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戦えメロス! 第5話

 魔王はベッドにうつ伏せに寝ているパールを見て微笑んだ。パールはその白く美しい背中を見せて熟睡している。まさかあれほどパールが自分を求めるとは魔王は歓喜に咽んだ。まさか人間が自分と一晩五十回性交できるとは思わなかった。魔王は魔人生の半ばを過ぎてようやく出会えた宿命の女に身も心も囚われていた。次は優しくしなければならぬ。愛撫を多めにしてたっぷり蜜を滲みさせてから挿れよう。そうすればパールは魔呂の名前を呼びながら何度もイッてくれるはず。

 魔王はそう一人悦に入っている間、パールは目覚めて目をつぶりながらさきほどの情交をおぞましい思いで思い出すのだった。王女や他の民と一緒にここに連れてこられたパールはすでに魔王に股を広げていた王女を差し置いて無理やり魔王の妻にさせられた。初体験でいきなり魔呂の珍坊を舐めろと言われたとき、メロスの顔を思い出したながら殺される覚悟で、あんたのチンポなんか誰が舐めてやるもんですか!たまには鏡でその醜い顔見たらと罵りビンタしてやったら魔王はいきなり涙目になって謝ってきたのだった。元来涙もろいパールだったので謝る魔王を許し、魔王がその悪役らしい三角の目を潤ませいきなり押し倒した時も抵抗出来なかった。その初体験の後でいたがって泣くパールを魔王は優しく慰めた。それから何度となく情交を重ねているうちにだんだん魔王との距離が近づいているのを感じていた。最初は囚われの身だからと仕方なく魔王に体を与えていたが、今では何故か自ら魔王の体を求めてしまう自分がいることに気づいた。パールは心の中で神に祈った。ああ!メロス私を助けにきて!早く助けにこないと私魔王に侵食されちゃう!

 その時である。突然寝室のドアが鳴ったのである。魔王が起き上がりなんぞと言ったのでドアの外の男はこう伝えた。

「魔王様、魔王妃様おやすみのところ失礼します。あの海向かいの大陸のリバーサイド村の近くで一匹のゴーストが殺されたそうです。いくらでもかわりのいる魔物の一つですが、あのスライムにすら倒されてしまう人間の中に、ゴーストを倒すものがいるというのは我々魔族にとってはなかなかに由々しき事と思いまして魔王様にご報告を……」

「下がれエビル!そのようなどうでもいい報告を何故魔呂にあげる!上げずともそなたが部下を当地に派遣してその人間を倒せばいいだけの話ではないか!」

「魔王様申し訳ありませぬ!このエビル心配のあまりつい!では今すぐ下がりまする!」

 パールもすでに起きて魔王とエビルの会話を聞いていた。そして彼女はこう考えた。もしかしたらゴーストを倒したという人間はメロスかもしれないと。しかしあの純朴なレベル1の強さしかないメロスにゴーストなど倒せるだろうか。だけど彼女はもしそうだったらと考えた。あの純朴なレベル1しかないメロスがいきなりゴーストを倒せるほど強くなっていたとしたら、さらに強くなりこの囚われの身の自分を助けにきてくれるかもしれない。そうしたらこの魔王の肉体的な呪縛から逃れられるかもしれない。魔王に突かれまくった淫らな夜よさようなら私は明日から純潔な乙女に戻るわと心の中で誓ったところで魔王はパールを言ったのである。

「なんだ。パール起きていたのか。ではさっきの話を聞いたな。フフッ!魔呂の部下は臆病者のバカばかりだ。明日当地に魔呂自ら向かい部下の目の前でその人間を木っ端微塵にしてくれよう。さすれば人間どもも恐れをなして二度と魔呂に歯向かおうなどとしなくなるはずだ!ホッホッホゥー!」

 パールはその魔王の高笑いに心底ゾッとしそれから一睡も出来なかった。


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