雪のひとひら
言葉では、うまく表現できない。絵を描いた時に、風の音や葉っぱのにおいや、そのときおもっていたことをうまく表現しきれないのとおなじように。
子どもの頃、雪を眺めているのが好きだった。
雪の結晶は、よく見るとすべてちがうカタチをしている。
ポール・ギャリコの『雪のひとひら』のように、彼らが恋をするのかどうかはわからないけれど、ただただ真っ白にどこまでも続いていくように見える雪原は、ぜんぶちがうカタチをした雪のひとひらたちなのだと考えていた。
きっと、空から眺めた私たちもおなじようなものなのだろう、と。
photo by inaba keita
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