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随想録

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「知らない」ということは、世界でもっとも美しいものかもしれない。記憶を辿る、前置きのプロローグ。ファンタジー小説や映画のような、日常に隠れた断片を探そう。
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2019年3月の記事一覧

プロローグ、それは本編前の前置き的なもの

プロローグ、それは本編前の前置き的なもの

「知らない」ということは、世界でもっとも美しいものかもしれない、とおもう。思い出せない記憶を辿る、前置きの日のプロローグ。約束、もしくは錯覚。事故にあうように、ファンタジー小説や映画のような、日常に隠れた断片を探そう。

photo by inaba keita

雪はやがて消えて、また春がやってくる

雪はやがて消えて、また春がやってくる

「あれは、ネコヤナギ。」

「木にねこが生えているの?」

いつまでも溶けない雪と春らしさのあいだで、時間がゆっくりすすむ季節。

北国の四月のはじめ。

おばあちゃんが、手をつないで、歩きながら植物のなまえを教えてくれる。

わたしは、二歳で、まだ歩くことを覚えたばかり。

ネコヤナギ、

チューリップの球根とクロッカス、

すずらん、

木苺、

アスパラとにら、

真っ赤なほおづきと赤トンボ

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