【エッセイ】世界と心の結び目
花という世界の結び目、時間の流れの中わだかまった小さな渦。私たちの視線は、ときおり、その上で時間を過ごし、世界の秘密がそこにのぞいているような感覚を覚える。
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その向こう側を見たがっているのかはわからないが、私たちはその向こうとこちら側についてしか、語れない。向こうとこちらを行き来して、なんとかそれに触れよう、せめて掠めすぎようとする。
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ほどこうと願うほど、その結び目は硬くなり、からまっていく。ついには私たちの視線も、心も、その結び目に絡まった一部になっていく。