夏休みは終わりだ！

今年の陰気な夏休みはこうして終わりを告げようとしている。今までこんなにも陰気な夏休みがあっただろうか。毎年部屋を這いずり回るゴキブリ でさえ今年は滅多に見なかった。恐らくゴキブリもコロナにかかって死んでしまったのだろう。陰気だ。まるで電気を止められたように部屋は暗い。暗い部屋なのに蒸し風呂みたいに暑くなっている。そう、自分は電気代が払えなくて今月とうとう電気を止められたのだ。ヤフオクにもメルカリにも売るものがない自分はどうしたら電気代を手に入れられるのか。働こうにも、コロナへの恐怖と、なによりも自分のやる気に打ち勝てず、いつも部屋でポテトチップスを食べてブクブク太ってブタのように寝ていることしかできない。ああ！せめてコロナとこの暑さがおさまったら勇気をだして外に出てみようと思う。最近僕は自分に活を入れるために、夏休みは終わりだ！と叫んでいる。しかしもう一人の自分がやっと来て、何言ってるんだい？夏休みは永遠に終わらないんだよ。と囁いてくる。永遠に終わらない夏休みなんてどんなに素敵だろう。僕は夢の中で誰もいない南の島の浜辺で人気アイドルと水着で戯れる。ああ！夏休みよ、永遠に終わらないで！もう夏休みは終わりだなんて残酷な事は言わないで！僕はやっぱり夏休みを終わらせたくないので、働けという悪魔をゴミ箱に捨て、自堕落に太った汗まみれの体を畳に横たえて夏休みよ永遠にさらないでと願いながらまた夢を見て眠るのだった。