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大袈裟

 夫は妻のどこか諦め切ったような視線にぶつかるとその度に慌てて避けた。とうとうバレてしまったのだ。もう逃げられようがない。

「これがそうなのね。あなたどうしてずっと私に隠していたの?」

「隠そうとして隠したわけじゃない。ただ魔が差しただけだ」

「魔が差せばどんな事でも許されると思ってるの?」

「そんな事思っているわけないじゃないか!」

 妻はテーブルに置かれた白い紙をゆっくりと開いていく。夫はもう逃げ出したくなった。ああ!妻はどうしようというのか。多分その白い紙の中には俺の罪の証拠が入っているのだ。欲望の実現。息抜きのためだと思ってたけどあまりにのめり込みすぎてしまった日々。ああ!何もかもが白日の元に晒され、そして終わろうとしている。夫は絶望的な身振りで頭を抱えて呻いた。

「あなたよくこんなにヘソクリ溜め込んだわねぇ。私小遣い月五千円しかあげてないのに十万だなんて。これ、私が全部もらいますからね。全くこんなに溜め込むぐらいの努力で出世して見なさいよ!」

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