続 いつも同じ声の感覚で歌えない?
前回の「その時によって声の感覚が変わって、いつも同じ声で歌えないんです。」の続編。
前回書いた通り、歌い難くなる原因(ケース)にかかわらず、身体や喉の作用としては、まず気がついていなくても、自分の声の聴きかたが変わってしまっている、ということが最重要点です。
それによって喉の位置が悪くなったり、不必要な力が入ったり、発声器官にいつもと違う緊張がでてきてしまう。
そしてまずその状況に気がつく事が、改善の大きな一歩になります。
それに気が付く為にもタイプ別にもう少し詳しく解説していこうと思います。
まず単純に、ライブ会場や部屋の響き方の違い変によって、歌い難くなるケース。
これは、自分の声(歌)が会場にどう聴こえるかをしっかり確認しながら歌おうとしたり、自分の声を返しモニターごしにしっかり聴きながら歌おうとして、耳の神経に集中し、声を確認しようとしたりします。
これは一見普通の事のように聞こえますが、耳をそば立てるように、必要以上に外の音に集中すると、体の中の振動感覚を無視してしまい、声の共鳴する部位と喉(声帯)との位置関係がズレてしまうのです。
また、耳をそば立てるように集中すると、無意識に首の後ろに力が入り安くなりますので、それによって喉(声帯)のズレや硬直をおこし安くなります。
特に期待通りに自分の声が聴こえなかったりすると、途端に首が硬くなり前に倒れ、顔を少し前に出す動きをしてしまっているはずです。
それによって声帯の位置がずれたり、声帯に緊張を起こしてしまい、無意識に力の入った声になったり、声を押し出そうとする動きを帯びてしまいます。
そして、それに気がつけず、いつも通りに歌っているつもりになるのです。
歌い方と、自分の声の聴き方が別物という捉え方をしているためです。
これは、逆に、自分の声の聴き方こそが、歌い方の最重要要素だと思った方が良いくらい大切になります。
上記の部屋の響き意外にも少し状況の違う、別幾つかのパターンがあります。
レコーディングなどでヘッドホンの返しに頼って歌う感覚を身につけている人で、ライブハウスなどのスピーカー環境で歌うのが苦手な人のケース。
これは上に書いた会場や部屋やによって歌えなくなることと同じことで、返しの音と喉の動きが完全にリンクしてしまっているので、声がよく聴こえないと、発声が弱いと脳が判断して、無意識に声を押し出すように喉に力を加えてしまい、体も硬くなり、それによっていつも通りに歌えなくなってしまいます。
逆にスピーカーの返しに慣れていて、ライブイベントではうまく歌えるのに、レコーディングになると力が入ってうまく歌えなくなる人もいます。
これはさっきと真逆ですが、うまく歌えなくなる理由は同じ。
聴き方が変わってしまい、耳をそば立てるような聴き方になってしまっているんです。
生声だとうまく歌えるけど、マイクを使うと歌い難くなる人のケースと、逆にマイクだとうまく歌えるが生声だと歌い難いという人のケース。
これらも無意識におこっている事は全く同じです。
何に意識を集めて声を判断しているのか、によって、その聴き方がうまくできない状況になると、いつもの使い方(うまく歌える使い方)を見失ってしまう訳です。
それは聴覚からの声の判断が無意識レベルで、喉に大きな影響を与える、と言う事なんですです。
ここまでは、場所と聴こえ方が原因のケースでしたが、その他のケースとして、心理的に声が出なくなるケースと、身体的イレギュラーで声が出なくなるケースがありますが、身体的イレギュラーで声が出なくなるケースは、対処法が全く違うので、またいつか続編として書かせていただきます。
心理的に声が出なくなるケース。
(普通に歌おうとするだけで過度に敏感になってしまうような、心理的障害に近いレベルの場合は、やはり今回の記事では書ききれないので、またいつか別の機会に書かせていただきます。)
今回はその手前の心理的レベルの範囲です。
過度に緊張する場合や、逆に気合が入りすぎる、という状態で、声のバランスが変わってしまい、同じように歌えなくなるケースがあります。
「今日のライブは失敗しちゃいけない。」「プロデューサーに聴いてもらって、良い評価をもらいたい。」
などの気持ちがあると、緊張していても、自分はそう感じていなくても、喉の動きがスムーズではなくなって高音が出なくなったり、逆に上ずって正確に歌えなくなったり。その他の精度も落ちるてしまう、などの現象が起きやすくなります。
このタイプは大きくは2つに別れます。
⑴まず一つ目は、やはり肉体レベルで起こっていることとしては、自分の声の聴き方や感じ方が無意識に変わってしまって、結果的に喉の動きに影響して歌いにくくなっている。という事になります。
⑵もう一つのタイプは、声の聴き方が変わらなくても、体の筋肉(腹直筋、肩、首など)を硬直させることで、喉の動きを悪くしたり制限がかかったりするケースがあります。これは流石に歌っている本人も気がついている事は多いと思います。対処法はなかなか難しいですが。
しかし緊張などで体の筋肉が固まってしまう場合も、声の聴き方と合併している事がかなり多いです。なので、⑴を先に疑って対処していく事で、⑵も解決する場合がほとんどと思って良いと思います。
具体的な練習方法や、それらのケースに陥らない対策に関しては、また改めて書いていきます。しかし、これらのことに気がついていければ、それだけでも変わっていける人、解決してしまう人もいると思いますので、調子を崩したら、まず自分の声の聴き方を感じを振り返って、気持ちよく歌っている時とフォーカスしている場所が違っていないか? 歌唱中の自分の歌(声)の聴き方が変わってはいないか、チェックしてみてください!