横滑龍太郎
横滑龍太郎は会社に対して失望していた。そんな彼に向かって同僚の梶山真由美はそんなに怒ってるとすぐに老けるわよと言って薬らしきものが入っている小袋を渡した。これはなんだと聞く横滑に真由美は言った。
「龍太郎。これはね、私がいつも飲んでるサプリメントなの。これを飲むとイライラがありえないぐらい解消するんだって。アマゾンでも評価が4以上なのよ。これ飲んで効果があったら自分で買って飲んでみてよ。初回だったら半額よ」
「ありがとう。だけど俺はそれどころじゃないんだ。俺はもう会社をやめようと思う」
「会社を辞める?馬鹿言わないで。次の就職先も決まらないのにやめたら将来はどうなるの?そんなときに必要なのが転職サイトの○○よ。就職率90%以上の評判のサイトよ。辞める前にここで転職先を見つけなよ」
「ありがとう。そうだな転職先を探すとして、その前に有給消化して旅行でも行こうと思ってるんだ。そこでもう一度自分を見つめ直そうと思う」
「旅行?旅行だったら格安航空の〇〇航空がいいわ。格安だからたしかにサービスは大手に劣るけどそれでもここは他の格安航空より遥かにグレードが高いわ。しかも今バリ島行きが半額になっているのよ。南の島でゆっくり自分を見つめ直すなんて素敵じゃない?」
「なんかお前の話聞いてたらもう一度この会社で頑張うって思うようになったよ」
「だめよ、龍太郎無理しちゃ。自分に正直に生きろって最近出版されたベストセラー本あるでしょ?その本にはね。あなたみたいに無理に頑張ってる人は絶対に不幸になるって書いてあるの。もっと正直に生きないと将来不幸になるって言うのよ。今私この本持ってるけどあなたに上げるわ。そしてセミナーにも連れて行ってあげる。入会金100万円だけど、みんな先生に救われたくて涙して払うわ。さあ私とセミナーに行きましょ!」
「お前、結局俺にどうしたんだ?お前の勧めた商品を全部買えってことをいいたいのか?」
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