海(詩、ポエム)
目を閉じて、深呼吸して、息を止める
一歩前に踏み出し、落ちていく
しばらくして目をあければ、青色の世界の中に自分がいるかのように錯覚する
ゴツゴツと、厳しさを教えるように佇む岩
サラサラと、流れに逆らわず、優雅に揺れる砂
キラキラと、まるで宝石のようにきらめくサンゴ
ワチャワチャと、楽しそうにおしゃべりする魚たち
まるでそれらの仲間になったように、綺麗な世界の住人になったように、その世界を見回す
それらと違う事といえば、ここにずっといられないことだけだ
ブクブクと、少しの泡を口から出し、それらに近づく
岩に触れれば、見た目の通り、こちらを攻撃するような形と硬さを持っている
しかし、よく見れば、その岩を住処にしているものや、甘えるように引っ付いている貝がたくさんいる
厳しくも優しい、そんな岩を眺めて、お邪魔してはいけないと、さらに先へ行く
砂に触れれば、それは一定の場所に留まることを知らず、最初は塊で、次第に一粒一粒、細かくなりながら何処かへ消えていく
同じ意味を持った、同じもののはずなのに、行先はバラバラになってしまうことに少し悲しくなり、さらに先へと目を向けた
サンゴに触れれば、岩のように硬いものもあれば、酷く脆く、今にも崩れてしまいそうなものもある
色とりどりのサンゴたちは、それだけでみるものを感動させ、虜にする
しかし、容易に触れれば、壊してしまいそうで不安になり、さらに先へと歩みを進める
おしゃべりする魚たちに近づこうとしたとき、こちらに怯えてしまったのか、全員一斉に何処かへ消えてしまう
混ざりたかっただけなのに、やっぱり同じじゃないからダメなのか
そう思ったときには、とうとう息が苦しくなり、上へと慌てて浮上する
あぁ、やっぱり、現実(ここ)で生きなきゃダメなのか