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小説に賞味期限はありません

作家さんのつぶやきや、作家さんが出てくる小説などでたまに「小説を新刊として出した数ヶ月が勝負、後は右肩下がり」というような意味合いの話を見聞きします。

それを目にするたびに少し悲しくなります。ビジネス書や専門書は知らないけれど、小説は数ヶ月どころか数十年経ったっても面白いものは面白いのに、と。

新刊が出た時に面白そうな作品を全て読めるわけではなくても、積読しておいて後から読めばいいし積読が嫌な人は、手持ちの本を読み終わってから買って読めばいい。
2年ぐらい前に流行った小説だから今更読むのは……なんて考えて躊躇するのは勿体無いですよ。
流行りが終わってもその小説はきっと面白いのですから。

私は純文学に関しては文芸誌を購読して、芥川賞の候補作が発表される前に、候補作の候補になる可能性のある作品を7〜8割以上読みます。
それは純文学が好きで、好きな作家さんや気になる新人さんをいち早く読みたいからです。

けれどエンタメ作品に関しては、直木賞や本屋大賞が発表されてから「あ、なんか面白そう」という作品をかなり後になってから読んでいます。なんなら数年経ってからということもあります。
なのでエンタメ好きの人たちからしたら「今頃その作品?」と思われるかもしれないですが、いいんです、それで。
それでも面白い小説は面白いし、そういう本が絶版にならないで手に入る世の中であってほしいのです。

特に純文学では絶版になるのが早く、書店にないだけでなく、取り寄せることも出来ない本がたくさんあります。もちろんその小説が面白くないから絶版になったわけではなく「これ以上はもう売れないだろう」と思われてしまったことで絶版になった可能性が高いです。もちろん他の理由もありますが、純文学は元々新刊の時から売れにくく、月数が経てば更に売れないだろうと思われる。確かに仕方がないことでしょう。

でもだからこそ、私たち本好きは積読をしてでも(将来)読みたい本は買って、今流行ってる本じゃなくても読んでいこうよ、と言いたいのです。

小説に賞味期限はないのだから、絶版にならないうちに、ならないように細く長くでいいから読者が続いていってほしいと願います。

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