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【対談】学部卒と修士卒、どっちが有利?

今の時期(3月)は、学部3年生にとっては就職活動が本格化している時期でありながら、理系の学生のみなさんは研究室配属があったり、大学院進学するのであれば希望を出したり、進路についていろいろと考えるタイミングかと思います。研究室配属がはっきりしていなかったり、配属決定直後で研究テーマは全く決まっていない中で、進学するのか、就職するのか考えなければいけない、というのもなかなかハードです。
そこで今回は、同期入社で同じ大学出身、でも一人は修士卒、もう一人は学部卒、というお二人に来ていただき、学生のみなさんが気になる「で、結局のところどっちが有利なの?」という話題で話してもらいました。

【対談参加者】
わらじかつどん : 大学院ではコンピュータサイエンスを専攻し、2019年に修士課程を修了、ナビタイムジャパンに新卒で入社。現在4年目。研究開発部門で、車・徒歩・自転車の経路探索を行うライブラリの新機能開発・保守・運用を担当。

ちょくにゃん : 情報メディア系学部を2019年に卒業、ナビタイムジャパンに新卒で入社。現在4年目。主にWeb技術を用いて多店舗データ管理を行うSaaS『NAVITIME Location Cloud』(※)の開発・運用を担当。


聞き手 : 採用チーム(あ)

所属していた大学の進学事情

ー今日はお忙しい中ありがとうございます。今回のテーマは「学部卒・修士卒」についてです。お二人は、同じ大学の出身の同期入社で、それぞれ学部卒、修士卒として入社していますが、所属していた専攻領域での大学院進学率は、それぞれどうでしたか?

わらじかつどん 自分が所属していたところは、ほとんど修士に進んでいたと思います。感覚的には8~9割くらいでしょうか。

ちょくにゃん 僕の所属していたところは、先生たちは大学院進学を勧めていましたが、実際には5割か、少し進学が多いかな?くらいだったと思います。

ーやはり、同じ大学・理系分野と言っても、学科や専攻領域で違いが出ますね。学生時代、大学院進学についてはどう考えていましたか?

わらじかつどん 自分は大学入学当初から大学院進学するつもりでいました。強い根拠があるわけではないですが、「理系だったら大学院に行くでしょ」が自分の中では当たり前になっていたからです。学部で卒業して就職していく人も少しだけいましたが、「きっと研究よりもやりたいことがあったんだろうな」と思っていました。

ーなるほど。ほとんどが大学院進学をする学科だった中で、学部卒で社会に出ていく人たちは、どのような人たちでしたか?

わらじかつどん 自分の印象ですが、大学内に広い人脈を持っていたり、課外活動に積極的だったり、何かの研究を突き詰めていくよりは、バリエーションを拡げていくような生き方が好きなんだろうな、と感じていました。

ちょくにゃんは学部卒で就職していますが、大学院進学についてはどう考えていましたか?

ちょくにゃん 僕の場合、「大学に入ってこれを学びたい、研究したい」というものが明確に合ったわけでは無かったです。現役のときと浪人時代とで、受ける学科を変えたりもしています。大学院に進むか就職するかについてもハッキリ決めていたというよりは、「行きたいところに就職できるなら学部で卒業、ダメだったら大学院に行こうかな」という考えでした。大学院への推薦をもらえていた、というのもあるのですが。

ー大学院進学するという判断は、いつまでにできていればよかったんですか?

ちょくにゃん 決断は、大学院進学の試験までにできていればOKでした。とは言え、就職活動自体は3年生のうちに動き始めることが多いので、就職を選ぶ可能性があるかどうかの判断は、大学院進学試験より前にしておかなければいけません。僕の場合は進学 or 就職の意思決定が遅かったので、就職活動の一環でインターンシップに参加するも3年生の2月になってしまいました。周りの人たちはもう少し早めに意思決定している人が多かったように思います。

就活の中での有利/不利

ー就職活動の中で、大学院生だから、学部生だから、で有利に感じたり、逆に不利に感じたりすることはありましたか?

ちょくにゃん 研究室配属から間もない学部3年生の3月~4月頃に就職活動をしていたので、研究に関することを聞かれてもほとんど話せなかった、というのはあります。研究室全体で扱っている領域・テーマみたいなことは話せますが、具体的に何の研究をしていくのか、というところについては、何も決まっていなかったからです。

ー研究室配属のスケジュールを考えたら、「聞いてもそれほど話せないよね」と想像できるところではありますよね。自分が面接をするときは、3月の学部3年生に「研究テーマは?」と聞くことは無いと思いますが・・・。

ちょくにゃん そうですよね。でも、他の企業でそういう質問があるということは、きっとそこでは研究に対して何かしらを期待されているということでしょうし、当然大学院生たちはその期待がより大きいんだろうな、とは思っていました。

わらじくんは就職活動の中で「大学院生だから」と期待されていると感じたことはありましたか?

