらアート鑑賞にハマっている。あまりにハマって、自分の部署のミーティングにも右脳を鍛えるトレーニングの一環としてほぼ毎週取り入れている。
振り返れば山口周さんの本を読んだのも、都内でヴィジュアル・シンキング・ストラテジー(VTS)講座を初めて受講したのも「VUCAだなんだと言っても、アート思考なんて所詮、一部の意識高いヒト向けのモノよね」的な雰囲気漂う2019年の冬のことだった。
九段のギャラリープロトマニアで中尾先生に初めて受けたVTS plus講座のお題がこの作品だった。画面全体を埋め尽くす黒服の男たち、密集により際立つ緊張感。
ユダヤ人同士の闇絵画取引の場ではないか、というのが自分なりの見立てだった。その見立ては正解でもないし、不正解でもない。
この絵の中心人物のはずの、中央の力説してる風の男。彼にしたって、セリュジェなのかゴーギャンなのか判明していないのだから。ちなみに額縁の上に見える顎髭の男が本作の作者でもあるドニ。
中央の男に促されてセザンヌの果物入れ、グラス、リンゴを鑑賞しようと眼鏡を磨くのは、ドニたちナビ派よりもふた周り上の世代ながらも、前衛的な作風で知られたルドン。
イーゼルを支える屈強そうな長身の男。闇取引の首謀者かと思いきや、この舞台である画廊のオーナー。
くわえタバコの痩身の男の奥に見えるのは作者であるドニの夫人なのだが、他の人物の黒装束の中では異質な感じで、見方によっては彫像にも見えなくない。
イーゼルの台座で眼光鋭い子猫。これの意味するものは、どこにも見当たらないw
結局のところ〇〇らしい、××と思われる、だらけの本作品。前例に従えば間違いない、という常識が崩壊したこの時代にあって今見えている情報から、確からしいこと・進むべき道を推測することの大事さを気付かせてくれた本作品を私は一生忘れないと思う。
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