私は死ぬまでま繰り返す
4月下旬はこんなに暖かくなるものか。
そんな風に考えながら仕事終わりの道を歩く。
20数年も生きてきたのに、
20数回この季節を味わってきたのに。
毎年私は同じ季節に同じことを感じている。
来年の私もまた同じことを考えてしまうだろう。
また、いつもと同じ夏が来て、誰かと恋をして、
また、冬の寒さに凍えながら柔らかい春を待つのだろう。
でもその繰り返しもいつまでも続く訳では無い。
私はいつか死ぬ。
不確かで不明瞭な世界のルールの中で揺るぎのない事実は、私がいつか死ぬということだ。
もう散った桜の美しさも、夏の蝉の声も風の匂いも、秋の少し寂しい空気も、冬の白い息も。
私はあと何回経験できるのかすら分からない。
あと何回私は人を愛していけるのだろうか。
よく聞く言葉だけど、終わりがあるからこそ何事も美しく見えるように思う。
変わらないものの美しさを解こうとしても永遠に美しいものは、私が終わるというルールが適用されているから美しく思えるような気がする。
言葉じゃ上手く表現できないけれど、それもまた美しく見えたりなんかしちゃったりもするかも。