わらじかつどん んー、特に無いですね・・・。実際のところはわかりませんが、求人情報のレベルでも「学部卒○名、修士卒○名」と分けて記載していた企業は1社あったかな、くらいですし。

ー大学から記入を依頼される求人票では「学部卒○名、修士卒○名」と書くように枠が作られていることも多いんですが、学生さんが見ているものにはそのような情報が出ていないこともあるんですね。当社は「学部卒○名、修士卒○名」と数を決めて採用することはないので、求人票を作るときにいつも困っていました笑

ちょくにゃん メーカーの研究開発職、みたいな募集であれば「修士卒以上」みたいな縛りもあるかもしれませんが、IT業界でスマホアプリやWebサービスを開発するという募集だと、確かに募集人数が明記されていることは無かったように思います。そもそも、出身の学部学科も不問になっているケースも多いですよね。

今振り返る、進学/就職の判断

ーお二人は就職してもうすぐ丸4年が経ちますが、今振り返ってみて大学院に行って良かった、学部で卒業して就職して良かった、あるいはその逆、と感じることはありますか?

わらじかつどん 自分は、総合的には修士に進んで良かったと思っていますが、一方で学部卒で就職もありだったな、と思うこともあります。修士の2年間は振り返ってみても一つのことに没頭していた時期でした。仮説検証をたくさん回しましたが、それが今の研究開発の仕事に活きていると思います。一方で、学部で卒業して就職しても良かったかも、と思うのは、20代の2年間はとても大きいと改めて思っているからです。学部卒の人は修士に進んだ人よりも2年早く社会に出るので、その2年間で身につけたものはその後もずっとついて回ります。大学ではできない経験なんじゃないかなと思います。

ちょくにゃん 僕の場合は、4年生の1年間研究に取り組んでみて、「向いていないな・・・」と思ったので、早めに就職して良かったかなと思います。学生時代の友人で、進学する理由が「研究を続けたいから」という人も、「2年間社会に出る猶予が欲しいから」という人もいましたが、研究も忙しいし、就職活動も意外に早く始めないといけないし、就職してからも学会の発表が残っているという人もいたりして、なんだかんだ大変そうでした。なので、早めに社会に出て、やりたいことをやれているので、結果的には学部卒で良かったのかなと思います。

ー修士に進んで研究が学部生のときよりも大変になる、というのは実際その通りだと思いますが、わらじくんはどうでしたか?

わらじかつどん 研究室によるのだと思いますが、自分が所属していたところは学会や論文について厳しく言われることはなく、2年間好きにやらせてもらえたと思います。なので、忙しかったというよりは、先ほども言ったように「没頭していたな」という感覚です。

進学と就職で迷う人へ

ー毎年学生のみなさんと話していて、就職活動をしながらも大学院進学のことが頭にあったり、進学と就職で迷っている人は意外に多いなと感じていますが、お二人から何かアドバイスできることはありますか?

ちょくにゃん 研究室配属が希望通りだったら進学、そうでなかったら就職、という人もいたりしますが、そこで決めなくても良いのでは?と思っています。希望通りの配属でなくても、教授が面白いテーマを持っていたり、逆に配属前にやりたいと思っていたテーマが先に研究し尽くされているケースもあったり。表面的なところだけで決めない方がいいんじゃないかなと思います。

わらじかつどん 結局のところ、本人が何をしたいのか次第だと思います。修士に進んだとして、2年間で何をしたいのか、何を期待しているのか。「スキルを身につけて社会で生きる力を身につけたい」ということであれば、就職で全然良いと思いますし、研究で何かを突き詰めたい、研究を通じて基礎力を身につけたい、ということであれば進学だと思います。

ちょくにゃん ナビタイムジャパンの場合は、研究開発系のプロジェクトが多くありいろいろなテーマや技術を扱っているので、大学で学んだことや興味をもったことを活かすことも、全然別の領域に携わることも、どちらもできます。でも一般的には、大学院に行っていると、そこで学んだことや研究したことを活かして働いてほしい、と期待されていることがあると思いますし、何かのタイミングで「分野を変えたい」と思ってもそれが通らないケースもあるかもしれません。

ーたしかに、「その研究をしてきたことを評価されて入社」すると、本人の興味関心が他の分野に移っても、異動を認められないということは起きそうですよね。当社だと無いケースですが、言われてみればありそうですね。

ちょくにゃん あとは、大学として「なるべく進学してほしい」という空気が強めのところもあると思います。特に国立の工学系分野はその傾向が強いんじゃないかなと。僕も大学であった進路説明会で、「大学院進学した方が、先々の昇給スピードも速いよ」みたいなことを繰り返し言われた記憶があります。ただ、実際に学部卒で就職して思うのは、結局のところその人次第、その人の「志」や能力、頑張り次第なのかなと思います。周りの優秀な人たちを見ていても、学部卒の人もいれば、修士卒の人もいれば、理系の人も文系の人もいます。なので、周囲の情報とか、有利不利とか、そういうことに惑わされずに、「自分がどうしたいか」で道を選んでほしいなと思います。

ー最後の話、迷っている学生のみなさんに、すごく響きそうだなと思いました。いいお話をありがとうございました。


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