0地帯
今世界は無数の0で覆われている
1から9までの数字についた無数の0
カウントから弾かれたものは大雑把に
0にまとめられる
0、ここはゼロ
海抜0の、ゼロ地帯
0地帯。メルヴィルの本に出てきた言葉で
あったように思えたが、調べてみたら
そんな言葉はなかった
0は誕生と死の前に存在し
鎮座して我々を待つ
だが0から生まれ数字を積み上げていく毎に
我々は知るのだ。
全ては0なのだと
1から始まる数字は全てかりそめ
全て偽りだ
失敗してもゼロから始めればいい
0がいい、ゼロになろう。もう一回と言っても
それはばかげた気休めに過ぎない
二度と数字は積み上がらない
夕焼けの空は空虚で
シワだらけの紙束にはゼロが刻まれている
そのゼロの周りに書かれた無数の否定の記号
家には帰りたいないよ。でも帰らなきゃいけない
0地帯。努力が否定された夕暮れの空は全てが虚しい
「アンタまた零点取ったの?しかも全科目!一体どうやったら全部零点なんて記録出せるのよ!」