就職活動中における質問術
会社説明会やOBOG訪問、先輩社員との面談、そして面接まで、就職活動中の方々が質問をする機会はたくさんあると思います。
みなさんは、上手に質問ができていますか?「何を聞けばいいか分からない」「いつも定番の質問になってしまっている」「同じ質問をいろいろな企業にしてその回答を比較しようと考えたが、似たような回答が返ってきてしまって各企業の違いや特色を引き出せていない」といった、「質問の時間を効果的に使えていない」という声を聞くことは、意外に多いです。
今回は、就職活動中における質問術というテーマでお話ししていきたいと思います。
質問をする前に「その質問で何が得られるか」を意識する
まず、そもそも質問とは何なのかという根本のところから改めて考えてみたいと思います。
辞書では、「質問とは、分からないことや知りたいことを問いただすこと」と出てきます。ですので、何かを質問するときには事前に「分からないこと」「知りたいこと」を明らかにしておく必要がありそうですね。そして、ここで個人的にとても大事だと思うことが、「その質問に対する回答を聞いて、何が得られるのか?」ということです。また別の言い方をすると、「その質問に対する回答を聞いて、本当に知りたかったことが知れるのか?」ということです。
例えば、「自分がその企業で働いている姿をイメージしたい」と思ったとして、1日のスケジュールを聞いたらイメージが湧いてくるでしょうか?人によって時間の使い方が違ったり、時期やその時取り組んでいる仕事によって同じ人でも時間の使い方が変わったりするのが当然だと思います。ですので、仮に1日のスケジュールを聞いたとしても「ある人の、ある瞬間的な1日の時間の使い方」しか分からないわけです。これでは、「自分がその企業で働いている姿をイメージ」することはできないですよね。
知りたいことに対してさまざまな切り口で聞いてみる
例に挙げた「働いている姿をイメージする」ための質問の仕方は一つではなく、また一つの質問に対する回答だけでイメージを膨らませることも難しいので、いろいろな切り口で質問をしていくことでイメージを鮮明にしていくのが良いと思います。
具体的な質問をここで書いてしまうと、読んでいただいているみなさんが考える機会を奪ってしまい「質問力」を身につけることに繋がらなくなってしまうので細かくは書きませんが、切り口の例としては
環境や雰囲気に関する質問
コミュニケーションに関する質問
時間に関する質問
仕事の中身に関する質問
裁量、任される範囲に関する質問
などがあると思います。一つだけヒントとして挙げれば、「時間に関する質問」をするときに「1日の時間の使い方は?」と聞いてしまうのは表面的な質問であり、その回答を聞いても「結局のところイメージが湧かない」状態になってしまいますよね。それよりも、「時間の使い方はある程度決まっているものなのか、どのくらい個人の裁量に委ねられているのか」ということを聞く方が1日の時間の使い方を聞くよりもイメージは湧いてくると思います。
そのまま聞かない方が良い「逆質問○選」
検索サイトで「面接 質問」などで検索すると、「面接で使える!逆質問○選」みたいな記事が多く見つけられますが、ここに出てくる質問例も「その質問に対する回答で何が得られるのか」という部分が非常に表面的なケースがあります。というよりも、ほとんど表面的な質問しかないかもしれません。
例を挙げるとすれば、
力を入れている事業/サービスは何ですか?
学生時代に学んでおいたほうが良いこと、取得しておいたほうが良い資格はありますか?
活躍している人の特長は何ですか?
仕事のやりがいは何ですか?
などです。
力を入れている事業/サービスは何ですか?という質問に対して、「Aという事業に力を入れています」「世の中が〇〇という方向に動いているのでBというサービスに力を入れています」という回答が返って来たとして、そこから得られることは何でしょうか?「事業Aに力を入れているんだな」「サービスBに力を入れているんだな」ということくらいしか得られませんよね。
事業/サービスに関する質問は、上手く聞くことができればその企業の現状、方針、考え方の特徴などをあぶり出すことができると思いますし、質問をする意味はまさにそこにあります。表面的な質問をして表面的な回答を得ても、目の前の企業の事業/サービスを理解することには繋がりません。
例えば、
どういう経緯でその事業/サービスが始まったのか
その事業/サービスは今どういうフェーズなのか(立ち上げ期、成長期、安定運用期など)
その事業/サービスはどのような経緯を辿って現在の状況になっているのか
それぞれのフェーズ(立ち上げ期、成長期、安定運用期など)で、どのような動きを取るのか、取ってきたのか
のようなことを聞いていくと、「安定運用されているように見えて、いろいろな挑戦をしているんだな」「新しい事業が始まるキッカケは〇〇みたいなこともあるんだな」「事業が大きくなっていくときの雰囲気はこんな感じなんだな」といったように、より具体的なイメージも湧いてくると思います。
相手やシーンによって質問を変える
これも当たり前といえば当たり前のことだと思いますが、「逆質問集○選」からそのまま引用してしまう人がやってしまいがちなことです。
初めてその企業の話を聞く説明会やOBOG訪問の時と、複数のコミュニケーション機会があった後の面接の時では、質問が大きく異なるはずです。同様に、1回目の面接と3~4回目の面接では、「その企業に対する理解の深さ」が変わっているはずなので、やはり質問は変わるはずです。
「同じ質問をいろいろな立場の人に聞いてみて回答が一貫している=企業としての方針が一貫しているかを知る」ということもあるとは思いますが、あまり良いやり方ではないです。そんな抜き打ち検査みたいなことをしなくても「企業としての考え方や方針が共有されているのか、浸透しているのか」を知る方法や質問の仕方はいくらでもあるからです。
この記事の冒頭でお伝えした通り、「相手の回答から自分の知りたかったことを引き出す」のが質問なので、「相手が持っている引き出しには何が入っているのか」を意識しながら質問を考えられると良いと思います。
若手の先輩社員には普段の仕事のことや数年後の自分のイメージするための質問、ベテランの社員や責任ある立場の社員にはビジネスのことや教育方針に関する質問、経営者・役員には企業としての考え方や方針、フィロソフィに触れる質問、といった具合に「誰に語ってもらうのが適切なのか」ということを踏まえて質問できると、得られることもより充実するのではないかと思います。
まとめ
今日は就職活動における質問術というテーマでお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?考えることがたくさんあって難しいな、と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで安易に「よくある逆質問○選」に逃げずに自分の頭で考えて質問をしてみることで、みなさんの質問する力は伸びていくと思いますし、それによって説明会や面接で得られる情報量も格段に増えていくと思います。
今日のお話が、みなさんの参考になれば幸いです。