変化
最近ほとんど接点がなくなっていた人から,珍しく,改まった連絡がきた。夜中の電話が来るのも,会いに来るのも,いつも突然だったのに。
僕は「変化」が嫌いだ。『変わらない』ことなんて無理だってわかっているけど。でも,嫌いだ。
疎遠になる前,あれから何年が経ったのかもう忘れたけど,あの日,僕はなんでかわからないけど涙が止まらなかった。なんで泣いているのか,悲しいのか悔しいのか,はたまた怒りだったのか。ただ,とにかく泣いていた。
今思い返すと,きっとあの時の僕は無意識に「ああ,この人とは今日別れたら,この距離感にはもう戻れないんだな」と悟っていたんだと思う。僕たちは変わってしまうんだなーって。なんとなくわかっていたのかも知れない。
どんな綺麗事を言ったって,結局全て変わってしまうんだと,その「変化」に,泣いていたんだと思う。
そんな人の,突然で,しかも,らしくない姿がすぐそこにある。
何年経っても『どうか,変わらないでいてほしい』と願う僕は,きっとまた,訳もわからなく泣いてしまうんだろうな。
僕は泣くのを我慢できないと思うから,あったかいお風呂と上がった後のビールを,自分を励ます準備をしておこう。
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