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【環境文学】鳥が見たもの

ウグイスの私は
春の農夫が
籠を背負って
ふきのとうを探して歩くのを見る
心が癒される農夫
ウグイスの私は
癒しの歌を農夫にさえずる

オオルリの私は
夏の釣り人が
竿を持って
イワナを釣って歩くのを見る
夏に光る沢水の流れ
緑のやまなみに
心が歓喜する釣り人
オオルリの私は
喜びの歌を釣り人にさえずる

カワセミの私は
秋の詩人が
ペンとノートを持って
紅葉を求め歩くのを見る
その紅葉が
言葉へと変わっていく
心が満たされる詩人
カワセミの私は
瞑想の歌を詩人にさえずる

そして不死鳥の私は
沈黙して
冬の旅人が
リュックひとつで
ただ白い
その山々を歩いていくのを見た
何も求めない
ただ心のままに歩く旅人
不死鳥の私は
そんな旅人の心に与えるものは
何もなく
ただ静かに飛び立った

南会津町田島

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