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サンタと疎遠してもう3年になる
16歳になってからサンタとは音信不通になってしまった。
13歳の頃から自分の望んでいたプレゼントとサンタが置いていくものが若干違うという相性の悪さには気づいており、15歳の時にはお年玉袋に入った現金という、サンタのプレゼントを考える労力の劣化とラッピングに手間をかけたくないという怠惰さを感じさせるクリスマスプレゼントから、サンタとはもうダメかもしれないと絶縁を覚悟した。
今年もサンタは現れない模様。高校生のお小遣いでは余裕がないので、欲しいものを手に入れるには頼りたいところではあるが、ほしいものを伝えることによって自分のプライバシーが損なわれる可能性があるのでやめておく。
小学6年生までサンタクロースはガチでいると信じていた私。それまでのエピソードと正体を知ったきっかけについて今回は話していく。
*以降 サンタ=親 と書くことにする。
サンタ+家族=最大限の利益
今考えると本当に卑しい子でサンタも頭を悩ませたと思う。ママごめんね。
小学校中学年の時、わたしはどうしてもスノードームを作るキット?(当時人気だったおもちゃ)に目を輝かせており、それをクリスマスプレゼントに欲しいとママにマニフェストしていた。
ただそのキットは三種類に別れており、どれも魅力的だったがどれか一つを選ぶ必要があった。だって高いしママに負担をかけたくなかったから。でも残り二つをどうしても諦めきれなかった私はそれをサンタさんに貰おうと試みる。2つも強請るなんて欲張りかもしれないと一瞬躊躇ったが、合計金額は5000円以下だからサンタの許容範囲だろうと思っていた。
本当に全てのプレゼントが届くかどうかドキドキしながら迎えたクリスマスの朝、、、
3つのプレゼントが枕元に並んでいた。3分の2はサンタからのプレゼントだと思っていたので、ママには3分の1の感謝を述べた。- ママ本当にありがとう。
そんな贅沢を経験した数年後、意外にもあっさりとサンタの正体が打ち明けられる。
ばあばの致命的ミス
小学6年生のクリスマスの朝。サンタは当時まだ健在していたため、何を欲しいとは明確にしていなかったものの、リュックサックと文房具などをもらった。自分のセンスとはかけ離れた派手な紫色のリュックだったけれど、これはサンタさんが私の年間の成長を評価した贈答品なんだと思うととても嬉しかった。
そして、じいじばあばの家にそのリュックを背負ってダッシュした。
サンタさんから貰ったものを自慢したかったのだ。
いつも鍵が空いているので(防犯性ゼロ)インターホンも押さずに家に乗り込むと、じいじばあばがいつものように暖かく出迎えてくれた。
そしてこのリュックはサンタからもらった!!と伝えると、
「ママもよう頑張らはったなぁ」とばあば痛恨のミス。
まぁミスというよりも、私がまだサンタの存在を信じていたとは思ってもみなかったみたい。
こんなにもさらりとママがサンタを務めていたと知らされてしまったが、悲しかったのはこれではなかった。
ひろくんがいない
ひろくんがいない。
そういえばいなくなっていることに気づいたので、ばあばにひろくんの行方を聞いてみた。ちなみにひろくんは巨大なテディベアで多分6歳ぐらいの時にじいじばあばの家に来たサンタから貰ったもの。自分の身長よりも大きいひろくんを背もたれにしたり抱きついたりして、いつも色々とお世話になっていた。学年が上がるにつれて、ひろくんに対する関心は減っていき、いつも部屋の隅っこにいるのが当たり前だと思っていた。だからいなくなっていたことにクリスマスまで気づかなかったのだ。
「捨てた」 らしい。ばあばにあっさりと言われてびっくりした。
勝手に断捨離したばあばに強い憤りを感じたけれど、ひろくんをネグレクトしていたのは自分だった。喪失感に向き合おうと心を切り変えようとしていると、ある疑問が頭の中に浮かんだ。
ひろくんをどこで買ったんだろう。
ひろくんの出身地
ひろくんみたいに可愛くて大きなテディベアは見たことがなかった。緑のおしゃれなリボンが首に巻かれていて、顔も美形だった。あんなにテディベアとしての容姿とスタイルの整った完璧で唯一無二のぬいぐるみをじいじばあばはどこで手に入れたのだろうか。
おっちゃんの倉庫だった。
日頃から仲良くしている近所のおっちゃんから貰ったらしい。
ママは私のクリスマスプレゼントに大金を貢いできたにも関わらず、じいじばあばはコスパ良く済ませていたのである。同時に、先ほどの、「ママもよう頑張らはったなぁ」というセリフが伏線回収される。
終わり
サンタエピソードについては話したいことがまだまだあるがここで一旦終了とする。サンタは親であるという社会のリアルを小学生のうちに知ることができたので、少々残酷ではあったものの、ばあばには感謝している。でもやっぱり1番感謝すべき人はママである。サンタのイメージを貫くためにママは色んなことに協力してくれた。プレゼントを用意してくれただけではなく、サンタ宛に書いた手紙には返事をくれて、サンタのために用意したケーキにはいい感じに食べ残しといてくれた。
サンタの役目を卒業又は放棄されて数年が経つ。それの再開はいつでもウェルカムだが「私が切願するものは干し芋のバラエティセットです。」なんて恥ずかしくて言えない。