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【玄米王漫遊記】vol.18 美味しい玄米を探すのが難しい理由

玄米王米穀店は、お米の専門家である「五ツ星お米マイスター」のいるお店です。
お米が大好きな私たちがお届けする【玄米王漫遊記】ぜひご覧ください。


【玄米王漫遊記】vol.18 美味しい玄米を探すのが難しい理由

玄米について、「ボソボソ感が玄米らしいから噛み締めて食べている」なんてお話を聞くことがあります。
無理せずに続けたくなるような美味しい玄米を食べたらいいのにな、と思いながら、多くの人は美味しい玄米に出会えていない可能性があることに気がつきました。
今回は、その理由を探ってみたいと思います。

1. 玄米食者は日本人の4%

株式会社アスマークが2017年に実施した全国の20歳~69歳の男女、1,000人を対象にした「お米(ごはん)に関するアンケート調査」によれば、玄米をほぼ毎日食べている人の割合は4.4%でした。
それだけ玄米はポピュラーな主食ではなく、生産者や小売店でも本当に美味しい玄米を知っている人は限られることが想像できます。

2. ボソボソ感について

玄米は、白米にはない「胚芽」や「糠層」が含まれます。「糠層」は、「果皮」「種皮」「糊粉層(こふんそう)」で構成されており、硬いのが特徴です。
糠層には、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。また、セルロースという水に溶けない食物繊維も含まれており、他の食物の消化吸収を助けます。

さらに、下の図には書いていませんが、糠層の外側に「ロウ層」があります。ロウ層とは、玄米の表面を覆っている防水性の高い層です。ロウソクのロウと性質が似ており、玄米を保護する役割があります。このロウ層を取り除いたロウカット玄米というものも商品化されています。

このように、白米に比べて外側に何層もの固い層があることで、浸水時間の不足、炊飯時の温度や圧力不足などの要因で玄米がうまく炊けずにボソボソとした食感になってしまうと言われています。

3.加工によって食べやすくした玄米

玄米を食べやすくする工夫として、ロウカット玄米や発芽玄米、発酵玄米など、様々な工夫で食べやすく加工した玄米が販売されています。

4.加工されていない美味しい玄米

玄米王米穀店では、つくり手の技術や品種によって、玄米そのものが美味しいものがあることに気がつきました。
それは、店主が毎年100軒以上の生産者を訪ね、200種類以上の食味検査を実施するなかで、玄米そのものの違いについても知ることができたからです。
白米で大変美味しいものでも、玄米の場合は良さが減少してしまうものも存在するのです。

このような気づきが、全国で最も旨い玄米を見つけ出す「土鍋炊飯食味グランプリ 玄米王」の開催に繋がっていきました。
糠層には、農薬が残留しやすいという問題から、より農薬不使用であることが求められる玄米において、自然栽培米または有機栽培米のみから、その年の最高峰を決定するグランプリです。

5.玄米食の歴史は意外と浅い

現代のような玄米が食べられるようになったのは明治期以降と言われています。昔は、舂米(しょうまい)と言って、杵と臼でついて、籾殻をはずしていたため、糠層がやや削れたお米が食べられていました。
籾摺り機や精米機の性能が上がり、現代のような玄米や白米が作れるようになったことや、江戸時代に流行した「脚気(かっけ)」の原因が胚芽部分に多いビタミンB1不足であったことが、明治期になって解明されたことなど、様々な背景があり、玄米食が推奨されるようになったのです。

おわりに

現代のような玄米が食べられるようになったのは1900年以降とされており、意外にも玄米の歴史は浅いことや、毎日玄米を食べている人が4.4%しかいないことなど、まだまだ玄米は探究しがいがありそうです。
美味しく食べやすい玄米をきちんと炊き上げていただく、そうすることで玄米食を楽しむことができる人がもっと増えるかもしれません。

玄米王米穀店流 玄米の美味しい炊き方


参考文献

  1. 株式会社アスマーク(2017)「お米(ごはん)に関するアンケート調査」











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