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挑戦―不登校の息子の選択


1.選択をした息子

いつしか私は、『出来ない』と思った挑戦をしなくなった。

心の奥では「やりたい」と思っているのに、自分であれこれと言い訳を重ね、『出来ない』から挑戦していない。

今週、中学3年生の息子が一つの進路に関する決断を下した。

息子は私立の中高一貫校に通っているが、不登校の状態が続いている。
不登校の理由は今もわからない。(もう聞いていない。)
週に1回登校することもあれば、週に3回通えることもあるが、一週間フルで行くことは、この一年の間1度もない。

そんな息子が今週、進路についての選択を迫られていた。
①中高一貫校にそのまま進学する、②別の高校を受験する、③中卒で就職する、という3つの選択肢からだ。

結果として、彼が選んだのは①の内部進学だった。

2.結論に至るまでの道のり

夏前から進路について話し合いを重ねてきた。息子が特に動かなくてもそのまま無試験で高校に進学できる状況だったが、高校受験に対する「手間」を理由に、受験を避けたいという思いをたびたび口にしていた。また、中学受験やこれまでの学習の努力が「無駄になる」と感じている様子もあった。

それでも、彼自身、現状のままでは良くないと考えていることも感じ取れた。

夏休み中、一度は外部受験に気持ちが傾き、都立高校の模試を受けてみた。しかし、結果は散々で、今の実力を突きつけられる形となった。これがきっかけで外部受験を断念し、内部進学に再び気持ちが傾いたものの、夏休み中に具体的な行動を起こすことはなかった。

そして、2学期が始まった。
相変わらず登校できない日々が続いていたが、学校からは「11月中旬までに進路を決めてほしい」という連絡が届いていた。

10月下旬には、外部の学校見学もできないまま時間が過ぎてしまっていた。

模試の結果だけで外部受験を諦めるのではなく、公立高校や定時制高校の受験内容を理解し、やり直しが可能であることも息子に伝えたいと考えた私は、なんとか彼を合同説明会に連れ出すこともした。 

3.私の考え

ここで私の考えを整理しておく。

息子の不登校をきっかけに、自分なりにいろいろと調べ、不登校経験者の話を聞いた。「学校に行かなくても自立は可能だ」という考え方にアップデートできていた。

現代では、学校という場所を介さずとも、さまざまな学習は可能だと思っている。例えば、英語や数学などは、YouTubeや有料サービスを使った独学でも弁業ができる。学びは、時間や場所を問わない時代になったと思う。

ただし、独学でも学べるという納得感がある一方で、「社会性が身につかないのではないか」という不安が拭えなかった。そんなとき、西野博之さんの『マンガでわかる! 学校に行かない子どもが見ている世界』を読み、この不安が少し和らいだ。

その中で印象に残ったのは以下の内容だ。

ある子が学校に通い、いじめを受けている。
集団に属しているが、誰も友達になってくれない。そんな状況で、果たして社会性は育まれるのだろうか?

一方で、(学校に通えなくても)家庭の中に自分の味方だと信じられる人が一人でもいれば、その子は「人は信じるに足る存在なんだ」という社会性の基盤を得られる。

つまり、社会性とは「集団にいれば自然と身につくもの」ではないのだ。

『マンガでわかる! 学校に行かない子どもが見ている世界』137ページを要約

4.家族会議

息子は進路について話す際、感情が高ぶりやすい傾向があるため、事前に丁寧に話し合う時間を取るようにしてきた。進路の提出期限が迫っていることを説明し、できるだけ余裕をもって相談するよう心がけた。

進路希望を提出する前夜、家族会議を開いた。

息子はこう話した。
「今の学校で内部進学したい。でも迷っている。私立だからお金がかかるし、今の自分が高校でも通えるか不安だ。」

それまでに私はいくつかの選択肢を提示し、いろいろな道があることを伝えてきたと思っている。
その上で、彼なりに真剣に考えた結果での言葉だと思った。

妻とは、事前に話をしてあった。
この1年いろいろ夫婦で話をして、私たちが高校へ通うのではなく、通うのは息子である。そして、息子の人生だから、息子の意見を尊重すべきだと夫婦間では結論を出していた。
また、私たちの考えを押し付けても、本人が納得しなければ、悔いは残るし、そもそも良い結果にならないとも話をしてあった。

このような背景から、息子の意見を尊重し、内部進学を選ぶことにした。


ただし、条件を2つ設けた。
1. 赤点を取った場合は転校すること。
2. 登校が週3回以下にとどまる場合も転校を検討すること。

5.最後に

私だったら、内部進学は選ばないだろうと思う。棘の道であると思えるし、自分にはやり遂げられない、『出来ない』と決めてしまい、挑戦をしないだろう。
もっと親として支えるべきだ、という意見もあるだろう。

しかし、私は思う。
どんな結果になったとしても、自分で選んだ道であれば、納得し受け入れることができる。

息子には、一生に一度しかない人生を後悔しないように生きて欲しい。

挑戦する息子を全力で応援します。

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