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なぜ、男性は女性相手に勘違いするのか。なぜ、食糧危機を宣言した国が食料援助を断ったのか。

『きみの脳はなぜ「愚かな選択」をしてしまうのか』 ダグラス・T・ケンリック、ヴラダス・グリスケヴィシウス 著 その2になります。

今回のテーマは「誤警報」と「見逃し」です。

これは、人はある程度の誤警報は受け入れて、見逃しを減らす!!ってものです。

この本では、色んなバイアス。
行動経済学者が、人間ってばかだよね~って感じで、死ぬほどバイアスを発見しまくってますが、そのバイアスって、狩猟採集時代には、生存、生殖を果たすために最適の能力なんだ!!って主張を繰り広げています。

この「誤警報」と「見逃し」。
家の煙探知機が元のたとえのようです。
煙探知機が誤警報を繰り返してる状態。
警報が鳴って、火事かと思い、大慌てで対処したら結果大したことなかったの繰り返し。
もうはずしてしまうか?って考えます。
だけれど、もし煙探知機をはずしてしまうと、本当の火事を見逃してしまうかもしれない。

同じようなたとえで、天気が微妙で、傘を持っていくか迷ってます。
傘は地味にうっとおしくて、いちいち邪魔になります。
もし、傘を持って行っても雨が降らなければ、「誤警報」になり、徒労に終わります。
だからといって、傘を持っていなければ、雨が降った時は「見逃し」になり悲しい事になります。
(コンビニで買えばええやんとか、折り畳みはそんな邪魔じゃないとか、雨に濡れるくらいたいしたことないって意見はこの際却下します)

自然選択が、小さな誤りを犯すことで、大きな失敗を避けるようにできているんです。

このバイアス。
実際、有効活用(?)されてる実例がシートベルトです。
シートベルト、事故起こさない(と思い込んでる)のに、いちいち締めるのはめんどくさいですよね。(誤警報)

でも、いざ事故ってとき、生存率が跳ね上がります。
社会は、シートベルトを締めさせることを強制したおかげで、「見逃し」を防ぎ、交通事故の死亡率を減らすことに成功しています。

そこで表題。

食糧危機に陥った国。2002年のザンビア。
緊急事態宣言をし、結果、アメリカから大量の食糧援助の申し出がありました。
ところが、時の大統領、ムワナワサ大統領は援助を断るんです。
その判断、国民は非難轟々か?といえば、そうではなくて、多くの国民も大統領の判断を支持したんです。

なぜでしょう。

コンテナに「遺伝子組み換え」って書かれていたからなんです。

アメリカはびっくりして憤慨したわけですが・・・。
そのアメリカも、2000年に、マックのポテトが遺伝子組み換えであったことに憤慨し、遺伝子組み換えでないポテトを要求したそうです。

これは、先日の下位自己のうちの、
病気回避が表に立って、一種の行動免疫システムが働いたからなんです。

※行動免疫システム。
病気を回避しようとする一連の考えや行動です。
例えばくしゃみ。くしゃみは誤情報の一種ですよね。
ほとんど埃とかが原因で、病原菌を追い出すわけではないですが、見逃しを避けるために、安全第一でくしゃみを出します。

それが、「遺伝子組み換え」って言葉に反応したんですね。
大統領だけでなく、ほとんどの国民も。

こうなると、いくらWHOやら、検査官が、
「遺伝子組み換えっていっても安全やで!!」
って念押ししても変わらないわけです。

これは、今も見られますよね。最近だとコロナだワクチンだで右往左往しました。
その時は、ほとんどみんな、病気回避の自己が全開だったと思います。
反応は様々ですけどね。それはしゃーないんです。

続いて男の勘違い。配偶者獲得の下位自己がでてきます。
これは、やっぱり男性と女性ではちょい違うようです。
ここでは、男性に焦点を当てます。

さきほどの、病気回避の下位自己は、生存。
身体を守る、防御の自己なんですね。
ところが、配偶者獲得の自己ってのは、生殖。
地位を確保し、繁殖の機会をもつという、攻撃の自己なんです。

で、進化の観点から見ると、防御よりも攻撃の方が重要なんです。

いくら、防御が上手くいって100歳生きたとしても、遺伝子を子に託さなければ、その人の遺伝子は途絶えてしまいます。
防御が下手で、30歳までしか生きられなかったとしても、遺伝子を数回、派遣できれば、まだ可能性があります。

なので、こと、「配偶者の獲得」ってなると、男は思いっきり勘違いしやすくなります。
女性にとってははた迷惑なんですが、
男は、目が合っただけで、「こいつ、俺に惚れてる!!」
って都合のいい勘違いをよくするんです。

これも、先ほどの「誤警報」と「見逃し」っていうやつなんです。
誤情報は、女性側に性的な関心がないのに、男性側は、それがあると感じることです。
見逃しは、女性側が性的な関心を持っているのに、男性側がそれに気づかない事です。
これは、進化の視点から見れば、男にとって繁殖に機会に気づかない(見逃しをする)損失は、無関心な女性を追いかけて、思いっきり時間を無駄にする(誤情報)損失より大きいわけです。

典型的な男性は、それほど多く繁殖の機会、得られませんからね。

多少、勘違いをしても、必死にならざるを得ないわけです。

そんなわけで。男の勘違い。
女性の皆さんは、生暖かく見守ってあげて欲しいですね。
確かにうざいですけどね。
ただ、限度を超えたら躊躇なく通報等、対処しましょう。

男性の皆さんも、勘違いってわかったら、すぐに離れてあげてくださいね。
女性の皆さんに悪いし、時間の無駄ですし、限度を超えると捕まりますから。

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