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妊娠…ダーリンの下へ 第4章 その6

 私のその時の感動をどう伝えればいいのでしょうか。ここに私の全てを受け入れてくれる人がいる。ああ!ここが私の住むべきところだったんだわ!ここに小さな農場をつくってベイビーと一緒に畑を耕して暮らすの。食事は勿論畑から取れた新鮮な野菜よ。バナナだって作ってもいい!無農薬の完熟したバナナを食べる私とベイビー。ああ!ダーリンだって見ているわ!そして村のみんなが私たちを訪ねて来て一緒に夜ご飯を食べるの。ああ!そしてダーリンあなたは天国でそんな私たちをにこやかに見守るの!ダーリン、これからはもうずっと一緒よ!私たちようやく夫婦になれたんだわ!私は神様に祈ろうと天を仰いだその時でした。

 空が光り耳が潰れそうになるほどの雷鳴とともに雷がダーリンの墓に落ちたのです。卒塔婆はあっという間に灰になってしましました。あぶねえ!川から離れるべ!とおじさんはいい私の手を繋いでダーリンの墓から離れます。「なんだべこりゃ!」とおじさんは私を見ました。私も訳がわかりません。やがて豪雨が滝周辺に降り注ぎ、そしてまた雷が落ちました。

 豪雨は激しさを増し、雷は滝周辺に住み着いているかのように何度も落ち、そして私は雷鳴の合間にウキー!という、ダーリンの絶望的な叫びを聞いたのです。何故、何故ダーリン!なんでそんな悲しい声で泣くの?ダーリン!しかし何も答えはありません。私は雷鳴に向かって叫びました。「やめて!ダーリン!いたずらはやめて!」

『何がいたずらだ!俺を自殺にまで追い込みやがったモデル顔でセクシーボディでツルンツルンのお肌を持った悪魔め!これはオマエへの罰だ!俺はずっとオマエの性欲処理に利用されたんだ!バナナで純真な俺を釣りやがって!エッチ1日50回だと?ふざけんな!おまけに人をバッグに閉じ込めて持ち歩きやがって!挙句の果ては俺を檻なんかに閉じ込めたじゃねえか!それになんだ!よりによって俺が死んだ後に元カレとエッチしやがって!ちくしょう昔からそうだったんだな!99人の男か!手当たり次第男を漁りやがって!俺はオマエを信じてガキまで作ったのに!騙し腐りやがって!今更ナチュラリストとか言って贖罪のつもりか!だが反省しているのも今のうちだぜ!どうせオマエは反省など忘れて次の男に夢中にになって、俺のガキなんか堕ろすに決まっている!』

 雷鳴轟く中ダーリンがウキー!ウキー!とこう叫んでいました。「違うわ!ダーリンの違うのよ!」私の訴えは雷鳴にかき消され、雷雨はますます激しさを増していきます。ダーリンは私にここから出て行け二度と顔を見せるなと言っているのでしょうか。運転手のおじさんが「アンタここから出て行った方がいいべ。怒ってるだ。アイツは怒ってるだ!」と私に言いました。

 ダーリン何故こんな事をと胸元のシャツを見たら、濡れたせいでダーリンとその下のWANTEDの文字が醜く歪んでいます。ダーリンは私に憎悪を剥き出しにした顔をして、その下のWANTEDの字は雨で滲んで歪んでいます。私はWANTEDされたのでしょうか。永遠の罪人として。

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