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位置情報の有効活用

こんにちは、「ゆうきち」と「かまくら」です。ナビタイムジャパンでゆうきちは研究開発部門で経路探索エンジンの開発を、かまくらは研究開発部門で位置推定技術の開発を担当しています。
当社の各種サービスで、ユーザーの位置情報をどのように活用しているのかをご紹介します。

位置情報とは?

当社の各種サービス利用者から許諾を得て収集し匿名化したGPSログデータのことです。
これを道路ネットワークにマップマッチング(※)し、様々なサービスのインプットデータとして活用しています。
※マップマッチングとは、GPSログデータを道路に関する様々な情報を属性として持っている道路ネットワークデータに合わせる技術で、ナビゲーションの精度向上に使われます。

マップマッチングイメージ

交通情報として活用する

カーナビ系アプリから収集される位置情報を車の交通情報として集約し、当社の渋滞情報として配信しています。
アプリから取得される位置情報を毎秒蓄積し、それを受信したサーバー側でリアルタイムに道路ネットワークにマップマッチングして、各道路をどれだけの台数がどれくらいの速度で通過したかを分析し、リアルタイムな渋滞情報としてデータ化します。
それを地図上に描画したり、経路探索した時に渋滞を回避したり、目的地までのおおよその所要時間として活用します。

また、蓄積された位置情報はリアルタイムな渋滞情報としてだけでなく、渋滞予測情報としても活用しています。
どこの道路を、何曜日の何時にはこれくらいの速度で走行可能だった、などの統計的なものや、当時の交通規制や事故の状況なども加味して予測データを作成しています。
予測データを作成する際には大量に集めた位置情報を処理する必要があるため、分散処理をして作成しています。

走行実績として活用する

トラックドライバー専用カーナビアプリ『トラックカーナビ』から得られる大型車ドライバーの位置情報は通行実績データとして活用しています。
例えば、道路ネットワークの形状だけでは「この大きさのトラックがここを曲がるのは難しい」と判断されてしまい、安全のために余計に遠回りする経路を算出してしまうケースが存在します。
そういった個所も、実はこの大きさのトラックが曲がれたという実績が位置情報の分析からわかりますので、より品質の高い経路を算出することが可能になります。

また、災害時にも通れた道というのは貴重な情報になります。この道が通れる・通れないというのは日本道路交通情報センター(JARTIC)から交通規制情報(VICSデータ)として配信されますが、それがわかるのもある程度の規模以上の道路(VICS対象区間)のみになります。また、配信対象の道路でも現地の交通規制の対応が遅れた場合には正確な情報が配信できなくなってしまいます。
そういった対象区間外の道路や、対象区間内でも情報が正確にわからない場合に、ユーザーから提供された位置情報があれば通れた実績のある道・まだ通れた実績のない道が判断できるようになり、緊急時に役立つデータ提供が可能になります。

地図更新に活用する

全国各地では至るところで道路工事が行われており、道路の状況は日々変わっています。
例えば、新たに道路が開通したり、一時停止標識のあった交差点に信号が新設されたりしたことにより一時停止標識が撤去されたりすることもあります。

ただし、こういった道路状況が変化した際に、即座に地図のデータに反映されるわけではありません。現実世界での道路状況の変化を地図のデータに反映するにはある程度の時間が必要なのですが、そのタイムラグを極力短縮するためにユーザーから収集した位置情報を活用しています。

過去に当社では、ユーザーから提供された位置情報を元に新しい道路を自動で地図に反映する仕組みについて発表しました。

他にも、それまで一時停止標識があった交差点で多数のユーザーが一時停止をしなくなった場合、多数のユーザーが交通違反をしているとは考えにくいため、一時停止標識が撤去されたなど道路状況が変化している可能性があります。
そのような傾向が見られた場合は個別に道路状況を確認するなどの取り組みに繋げています。

まとめ

収集された位置情報はここに記載した内容以外にも、様々な便利なサービス・機能・研究開発のために有効活用しています。

位置情報を提供するのはちょっと怖いな・・・と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、個人が特定できないように適切に処理したうえで集約された情報としてユーザーに還元しています。
結果として一人一人の貴重な位置情報が全国の正確な交通情報の把握を可能にし、それを基に移動の分散を促すことで混雑を緩和することにつなげたり、新しい地図の作成などに役立っています。

今後も収集した貴重なデータは様々な研究開発に役立てていき、より便利なサービス・機能提供につなげていきます。