見出し画像

尾藤誠司氏についておもうこと 〜「医者のトリセツ」出版記念

尾藤誠司氏はあたしの上司です。毎日顔を合わせるようになってかれこれ15年経つでしょうか。
なんなら夫より一緒にいるオトコかもしれません。(笑)
彼について書いてみたいと思ったのは、この本「医者のトリセツ」が世に出て行くことに、あたしなりの思いがあるからです。

【尾藤誠司氏との出会い】
彼と出会った頃のあたしはうつ病の病み上がり。
その頃の彼は数々の研究を手がけていましたが、まだベテランと呼ぶには若い研究者だったように思い出されます。

あたしは、彼の研究事務をする求人に応募して、未経験ながら10本近い研究事務を同時進行させるという荒行にズブズブと巻き込まれていきました。毎晩締め切りに間に合わない夢を見たもんです(笑)
その頃の彼の研究は多岐にわたっているように見え、その文脈を初心者のあたしは読み取ることができず、いろんなことを理解するのに随分と難儀したし、尾藤誠司という人と付き合って行くことにも不安を感じていました。

あたしには彼が自由すぎるように見えていたんです。

【自由はけしからんという思いから癒しへ】
彼との毎日は驚きの連続でした。
まず、研究室には毎日ロックが流れてる。
なんなら歌いながら仕事してる。
職場なのに布団と枕がある。(当直あるから当たり前なんですけどね)
毎日上司がどこにいるのかわからない。(臨床、研究、兼務している役割があって、いろんなところにデスクがあるんです)
しかもなんかヘラヘラしてる。

それまで、
決められた部屋の中で、決められた業務を行い、離席するときには自分の所在をホワイトボードに記して共有し、社内に流れる音楽があるとすればそれは、お客様向けのBGMであったあたしの常識は混乱していました。

こんなに自由なやり方で仕事ってできるの?
これで許されるの?
あの頃の四角四面のあたしはそう感じたものでした。
でも、結果として、彼のこのあり方が、うつ病だったあたしを癒していったようにも思っています。
彼は、いつも、上手く行く方を選んでただけだったんじゃないかな。なんていうか、感情論みたいなややこしいことを良い意味で排除した対応をしてくれてるんだと思います。

【気にすることなくやりなさい】
そして、
興味のあるものに手を伸ばし、
好きな分野を突き詰め、
そのために猛勉強をして何かを作り上げて行く姿を、
ヒトになんと言われようと、
自分の中で大切にしている規範を忠実に誠実に扱う姿を、
落ち込んでも傷ついても
外にはヘラヘラする姿を、
毎日この目は捉えていました。
驚きはだんだんと感心に変わっていきました。
マザーテレサの
「気にすることなくやりなさい」を
目の前で見せてくれているような気がしています。
ま、それでも、
コロコロと変わる彼の毎日にはいまでも混乱し続けてるんだけど(笑)
それもまた、彼のあり方で、
ヒトは常に変わっていく、ということの体現なのかもしれません。

【おもしろいが大事】
そんな彼と今まで一緒に仕事をしてこられたのは、
「この人おもしろい」
と思えたからだと言えます。
ホントにもう、
楽しい日も
悔しい日も
泣かされた日も
怒りに震えた日もあったけど、
こんなに長く続いた理由はたったひとつ。
「この人おもしろい」
の一言に尽きるのかもしれません。

【読んでみてみて!!】
彼の規範は、分野は、
今の時代が求めるものそのものである気が、
あたしはしてるんです。
でもそれは、彼が時代に合わせたわけじゃありません。彼がずっと言い続けて考え続けてきたことです。
だから、彼の言葉には説得力があります。
経験の蓄積があります。
ちゃんとしたウラがあります。
だから、これは連載で終わることなく本になったんです。

採用面接の日、面接官としての彼がした最後の質問は「あなたにとって医療とは一言で言ってどのようなことですか?」でした。
あたしの答えはこうでした。
「近くにあって遠いものです。」
この本は医療の専門家である医師と医療の素人である患者との距離を取り持ってくれるものになるでしょう。

Amazonで先行で購入してくれた友人は口を揃えて「目から鱗だった」とパラダイムシフトの感想をくれています。
あたしは、これを読むことがその人の内省につながると嬉しいなと思っています。
そして、「医者のトリセツ」は医者だけにあてはまるものにあらず。とも思っています。
ま、帯の写真はちょっとイイヒト盛りすぎですが(笑)

仕事を始めたあの頃、あんなに繋がりを感じきれなかった数々の研究はホントはONE PIECEでした。
それもまた、とても感慨深い感じです。
今となっては、あたしにとって尾藤誠司氏は、上司であり同志であるような気分。
彼の思いが一冊の本になったことはとっても嬉しいです😊

ビトさんオメデト。
ホメゴロシになってたらごめん🙏

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?