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空白を埋める

 タイトル未設定のモノがあったから適当に埋める。埋めると言っても私にはアートの才能も音楽の才能もない。ただ延々と言葉を紡ぐだめの能力しかない。中身のない言葉なら任せてね。そうやっていつも全てごまかしてきたんだから。作家に必要な才能とは詐欺師の才能だって事を聞いたことがある。私には作家の才能も天才的な詐欺師の才能もないけど、嘘だけだったらいくらでもつける。嘘の付き方は簡単。まず自分が騙されればいいんだ。無限に自分に嘘を付き続ければいつの間にか嘘を信じて嘘の自分になることが出来る。そうして偽りの自分のままで行きてゆくんだ。一種の虚無感、また空虚感、そう実在感も何もなくただ漂うように行きてゆくんだ。そうして全てを偽りの借り物で身をまとって味わうのは嘘を付き続けられない現実だ。

 昨日私は自らの嘘を信じて全く知らないビルに入ろうとした。だけどすぐに警備員が私を止めた。彼は私に部外者は立ち入り禁止だと言ってきた。私は当然自分の嘘を信じ切っているのでココは私の職場だと抗弁した。すると警備員が私に身分証を見せろと言ってきた。私はココで自分に騙されていた事に気づいたのだ。私は悔しくて悔しくてホントに悔しくて自分を殴ってヤリたかった。だけど自分ってやっぱり可愛よね。だから私自分に対してこう叱った。

「もう、こんど嘘ついたらスイーツ一生抜きだからね!」

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