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№13:ランニングは不健康なことか?
遺伝子が走れと言っている・・?
ランニングは不健康なことなのでしょうか?
活性酸素を増やす?
ケガになるだ?
マラソン依存症だ??
という話もちらほら。
しかし、何でもやりすぎれば害になるし、逆説的いえば害・症状がでなければ問題ないともいえます。
様々な観点でランニングを論じることはできますが、進化形態学的にみると我々は200万年における旧石器時代~ホモエレクトス→ホモハイデルベルゲンシス→ホモサピエンス(私達)という系譜を経ています。
そしてこれらの遺伝子も少なからず受け経ていることは疑いがありません。
これらの歴史の中で安定した農耕食物受給はせいぜい1万年程度です。それまでは狩猟や採集に頼った生活で、食料を探す間は体を酷使しそのあと数日は体を休めるというサイクルを繰り返していました。
200万年にわたって狩猟と採集、そして危機からの脱出のため走っていたのです。
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そのとてつもない年月を通して、走りながら身体のバランスや体調が整うように免疫系なども発達してきたとも言えます。
現代のライフスタイルと遺伝子のアンバランス
しかし現代人の運動量は旧石器時代の祖先に比べて38%も少ないと言われ、毎日30分体を動かしたとしても、遺伝子に刷り込まれたエネルギー消費の半分も消費できていません。
いうなれば現代のライフスタイルと私たちの遺伝子はつりあっていないのです。
このライフスタイルと遺伝子のアンバランスがもたらす病気や問題は生活習慣病をはじめ、様々な影響を心身に及ぼしています。
それは周囲の人々の状態や医療費が年々増大し国家予算を逼迫していることを思えば実感できると思います。
欧米では生活習慣病だけでなくうつ症状や自律神経失調症状にも運動、とくに有酸素運動による心拍数上昇による症状への緩和の有意性にも留意されています。
つまり生涯にわたって一定の距離、一定スピードのランニングができていれば、そういった病気の予防にもなるのです。
2021年の日本国内記録では男性では87歳の方が7時間26分で、女性でも87歳の方が6時間40分でフルマラソンを完走されています。
私は彼らに直接お会いしたことはありませんが、少なくても介護保険認定の要支援や要介護といった認定はなく、またADLが低いことも考えれらません。決してフルマラソン(42.195㎞)にこだわる必要はありませんが、「少し難しいかな」と思われることにチャレンジし続ける意志と行動に意味があります。
87歳といえば私が訪問施術をするいくつかの施設では寝たきり、ベッドサイド、食事排泄要介助という利用者が多くいます。上記の87歳ランナーとどちらが「正しい」のかということではなく、どちらを「お望み」でしょう?
それを決めるのは自分自身しかありません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献/脳を鍛えるには運動しかない SPARK The Revolutionary New Science of Exercise and the Brain :John J Ratey ,MD with Eric Hagerman