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バレンタインと宝石の陰謀。下位自己を使った売る技術

『きみの脳はなぜ「愚かな選択」をしてしまうのか』 ダグラス・T・ケンリック、ヴラダス・グリスケヴィシウス 著 その3 

下位自己について、色々書いていきたいと思っているんです。

※下位自己。
狩猟採集時代から、培われてきたと思われる、本能に近い自己で、いくつかあり、少しずつ自己に影響を与えていると考えられています。その下位自己がこちら↓

1・自己防衛
2・病気回避
3・協力関係
4・地位
5・配偶者獲得
6・配偶者保持
7・親族養育

そんな下下位自己という概念が、ビジネスに活かすためのヒントも与えてくれます。

今回は、宝石を売るという具体的な例を通して、下位自己という概念がどのようにビジネスに役立つのかを書いていきます。

宝石を売るビジネス。
宝石はダイヤモンドです。
世界で最初のダイヤモンドの婚約指輪は、1477年だそうです。そのころはもちろん、ダイヤモンド何てほとんど一般には知られていません。

で、こんな状態になってしまった(?)責任は、デビアス社にあるそうです。
1930年代。オッペンハイマーって方が、まずダイヤの採掘を独占し、意図的に供給を抑えるという暴挙にでたんです。希少性のためですね。

・・・。ええ。ここでは下位自己は関係ありませんね。
どちらかと言えば、作者の師匠であるチャルディーニの「影響力の武器」のお話ですね。希少性の話がその本に出てきます。

さらに1947年。デビアス社は広告代理店の力を使って、
「ダイヤモンドは永遠の輝き」という、破壊力抜群のキャッチコピーを考えちゃったんです。

このキャッチコピーが、何百万という結婚に影響を与えたとのこと。
特に日本(笑)
1967年に、ダイヤモンドをつけていた花嫁はわずか5%だったけれど、1990年には77%になったそうです。
きっと、不景気な今はまたかなり低くなってるでしょうけれど・・・。

とにかく、デビアス社は、まず商品を希少化させて、希少性に最も弱い下位自己である「配偶者獲得」を常に活性化させたんです。

配偶者獲得の自己は、希少で貴重なものを好みます。
未だ踏み荒らされていないレストランとか、限定品とか。
そこを刺激して、ダイヤモンドの指輪はぜいたく品ではなく、婚約儀礼の必需品となりました。

ちなみに、件のキャッチコピーを考えた人は独身を貫いたそうです・・・。

ところが、デビアス社は、それだけでは満足しません!!
左手の薬指が使われてるなら!!ってとこで、右手の薬指をターゲットにしたんです。

「左手はわたしたち、右手はわたし」といったコピーまで作って、女性たちの「地位の下位自己」を活性化させるわけです。
もちろん、女性だけじゃなくて、男性もですね。「地位の下位自己」をくすぐってます。スポーツ選手や芸能人なんか顕著ですね。でかいダイヤついた時計とか。

しまいには、「配偶者保持」までくすぐります。
結婚記念日に手を出すんです。
変わらぬ愛を証明しないと!!って・・・・。
ひどいですよね(笑)

しまいには、ここからは必ずしもダイヤモンドではなく、他の宝石に当てはまるものですが。
友情ブレスレット、親友ネックレス、永遠の友達リングといった、「協力関係」の下位自己をくすぐったり、
「自己防衛」や、「病気回避」の下位自己をくすぐるために、お守り的な役割を果たそうとしたり、宝石の世界。何でもありになってきてます。

さて、もうすぐバレンタインですが、それも恐らく元々はお菓子屋さんが配偶者獲得や、配偶者保持の下位自己を刺激して流行らせたものだという認識があります。

義理チョコなんかは、「地位」が関係してるかもしれませんね。
最近は、友チョコなんかに代表される「協力関係」のシロモノになってきてるようです。

やっぱり、そこは女性から男性へモノをあげるっていうのが、なんか感覚に合わないんでしょうね。
基本、男性が女性にプレゼントしてなんぼの世界ですから。それこそ、男女逆だったらバレンタインももうちょい違ったものになってたかもですね。

で、バレンタインというより、チョコに目を向けると、いまや、カカオ含有率がめちゃくちゃ高いやつは、健康にいいとされ、「病気回避」の自己下位をくすぐっていますね。

そんなわけで。
いろんな商品を見ながら、この商品はどの下位自己を刺激しているか?
また、何かを売る時は、どの下位自己をターゲットにして仕留めていくか?ってのを考えていくといいかもって思いました。

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